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一番長いフランス語

フランス語で一番長い単語は anticonstitutionnellement (アンティコンスティテューショネルマン)といい、 「非立憲的に」という意味です。全部で25文字になります。これは副詞で、形容詞はanticonstitutionnelで「憲法違反の」という意味に なります。接頭辞のantiが「反-」、 constitutionは英語でも同じで「憲法」、その形容詞が constitutionnel「憲法の」「立憲的な」、さらに接尾辞の mentがその単語を副詞に変える働きをしています。

フランス語の歴史

フランス語は英語や他の言語に大きな影響を与えたと同時に、また他の言語からも大きな影響を受けてきた言語です。

もともとフランスの全土とその周辺地域はガリアと呼ばれていましたが、B.C.50年にロ-マに併合されることになります。そのためローマ人の言語であったラテン語がローマ文明と一緒にやってきます。ラテン語は統治のための公用語であり、さらには文明の言語であったため、短期間でガリア語に取って代わりました。その後ガリア語は地名や語彙などにいくらか跡を残し5世紀にはほぼ消滅してしまいます。

3世紀にはいるとゲルマン民族の大移動とともにこの地域の安定も崩されます。481年にはクロヴィスがフラ ンク族を統合してメロヴィング朝を建てます。フランク族は長い間自分たちの言語を保ってきたので、これもまたラテン語の語彙に深く関わっていることがわかり ます。こうした中5世紀ごろからは文化が廃退し始めメロヴィング朝時代には学校がなくなってしまい修道院などが学問の場となって行きました。

さらにこうした状況の中、話し言葉と書き言葉にはそれほど違いは見られませんでしたが(古典ラテン語)、6世紀以降になると伝統が失われ、古典ラテン語は退化していきます。シャルルマーニュ(在位768~816)の時代に当時かなり乱れていたラテン語を古典期に近い状態に戻せたものの、これが逆に書き言葉と話し言葉の差を大きくしてしまいました。そしてこの話し言葉が古典ラテン語に対し俗ラテン語と呼ばれ、これが徐々に変化してフランス語へと発展していきます。

11世紀から13世紀にかけてこのフランス語は形を確かなものへと築き上げていきます(古フランス語時代)。ラテン語と比べ、表現が豊かで、またその表現自由度が高いため混乱を防ぐため、身振りなどがとても大きかったそうです。また方言なども各地に発生 し、東部方言(フランコ・プロヴァンス)、北部方言(オイル語)、南部方言(オック語)に分けられます。リヨン、ジュネーブ周辺はフランス領になったのが遅いため、その方言もまた明確に区別することができます。また南部での言語変化は比較的小さかったのですが、北部はゲルマンの影響が強かったためオイル語内部はさらに多くの方言が存在しました。ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ロレーヌ、ヴァロニー、ピカルディー、ノルマンディーなどは、それぞれ特徴的な方言を持っていますが、イル・ド・フランスの方言、フランシア語に勝てるものはありませんでした。
13世紀後半にもなるとこれらの方言は衰退していき、フランシア語が「フランス語」として標準語となっていきます。そしてフランス語は諸外国に浸透してい き、特にイギリスへの影響は大きく 現在でも多くの英語がフランス語起源を持っています。フランス語が初めて海外進出したのは、 1066年の英国征服により、 英国の支配階級の言語がフランス語となった時でした。 この後、 数世紀に渡って英国の公用語であり続け、 近代になると、 強力な王権を背景として世界の外交語として使用され、 プロシアやロシアの宮廷知識人の間でも話されていたということです。

17世紀初めまでは今見てきたようにフランス語は自然的に発生発展を進めてきました。しかし17世紀後半に なると、言語の統制が厳しくなり、18世紀に入ると、文法家たちによって言語を統制するための法などがつくられました。そして彼らにより今日のフランス語が完成します。しかしながらフランス革命後の言語調査によると、フランス総人口2800万人のうちフランス語を正しく話せるのは300万人に満たなかったそうで、その後革命政府はフランス語普及に努めました。また徴兵制度や交通手段の発達、新聞の普及なども手伝って、フランス語はフランス全土に広がりまし た。一方20世紀には少数言語を振興する方策をとるようになり、今日のフランスで大きな課題となっています。

