Category Archives: フランス語豆知識

カルパッチョ

今日は少しイタリア語レッスン(?)です。

それは夏になると食べたくなるカルパッチョ!
夏でなくとも美味しくいただけるのですが。

フランス語でも日本語でもカルパッチョ。

カルパッチョとは牛肉を薄切りにしてオリーブオイルやパルメザンチーズをかけて食べるイタリア料理の一つです。今ではたくさんのヴァリエーションがあり、サーモンのカルパッチョとかタコのカルパッチョとか人気ですよね。

でも元々は牛肉です。なぜ牛肉なのか・・・面白い歴史がありました。

カルパッチョという名前の由来から始まります。

このカルパッチョというのは、なんとルネッサンスの画家ヴィットーレ・カルパッチョVittore Carpaccio(1450〜1535)から来ているそうでう。彼の描く絵は鮮やかな赤の色調で知られており独特の雰囲気があります。


(画像はwikipediaより)

そしてこのカルパッチョの描いた作品がイタリアン人シェフGiuseppe Cipiraniにインスピレーションを与えたのです。

1963年、ちょうど彼の住む町ヴェニスでヴィットーレ・カルパッチョの作品が展示され、彼の発案した料理(生肉の薄切り)にこの<<カルパッチョ>>と言う名前をつけました。牛肉をスライスして並べると鮮やかな赤い”カルパッチョ”のような作品になりますよね。

そうカルパッチョとは赤い牛肉の色とカルパッチョの赤い絵画を表しているのです!

そして、この料理はAmalia Nani Mocenigo(ヴェネチアの有力な家の出身)のために特別に考えられたもので、彼は医者から火の通った肉を食べないようにと言われていたようです(どんな病気だったのでしょうか、それとも体質?)。

この成功の後、カルパッチョは世界中に広まることになりました。

今では前にも書きましたが、いろんなカルパッチョがあります。皆さんも暑い夏カルパッチョはいかがでしょうか。

サッカーとフットボール

Soccer vs Football

日本人やアメリカ人はサッカー、でもヨーロッパではみんなフットボールと呼ぶ。フランス人は略してfoot(フット)と言っていますが。

またアメリカにはアメリカンフットボールと呼ばれるスポーツもあり、とても紛らわしいです・・・。

歴史を探ってみますと・・・

もともといろんなタイプの”football”が19世紀には実践されていたそうで、イングランドにあるパブリックスクールのRugby(ラグビー)校で最初の正式な”football”のルールが決まりました。

そのルールとはどちらかというと少し乱暴なもので、楕円形のボールを使い、また”football”というにも関わらず手を用いてもよいというものでした。これがいわゆるRugby(ラグビー)で、アメリカンフットボールはその流れのバリエーションの一つです。

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さらにケンブリッジなど他のスクールが、もう少し優しいルールの”football”が良いとして、丸いボールを使った”football”を推奨。これが今日のFootball、アメリカンの呼ぶSoccerです。

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フランス語では、様々なタイプのFootballの呼び方をイギリス英語を基にして変更してきました。

20世紀に至るまで、楕円形ボールを使ったものはfootball rugby (英語rugby football)、球形ボールを使ったものはfootball association。football associationというのは『フットボール協会』という意味です。1863年にフットボール協会により正式にこのスポーツが成文化されたことによります。

さらにfootball rugbyはrugbyと短縮化され、football associationはfootball、さらにはfootとしてフランスの口語の中へと浸透していきました。つまり日本人の知っているサッカーというのはヨーロッパではフットボールと呼ばれるようになったということです。

アメリカへ渡った”Football”(ラグビーのいとこみたいな・・・)は、ヨーロッパのフランス語話者の間でfootball american にするかrugby americanにするかで困っていました。

そしてケベックのフランス語では、アメリカ英語をモデルにすることに。そして、アメリカで実践されるスポーツはFootball(フットボール)と呼ぶことになりました。厳密に述べるときは、American football(アメリカンフットボール)、あるいはCanadian football(カナディアンフットボール)。丸いボールを使った方はSoccer(サッカー)。

ラグビー(rugby)に関しては、アメリカではプレーされることがなかったので、名称変更は起こりませんでした。

名称の成り立ちについては、American footballはrugby footballのrugbyが消去。Soccerは、ちょっとややこしいのですが、(football as)soc(iation)のsocの部分が取り出され、人を表す接尾辞-erがつけられsoccerとなりました。soccerという言葉自体はイギリス英語ですが、イギリスでは廃れ、アメリカの地で広がることになったわけです。

当時多くのヨーロパ人がアメリカ大陸へと渡り、彼らは自分たちの大好きなスポーツ=Footballをアメリカでもうすでに根付いていたラグビーのいとこ=American footballと区別したかったのです。

複雑な歴史が名前に隠されていたわけですが、今でもこのややこしさが残っているような感じですね・・・。

トーストで乾杯!

