フランス語の新聞を読む際は、だいたい英語(少し上のレベルの)を元に推測しながら大まかな内容を把握できるのですが、たまに『なんだこの単語!?』と思わせるような単語に遭遇することがあります。
最近見つけた単語でsylviculteur(シルビカルトゥー)というフランス語あります。見た瞬間『なんだこの単語!?』と。
まずこの単語を2つの部分に分解。 sylvi+culteur
culteurとはculture(カルチュール)から来ており、日本語でもカタカナでよく使う英語のカルチャーですね。でも「文化」という意味しか知らないとちょっと足りません。英語でもフランス語でもこのcultureカルチャーには重要な意味がまだ残っています。「教養」、「耕作」、「栽培」、「養殖」など。
Elle de la culture. 彼女は教養がある。
la culture de la vigne ブドウの栽培
la culture des huitres カキの養殖
cultureのつく他の単語例:
api(ラテン語でミツバチの意)+culture=apiculture 養蜂
pisci(ラテン語で魚の意)+culture=pisciculture 養魚 ***ちなみにpiscineは「プール」という意味がありますね。
viti(ラテン語でブドウの意)+culture=viticulture ブドウ栽培 ***英語ではviniculture フランス語でもvinワインですね。
同じような考え方で、
agriculture 農業
horticulture 園芸
sericulture 養蚕
aviculture 鳥類飼育
arboriculture 樹木栽培 ***arbre木ですね。
pomiculture 果樹栽培 ***pommeりんごですね。
floriculture 花の栽培 ***fleur花ですね。
aquaculture 水産養殖 ***aquarium水族館ですね。
ostreiculture 牡蠣養殖
monoculture 一毛作
以上知っている単語ですが、英語もそのままです!
さて一方sylviの方ですが、これがまたおもしろいルーツを持っているのです。辞書を引くとsylviはラテン語で「森」の意を持つとあります。sylvi+culture=森+栽培という形になり、意味としては「林業」「植林」ですね。単語の語尾が変化してsylviculteurとなると人を指し「植林者」「林業従事者」とあります。
さらに、この「森」を指すsylviの部分ですが、シルウアヌスというローマ神とも関係があります。森と野の神で自然の豊かさを象徴しているそうです。それを表記するとSylvainシルヴァン。ラテン語の「森」という意味のSilvaとギリシャ語のulaiから来ています。
英語でsylvanを調べるとやはり「森林のある」「森林に住む」「樹木の茂った」とあり、名詞扱いにすると「森の精」とあります。
フランスでSylvainシルヴァンと言えばもうひとつ、男の子の名前でよく使われていますね。女の子はSylvieシルヴィー。これからこの名前を聞くたびに頭の中に「森」が浮かんできそうです。素敵な名前ですね。