また先にあげたようフランス語は国外にも大きな影響を与えました。今日フランス語を母国語とする人は7千万 人、28カ国で公用語となっており、国連の公用語でもあります。さらに諸外国の分布を見てみると、ベルギー、スイス、ルクセンブルク、イタリア、モナコ、 カナダ、ルイジアナ、ハイチ、グアドループ、マルチニーク、フランス領ギアナ、アフリカ、オセアニア、とあり、なかでも、ヨーロッパ・アフリカ・カナダが重要な位置を占めています。特にスイス、ベルギー、カナダではフランス語が第一言語として使用されており、それらの国はまた多言語併用の国でもあってフラ ンス語を話すコミュニテイは多言語のコミュニテイと共存しています。例えばカナダのケベックでは、フランス語が公用語であるが、教育ビジネスの場では英語が使用されています。

アフリカではフランス語は第二言語として使われており、特にアルジェリアやチュニジア、モロッコではフラン ス語は行政や教育の場では公用語となっています。またカリブ海地方では、17世紀にクレオールが文化や言語において特徴的な形を与えています。

また最後に、ここヨーロッパでは、母国語としている人はフランス本国で約5800万人、 カナダケベック州で500万人、 ベルギー南部で約400万人、 スイスの一部地域で約100万人、 イタリアのアオスタ渓谷で約10万人モナコで約2万人。 公用語とする国は5カ国、また、EUの公用語でもあり、実際、英語とフランス語が使用されています。

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(以上 参考:ウィキぺディア)

フランス語からきた言葉

外来語

外来語とは、外国語から日本に入ってきて日常の言葉として使われている言葉で、カタカナで表す言葉を指すことが多いです。さて、我々の日本語には、このようなカタカナで表記される外来語がたくさん含まれていますね。日本語は他の外国語と比べて音の数が少ない ため、無理やりカタカナに直そうとするとそこに発音のずれが生じてしまいます。それが、日本人のカタカナ英語といわれ、ほかの言語においても同様の現象が 起こっています。最近ではかなり音に忠実にあわせて表記されるようになってきましたが、それでもまだまだたくさん問題が残っています。

例えば、アルファベットのの音は、ではなく  と表記されるようになりました。しかし、はいつも 「ラ リルレロ」 のいずれかで表現されています。この日本語の「ラリルレロ」というのは英語でいう『L』の方に本当は近いのです。そして残念ながら私たちの日本語には『R』 の音がないのです。さらに、フランス語の《R》 は英語の 『R』 とは違い、日本人にはきっとチャレンジでしょう。では、少しフランス語からの言葉をいくつか見てみましょう。

フランス語からの言葉は食べ物に関するものがとても多く日本に入ってきています。

【a la carte】
アラカルト: cartとは「カ-ド」とか「葉書」という意味があり、ここでは「メニュ-」日本語でいう「献立表」という意味です。このアラカルトの「ル」はフランス語の《R》で発音しなけらばなりませんね。 さらに発音が困難だったのが次の単語です。

【hors-d’œuvre】
オ-ドヴル : 最初のhorsは 「~外、枠外、範囲外」という意味があり、hとsは発音しません。ですから日本語では「オ-」と表示されます。d’は 単語を結ぶ「~の・・・」といった感じでしょう。カタカナではと表示されていますがドゥのほうがより忠実でしょう。最後のœuvreは「作品 」、「業績」、「成果」という意味があります。要するに、〈料理のメイン作品外〉ということで、「前菜」ということになります。このœuvreと いうのが日本人にはとても厄介なのです。この最初の文字œは英語のアルファベットのoeを組み合わせたようなものなのですが、とても発音困難で、きっと近い音は出せても完全な音を出すのは難しいと思われます。カタカナ表記ではこの音が完全に消されてしまっているので、はじめフランス人には何を言っているのか理解してもらえませんでした。今でもまだ・・・。頑張って表記しようとすれば、ちなみに、《オードゥーヴル》。

