フランス語の歴史

フランス語は英語や他の言語に大きな影響を与えたと同時に、また他の言語からも大きな影響を受けてきた言語です。

もともとフランスの全土とその周辺地域はガリアと呼ばれていましたが、B.C.50年にロ-マに併合されることになります。そのためローマ人の言語であったラテン語がローマ文明と一緒にやってきます。ラテン語は統治のための公用語であり、さらには文明の言語であったため、短期間でガリア語に取って代わりました。その後ガリア語は地名や語彙などにいくらか跡を残し5世紀にはほぼ消滅してしまいます。

3世紀にはいるとゲルマン民族の大移動とともにこの地域の安定も崩されます。481年にはクロヴィスがフラ ンク族を統合してメロヴィング朝を建てます。フランク族は長い間自分たちの言語を保ってきたので、これもまたラテン語の語彙に深く関わっていることがわかり ます。こうした中5世紀ごろからは文化が廃退し始めメロヴィング朝時代には学校がなくなってしまい修道院などが学問の場となって行きました。

さらにこうした状況の中、話し言葉と書き言葉にはそれほど違いは見られませんでしたが(古典ラテン語)、6世紀以降になると伝統が失われ、古典ラテン語は退化していきます。シャルルマーニュ(在位768~816)の時代に当時かなり乱れていたラテン語を古典期に近い状態に戻せたものの、これが逆に書き言葉と話し言葉の差を大きくしてしまいました。そしてこの話し言葉が古典ラテン語に対し俗ラテン語と呼ばれ、これが徐々に変化してフランス語へと発展していきます。

11世紀から13世紀にかけてこのフランス語は形を確かなものへと築き上げていきます(古フランス語時代)。ラテン語と比べ、表現が豊かで、またその表現自由度が高いため混乱を防ぐため、身振りなどがとても大きかったそうです。また方言なども各地に発生 し、東部方言(フランコ・プロヴァンス)、北部方言(オイル語)、南部方言(オック語)に分けられます。リヨン、ジュネーブ周辺はフランス領になったのが遅いため、その方言もまた明確に区別することができます。また南部での言語変化は比較的小さかったのですが、北部はゲルマンの影響が強かったためオイル語内部はさらに多くの方言が存在しました。ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ロレーヌ、ヴァロニー、ピカルディー、ノルマンディーなどは、それぞれ特徴的な方言を持っていますが、イル・ド・フランスの方言、フランシア語に勝てるものはありませんでした。
13世紀後半にもなるとこれらの方言は衰退していき、フランシア語が「フランス語」として標準語となっていきます。そしてフランス語は諸外国に浸透してい き、特にイギリスへの影響は大きく 現在でも多くの英語がフランス語起源を持っています。フランス語が初めて海外進出したのは、 1066年の英国征服により、 英国の支配階級の言語がフランス語となった時でした。 この後、 数世紀に渡って英国の公用語であり続け、 近代になると、 強力な王権を背景として世界の外交語として使用され、 プロシアやロシアの宮廷知識人の間でも話されていたということです。

17世紀初めまでは今見てきたようにフランス語は自然的に発生発展を進めてきました。しかし17世紀後半に なると、言語の統制が厳しくなり、18世紀に入ると、文法家たちによって言語を統制するための法などがつくられました。そして彼らにより今日のフランス語が完成します。しかしながらフランス革命後の言語調査によると、フランス総人口2800万人のうちフランス語を正しく話せるのは300万人に満たなかったそうで、その後革命政府はフランス語普及に努めました。また徴兵制度や交通手段の発達、新聞の普及なども手伝って、フランス語はフランス全土に広がりまし た。一方20世紀には少数言語を振興する方策をとるようになり、今日のフランスで大きな課題となっています。

また先にあげたようフランス語は国外にも大きな影響を与えました。今日フランス語を母国語とする人は7千万 人、28カ国で公用語となっており、国連の公用語でもあります。さらに諸外国の分布を見てみると、ベルギー、スイス、ルクセンブルク、イタリア、モナコ、 カナダ、ルイジアナ、ハイチ、グアドループ、マルチニーク、フランス領ギアナ、アフリカ、オセアニア、とあり、なかでも、ヨーロッパ・アフリカ・カナダが重要な位置を占めています。特にスイス、ベルギー、カナダではフランス語が第一言語として使用されており、それらの国はまた多言語併用の国でもあってフラ ンス語を話すコミュニテイは多言語のコミュニテイと共存しています。例えばカナダのケベックでは、フランス語が公用語であるが、教育ビジネスの場では英語が使用されています。

アフリカではフランス語は第二言語として使われており、特にアルジェリアやチュニジア、モロッコではフラン ス語は行政や教育の場では公用語となっています。またカリブ海地方では、17世紀にクレオールが文化や言語において特徴的な形を与えています。

また最後に、ここヨーロッパでは、母国語としている人はフランス本国で約5800万人、 カナダケベック州で500万人、 ベルギー南部で約400万人、 スイスの一部地域で約100万人、 イタリアのアオスタ渓谷で約10万人モナコで約2万人。 公用語とする国は5カ国、また、EUの公用語でもあり、実際、英語とフランス語が使用されています。

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(以上 参考:ウィキぺディア)