パリと江戸の環境問題

フランスの歴史

16世紀: ヨーロッパでは宗教改革が起こっていたころ。フランスでもユグノー戦争で新教徒と旧教徒の戦争が起こった。

17世紀: ルイ13世の時代王政は安定し、次のルイ14世で王権神授説を唱える。絶対王政主義全盛期。

18世紀: ルイ15世の時代から財政が悪化し始め、ルイ16世で行きづまってしまう。王妃マリー アントワネットが処刑されたのがちょうどこのころ。

19世紀: ナポレオンが活躍。

17~19世紀のパリの環境

17世紀・18世紀、ちょうど日本では江戸幕府が政権をとっていたころ、パリではベルサイユ宮殿を中心に王政主義の時代が続いていました。

さてその時代がどのようであったかというと、まず豪華で贅沢な生活を思い浮かべられるかもしれません。しかし環境の上から見るとあまり清潔感は感じられません。パリのヴェルサイユ宮殿にはトイレがなかったというのは有名な話で、広大な庭園の美しい植え込みも、実はトイレ代わりになっていたという。もちろん建物の中でも用を足しざるを得ない場合もあったことでしょう。召使たちがその後始末をしていたそうです。

ビクトル・ユーゴーの名作「レ・ミゼラブル」でも、延々とパリにおける糞尿問題を取り上げた章があるくらいです。主人公ジャン・バルザックがパリの下水道の中へ逃げ込むというシーン。あらゆるゴミ、糞尿、動物の死骸もこの下水道に押し流され、何の処理もされることなくセーヌ川に流れ込んでいたことがわかります。 そのため、パリの中心を流れるこの川は悪臭を漂わせ、とても不潔なものだったそうです。

また同じ頃、お隣ロンドンでも汚水や汚物が道路にあふれ、テムズ川 などは工場汚水で真っ黒だったそうです。そして19世紀になりコレラが流行し始めます。

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ヴェルサイユ宮殿

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ヴェルサイユ宮殿の庭園

日本の歴史

16世紀: 戦国時代から織田信長、豊臣秀吉などが活躍。

17世紀: 徳川家康が天下を最終的に取り、徳川政権が始まる。17世紀後期には徳川5代将軍綱吉 が「生類憐みの令」を出す。

18世紀: 鎖国政策の中、幕府の政権を強めていく。赤穂浪士討ち入り。富士山噴火。

19世紀: ぺリー来航。江戸幕府が倒れる。

江戸時代の環境

パリやロンドンとは違い江戸時代の日本の都市では、人間の排泄物などは農業用の肥料として使われ、貴重な資源としてあつかわれました。 そのため人々は値段をつけ立派な商品として取引さえしていました。また日本の都市には家畜が少なかったこともヨーロッパと違い町を清潔に保てられた理由にあげられます。また日常から出るゴミや汚水が、道を防ぎ川を汚すことも当然あったことでしょう。幕府はこれを厳しく取り締まり、掃除や川浚いが町人の免税特権と引き換えに課されたことも汚水を食い止める上で効果があったということです。

セーヌ川に汚水、工場からの排水が流れ込み、悪臭を放っていた頃、 江戸の隅田川河口では白魚漁(しらうおりょう)が行われ、将軍家に献上されていたそうです。また品川、大森の海岸で作られる浅草海苔も江戸名産として諸国に送られていました。さらに川へゴミを捨てることを禁じる触書から始まりゴミをどこで処理するかなどこまごまとした令がたくさん出されました。人々はその ためなるべくゴミを出さないようリサイクルなどをして生活していたようです。

しかし一方、当時の資源であった森林は次から次へと切り倒され、今の日本よりも緑が少なかったということです。山々は荒れ放題になり、土砂崩れなどの災害が頻繁に起こりました。また火災の後失われた江戸城の天守閣は資源保護のため再建されることはありませんでした。

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江戸城

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江戸時代の様子(火消し)

《以上、参考/絵 : PHP出版 「環境先進国江戸」より》

 

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