では、さらにいくつかフランス語(もしくはラテン語)からの外来語を挙げていきましょう。

【croissant】
クロワッサン(croissant)は、フランス語では三日月を意味します。もともとは、17世紀末にオーストリアのウィーン市民が、オスマントルコ帝国の侵入を防いだ記念として、トルコ帝国の国旗にかかれていた三日月をまねてパンを作ったことがはじまりです。その後、ウィーンからフランスに伝わりまし た。

【crayon】

クレヨン: フランスでは、一般的にえんぴつのことをクレヨン(crayon)と言います。日本でいうクレヨンはクレヨン・パステル(crayon pastel)と言います。

【cognac】
コニャックはフランス南西部コニャック地方の特産で、その地名から来て います。

【foie gras】
世界三大珍味の一つフォアグラは「肥大した肝臓」という意味がありま す。(fois=肝臓、gras=肥大した、脂肪太りの)

【marron】
マロンは英語ではありません。英語ではチェスナットゥ(chestnut)といいます。 またマロングラッセ(marrons glacés)というと、糖衣(アイシングした)した栗となります。

【creme brule】
クリームブリュレ: 日本では、フランス語のクレーム(creme)が英語のクリーム (cream)になっています。bruleは、動詞brulerの過去分詞形で、「焼かれた」とか「焦がされた」という意味です。

【コロッケ】

明治のはじめ文明開化のころに伝えられた揚げ物料理のクロケット(croquette)を、日本風にアレンジしたものです。フランス語のクロケットは、 もともと「ぽりぽり食べる」という意味です。

【パフェ】

フランス語で、「完ぺきな」という意味のパルフェ(parfait)から来た言葉です。アイスクリームをくだものやソースで「完ぺき」にかざったものという意味から来ています。

【シュークリーム】

シュー(chou)はキャベツの意味。その形がキャベツに似ていることから、「クリーム入りのキャベツ」と名づけられました。フランス語では、シュー・ ア・ラ・クレーム(chou a la creme)というので、フランス語のシューと英語のクリームを組み合わせた和製語とも言えます。 しかし英語でシュークリームというと「靴クリーム」になってしまうので気をつけてください。英語ではcream puffといいます。

【deja-vu】

デジャヴュとは夢などで見たことを実際に体験するという意味ですね。心理用語で〔既視体験〕と言いますが、フランス語でも同じようにdejaは「もうすで に」、vuは動詞のvoir「見る」の過去分詞形で「見た」とか「見てしまった」という意味があります。

【coup d’Etat】
クーデターは英語でもそのまま使います。クー(coup)は「一撃」、エタ(Etat)は「国家」という意味がありま す。その間のd’は先ほどもあったように二つの単語を結びつける働きがあります。

【ナップサック】
今ではおそらくこのようにいう人は少ないかもしれませんが例として挙げてみます。英語ではbackpackといい、こちらの方が最近では使われているかも しれません。さて、この単語は、ナップ(nappe)=テ-ブルクロスとサック(sack)=かばん  から来ています。

【pantalon】

パンタロンは一昔はやったすその広いズボンをイメ-ジするでしょうが、フランス語では普通にズボンという意味で使われています。

【trombone】
トロンボ-ン というと楽器ですね。フランス語では書類などを留めるクリップという意味でも使われています。なるほど-と感じるでしょうか。

【encore】
コンサ-トなどでよく聞かれる「アンコ-ル」はフランス語のアンコ-(encore)から来ています。フランス語では最後のRの音を日本人が発音するよう に”ル”といってしまうと通じないかもしれません。何もいわないほうが本当の言葉に近づきます。

【petit】
プティ「小さい」という意味ですね。日本人はプチといって使います。ちなみに英語でプティ‐トゥ(petit の女性形petite)というと「(女性が)小柄でかわいい」という意味になります。