トーストといえば、トースト。

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毎朝食べるトーストです。

でももう一つ英語やフランス語でよく使われる意味があります。

それは『乾杯!』。
ご存知でしたか。

英語もフランス語もともにスペルはtoast、パンのトーストと同じです。

フランスの中世では、『乾杯!』などと言ってグラスをチンチンと鳴らすことはなかったのですが、その代わりに<<tostée>>と呼ばれるグリルしたパンの一切れをワインな中に浸して食べていたそうです。当時は客人とパンとワインを分かち合うのが習慣で、その代わり招待を受けた人は、パンの最後の切れ端を食べ、ワインも最後の一口を飲むことになっていました。

フランスが発祥のこの習慣はやがてイギリス人へと伝わり、<<tostée>>が<<toast>>と変化。この習慣自体は消滅してしまいましたが、toastという言葉だけが現代にまで残ったのですね。

そして18世紀ごろにおいて、グラスを高く上げて”乾杯”することにこのtoastという言葉が与えられました。よって“乾杯しましょうよ”という時は”トーストしましょうよ”といった感じで、このトーストは本当にパンのトーストから来ているのでした!。

英語:

Drink a toast!
パンなのに飲めない!と思ってはいけません。

フランス語:

On va porter un toast!
パンを持っていく!と思ってはいけません。

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仏人の間違える仏語

フィガロの記事に面白いタイトルを発見しました。

『フランス人をイライラさせるフランス語の間違い』

フィガロ紙が読者対象にアンケートを取って出した結果です。

 

COMME MÉME

Quand mêmeが正しく、意味は『それでもやっぱり』といった感じでしょうか。これは聞いただけだと確かにComme mêmeに聞こえます。しょっちゅう会話の中で使いますが、書くときには要注意ですね。

AU JOUR D’AUJOURD’UI

今日という日に?という感じでしょうか。同じ意味の言葉を並べた間違い。

BONNE ANNIVERSAIRE

この間違い、分かるような気がします。anniversaireが母音で始まっているので前のbon(ボン)という音とリエゾンし、発音がボナニヴェルセーとなります。これがおそらくボンナニヴェルセーと思い込み、男性名詞であるanniversaireに女性形のbonneをつけてしまうのでしょうね。正解はBon Anniversaire !

SI J’AURAIS SU

Si j’avais suの間違いですね。英語文法で言うところの仮定法過去の作り方が間違っている・・・。Je n’aurais rien fait si j’avais su. = I wouldn’t have done anything if I had known. 『もし知っていたら何もしなかったのに』。auraisは主節で出てきますよね。フランス人が英語の完了形haveやhadに弱いのは知っていたけれど、フランス語で仮定法が作れないとはフランス人も嘆くでしょう。Insupportable !とイライラ感が伝わってきます。

MALGRÉ QUE

これ!うちの主人がかなり指摘していました。大半のフランス人が間違って使っているのではないかと・・・私の持っている辞書も間違っています・・・(有名な辞書ですがたくさん間違いがありすぎて・・・)。しっかりmalgré que+接続法なんて書いてあります。この言葉はmalgré tout『どんなことがあっても /絶対に』といった感じでよく使われます。

ILS CROIVENT

動詞の変化(conjugaison)ができないフランス人。なぜこんなにフランス語は複雑なのか・・・。Ils croientが正解。

L’IMPÉRATIF(命令形)

命令形につける間違ったsのことです。例えば、 « continue ! »の代わりに « continues ! »とする誤りです。第1群規則動詞の命令形は、Tu doonesのsを取って、 « donne»になります。

LE POTE À

poteとは話し言葉で『仲間』という意味。Le pote deのところàを入れてしまうという間違いです。

VOIRE MÊME

voire『さらに /〜さえ』、même『〜さえ』。こちらも同じ意味の単語を並べた間違いです。

-ER/-É

‘Il a été constaté’の代わりに‘Il a été constater’としてしまう間違い。音が同じなので、意外とよく見かける間違いです。

CHEZ/AU

‘Je vais au médecin’ ‘Je vais au coiffeur’

さあ何が間違っているでしょうか。

答えは、auではなくchezを使いましょう。

日本語の乱れと同じように、フランス語の乱れもかなり問題視されています。教育レベルがどんどんゆるくなってきているようです。しっかり教えようというよりも、ややこしいアクセントは失くしてしまおうなんてテレビでやっていました。

罠にかかる!

<< Tomber dans le panneau>> トンベ ダン ル パノー

tomber=『落ちる』
panneau=『標識』『看板』

標識の中に落ちる?

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いえいえ、まったく交通標識には関係がありません。これで『罠にかかる』という意味を持っているんです。

その起源は中世にまで遡り、当時の狩猟テクニックに結びつきます。

昔、panneauという言葉は垂直にピンと張られた布を指していました。そしてそれはgibier(狩猟鳥獣)を捕らえるために使われていたのです。この狩猟方法は13世紀頃から実践されており、人々は野ウサギ、ハト、キツネなどの野生動物を罠(panneau)に追い込んで捕らえていました。

そこから<< Tomber dans le panneau>>という狩猟用語としての表現が生まれ、少しずつ日常語としての『罠にかかる』という広い意味での使用が始まっていきます。

さらに同時に、<< Tomber dans les filets>>という表現も生み出されます。filet(フィレ)は『網』。つまり『網にかかる』。この表現は誰かに誘惑されて罠にはまるといったニュアンスが含まれるそうです。

英語のpanelパネルはこのフランス語panneauから来ていますが、ルーツは”布”だったんですね。