丁寧なvousの起源

フランス語を勉強するにあたってVous(ヴ)ということばの使い方がとても興味深い。

Vousとはフランス語の人称代名詞でTu(チュ)の複数形にあたります。

Tu es étudiant. (チュ エ エチュディアン) は学生だ。

Vous êtes étudiants. (ヴゼットゥ エチュディアン) 君たちは学生だ。

ただフランス語の場合、このvousが丁寧語としても用いられるので慣れるまでちょっと面倒かもしれません。

Tu es gentil.   君/お前/あんた 親切だね。(←こんな感じかな?)

Vous êtes gentil. あなたは 親切な方ですね。

ほとんどの場合、vousはこういう使い方をするんだということで覚えて終わりなのですが、なぜそうなったのかと疑問に思われたことはないでしょうか。

その起源を見つけました!たまたま読んだ記事にその説明が載っていたのですが。

丁寧語Vousの起源

丁寧語として使われるようになったVousの歴史は古代ローマ帝国時代(4−5世紀)に遡ります。その頃、ローマでは二人の兄弟がローマ帝国を支配していました。一人はFlavius Honorius、もう一人はFlavius Arcadiusという皇帝です。彼らは常に離れることなく供にローマを治めていました。そこで一人の皇帝に話しかけたい時には、複数形の”vous”を使ってもう一方の皇帝に象徴的に話しかけるようにすることが習慣となっていました。そうすることによって二人の皇帝の機嫌を損ねることを避けたのです。そしてこの敬意の表し方が特に軍や政治の階級制度などに残り、全国民へと広がったということです。

Honorius (左)Arcadius (右)

調べたところによると、この二人の皇帝は、395年に彼らの父であるテオドシウス1世が死去した後、遺言で兄Arcadius (アルカディウス)が帝国領の東半分(東ローマ帝国)を、Honorius (ホノリウス)が西半分の(西ローマ帝国)をそれぞれ分割統治することになったということです。しかし結果としてこれがローマ帝国の東西分裂へと繋がっていきます。二人ともあまり政治に関心がなく暗君とされているようです(ウィキペディアより)。

そんな二人から誕生したこのVousという不思議なことばの使い方。ちょっと意外な面で偉業を残したことになる皇帝ということですね。