【grand】
日本人はこのグラン(grand)の女性形グランドゥ(grande)に近い発音グランドといいますね。「大きい」「背が 高い」などの意味があります。

【dessin】
デッサンは 英語ではdrawingといいます。ちなみに動詞はデシネ(dessiner)。

【チ-ズフォンデュ】
スイスのチ-ズフォンデュは有名ですね。フランス語ではユヌ  フォンデュ サヴォワイヤードゥ une fondue savoyardeといい、fondueがフォンデュを表しますが、もとの意味は「溶けた」です。動詞はfondreです。

【concours】
ピアノや絵のコンク-ルとよく言いますよね。これもフランス語からきています。英語ではコンテスト(contest )あるいはコンペテイッション(conpetition)といいます。

【Grand Prix】
コンク-ルにはグランプリがありますね。このグラン(grand)は「最高の」、プリ(prix)は「賞」を意味します。

【essai】
エッセ-は日本語では「随筆」の意味で使われていますね。フランス語にはこれ以外に「試し」「テスト」「実験」などがあります。動詞エッセイエ (essayer)で「何かを試す」とか「試着・試飲する」という意味になります。

【restaurant】
レストラン( restaurant )という単語はどうでしょう。 これはレストレ( restaurer) という動詞で 「(元気などを) 回復させる」 という意味があります。英語では同じrestaurantを使い、動詞には新しくリストア-(restore)という単語が作られました。

【ensemble】
アンサンブルは「洋服のアンサンブル」と「音楽の合奏」という意味が知られていますよね。フランス語では「一緒に」とか「同時に」という意味で使われるこ とが多いです。

【enquete】
アンケ-トもフランス語からきています。英語ではクエスチョネア-(questionnaire)となります。

【potage】
ポタ-ジュ 。英語でいうス-プ(soup)ですね。

【gourmet】
グルメは日本語にも英語にもなっていますね。 ちなみにグルマン(gourmand )は「食いしん坊の」という意味があり、イレ  グルマン(Il est gourmand.)というと「彼は食いしん坊だ」となり、英語で言うところの〈 He has a sweet tooth.〉となるのでしょう。

【manteau】
マントは英語でいうコ-ト(coat)ですね。

【masque】
マスクは変装用の仮面からいろんな用途のマスクを意味します。またその動詞マスケ(masquer)は「視界をさえぎる」「意見・事実を隠す」といった意味を持ちます。

【chanson】
シャンソンは「歌」という意味のほか「鳥のさえずり」という意味もあります。

【champagne】
シャンパンはフランスにある地方名からきています。

【buffet】
ビュッフェは「食器戸棚」という意味もあります。

【aventure】
アヴァンチュ-ルは英語のアドヴェンチャ-(adventure)と同じですね。「冒険」「意外な出来事」といった意味です。

【pret-a-porter】
プレタポルテのプレ(pret)は「用意のできた」、ポルテ( porter)は「洋服などを着る」という意味があり、「高級既製品」というふうに訳されます。

・・・番外編・・・

【フランスパン】
フランスパンは、フランスでは見つけられません。フランスではbaguetteといい ます。もともとこの単語の意味は「細い棒」で、複数形にすると「箸」になります。日本人がイメ-ジするフランスパンも長いパンですよね。

【ラ・フランス】
フランス語では la France というと「フランスの国」を示します。フランスではただ単に「梨」という意味のpoireを使います。

逆に、日本語からフランスに輸入されてきた単語もあります。食べ物関係でいくと、「すし」や「酒」「わさ び」、それから「柿」「しいたけ」などもスーパーなどでアルファベットでそのまま書かれていました。あと面白いのは日本のお菓子「ポッキー」がこちらでは 「みかど(MIKADO)」として売られていることです。スポーツ関連でいくと「相撲」「柔道」「空手」などがあげられます。仏大統領シラクさんも大の相撲ファンとして有名です。そして企業名はどこの国でも知られているように一般にフランスでも使われています。電化製品、コンピューター、自動車などさまざまな分野で日本の製品が活躍しています。もちろん「サムライ」「カミカゼ」といった文化を示すような言葉もそのまま取り入れられています。

きっと日本にあるフランスのレストランやお菓子屋さんなどの名前をチェックしてみると結構フランス語の勉強 になるかもしれませんよ。

*フランス語に使われるアクサン記号は使っていません。