ヨーロッパの税金
ヨーロッパの人々は世界で一番高い税金を払っている!
まず各国の2002年におけるGDPパーセンテージとしての税歳入をみてみましょう。
スウェーデン | 50.6% |
デンマーク | 49.4 |
ベルギー | 46.2 |
フィンランド | 45.9 |
フランス | 44.2 |
オーストリア | 44.1 |
ノルウェー | 43.1 |
イタリア | 41.1 |
オランダ | 39.3 |
チェコ共和国 | 39.2 |
ハンガリー | 37.7 |
アイスランド | 36.7 |
ドイツ | 36.2 |
イギリス | 35.9 |
スペイン | 35.6 |
ギリシャ | 34.8 |
ポーランド | 34.3 |
ポルトガル | 34 |
スロヴァキア | 33.8 |
スイス | 31.3 |
アイルランド | 28 |
*アメリカ 28.9%
*EU15 40.5%
*日本 27.3%
*2001年度の統計
高い税金を払うと….
まず、充実した福祉サービスが受けられる他、健康保険、安い公共交通機関、町の清掃、さらにはヨーロッパでは教育機関になどが私立をのぞき無料。大学がなんと無料。初めて聞いたときはそんなことが可能なのかと驚きましたが。さらに学生の間は国から家賃の手当てがもらえ、さらにはファストフードレストランなどでは学生証を提示するとおまけがつくという。いたりにつくせり。医療費も日本と比べるともちろん安い。ほとんどが保険で支払われるので、なんでもない小さ なことでもお医者さんに見てもらう。
上がり続ける税率
しかしながら、税金はここ30年の間に急激に上がり、多くの人々が嘆いています。サービスは向上しないのに、どうしてより高い税金を払わなければいけないの かと。
あるフランスのアンチ・タックスグループが”税解放の日”を祝う新聞広告を出しました。『2004年度7月16日までのフランス人がつくり出 した所得(半年以上)は、全て政府へ支払われる計算である。』多くの経済学者、財政アナリスト、さらには政治家でさえこのままではいけないと訴えています。
こういった運動はヨーロッパ全土にみられ、オーストリアは法人税を34%から25%に下げることを承認。2005年度より施行。またベ ルギーでは去年法人税を40%から34%にカットしました。ちなみにエストニアにある企業は国内に再投資する利益については税金0。さらにドイツでも今年わず かながら所得税の値下げ。
フランスでは多くの企業家たちがこういった高額の税金から逃れるため国外へと移住。ボルドーにあるビジネススクールの教授はこう いった企業家の流出により1千億ユーロの価値が失われたことになると見積もっている。
EU統合による新たな問題点
EUの新しいメンバーである多くの東欧諸国は西欧諸国よりも低い税率。企業に対する実質税率は平均21.3%で、旧メン バー平均の29.4%を下回る。その結果、EU政府にとって税政策が大きな課題となっているそうです。例えば、フランス、ドイツなどの国々は”調和”を大切にと他の税率の低い国々も彼らのように高い税率へ引き上げるようにと主張しているのですが、EU本部では大多数の賛成を受けていない。
アイルランドの自慢
ここでアイルランドについて。この国の自慢は過去15年間において個人所得税を35%から20%へ下げたこと。 また法人税なども値下げ。アイルランドの税金は過去7年間で24.5%と18%ポイントも下がった。このことは、例えば100ユーロ稼ぐと、平均的アイ リッシュ人は家へ75.50ユ-ロもって帰ることができる。一方ベルギーでは、同じ稼ぎでも45.50ユーロしか持ち帰れない。さらにこの低税率のお かげでアイルランドでは、失業率が5%以下にまで改善されました。
しかしながら他国がこの政策を適応するのかどうか・・・。多くは90年代のこの驚くべき経済成長をEUの助成金のおかげだとしている。さらに は、現在の状況として、この経済成長は速度をゆるめ、財政赤字を引き起こしている。しかしながらアイルランドの教訓はその低い税率だけではなく、そのシン プルな税金の種類にもある。20年前この国には6つの異なる所得税のカテゴリーがあったのだが、現在は2種類だけである。
労働と消費
ヨーロッパのもう一つの不満は、労働と消費に高い税がかけられること。その率はアメリカよりもはるかに高い。そのことが EU政府の国民の消費力、雇用、開発の活性化という目標と相反してしまう。例えば、最近ベルギーでは科学研究者をかかえる企業に対する社会保障負担を 半減するという案を認可。またフランスでは、小さな会社”Young Innovative Enterprise” という新しいカテゴリーを設けた。設立より3年間は完全に免税され、その後2年間は50%の割引が与えられる。
税金の無駄遣い
2003年フランス司法省は非行少年用の少年院を数件増加した。その中でも、ノルマンディーにある大きな公園とプールつき の18世紀の城を使ったのである。そこでは8人の非行少年を監督するのに27人の人々が雇われている。フランス人の税の年平均支払額は170万ユーロ。そ れに加え、城に対して61万ユーロ。フランス政府は、年間約1千億ユーロの無駄遣いをしていることになる。これは高いように見えるが、実際1980年以来 30%ほどフランス公共サービスが膨れ上がってきているのは確かだ。フランス人4.3人のうち1人が政府のために働いていることになり、政府のお給料は国 家財政の43%にもなる。財政省ニコラス・サルコジは公務員を減らすことが一番の解決法だと言い、すでに5000人の税検査官を解雇する計画を発表してい る。
さらに、フランスには実に法外な税金が存在する。財産に対する税金で、おそらく世界で一番広範囲のものといえる。フランソワ・ミッテラ ンにより1988年に現在の形で施行され、72万ユーロ以上の財産のあるものに対して税金がかけられる。その対象となるものは、株や証券、銀行口座、不動 産、さらには個人的所有物でさえ適応される。約300,000人のフランス市民と在住者がこの政策の犠牲にある。そしてこのことが、才能ある人物をフラン スから追い出しているのだ。多くのフランス人は、金持ちはたくさん払うべきだと考えているのだが、そういったお金の余裕のある人々がビジネスを生み出し富 を呼んでいるとは気づかないようだ。
以上TIME紙より参考