ペット問題

最近とても気になっている問題の中にペット問題があります。フランスに住み始め、たくさんの人がいろんなペットを飼っているのですが、そこでいろんなことを考えさせられました。

とりわけパリではペットとして犬を飼う人が多く、犬に関する諸問題をよく耳にします。

その1
犬の糞問題。これは以前にも別のページ(フランス人は犬がお好き)で紹介したことも あるのですが、町のいたるところで犬の糞やら尿やらが放置状態です。アパートの入り口前、横断報道上、地下鉄内、嫌がらせでしょうかお店のショーウインドウのわずかな枠のスペースに誰かが置いた(?)のか器用な犬がいたのか・・・分かりませんが、マナーの非常に悪い飼い主がいます。

その2
放し飼い問題
。基本的にパリのメトロは本来犬を連れて入れません(小型犬は条件付で認められています)。が、ときに、大型犬を平気で乗せてくる飼い主がいます。通常大きな犬は、安全のため口をふさいでいなければいけないのですが、そういったことも無視して電車に入ってくる飼 い主さんがいます。犬は好きだけれど、ちょっと怖いときがあります。

例えば、次はフランスで起こった事件です。

パリ郊外で17ヶ月の女の子がAmerican Staffordshire terrierという種の犬にかまれ死亡。家族で親戚を訪れていたところこの悲劇が起こってしまった。アパート内に入ろうとしたところ、その犬が女の子に 飛び掛ってきた。母親は飛び掛って来るのは分かったが、子どもを助ける時間がなかったと言う。フランス政府では危険な犬の所有に対する前面禁止をサポート するとしている。 2週間の内に2度も同じ事件が起こってしまった。(参考:Euronews 2010年)

普段でも危険な光景に遭遇することがあります。例えば、ホームレスの飼っている(?)犬が放し飼いで、通りを歩いていた小型犬に噛み付 いたのを目撃したことがあります。その犬は足を攻撃されそのあと引きずるような感じでしたが命は大丈夫でした。

野良犬ではないし、すぐそばに飼い主がいるし、と思っても油断できません。くれぐれも注意しましょう。

その3
捨て犬/捨て猫問題
。これはフランスだけではないですね、日本もそう、世界中どこも同じ。かわいい!と思って飼うのだけれ ど、成長して大きくなり面倒もかかってくると捨ててしまうのでしょうか。

SPF(Bien-être animal du service public fédéral)によると、フランスでは2008年度68.947匹の犬猫が施設に保護されたそうです。この数字は2007年度の68.640と比べわず かに上昇したことになり、さらに2008年度は捨て猫が捨て犬の数を上回ったことになるそうです。これにより施設が飽和状態に陥り、ペット用の猫に対する 不妊処置を法により義務付けるよう提案している

ヴァカンス期の捨て犬/捨て猫数はさらに飛び跳ねます。とくに夏のヴァカンスでは長期休暇に出かけるためペットがどうしても問題になっ てしまいます。去年、近所のおじさんが2匹の犬を連れて近所のおばさんと話をしていました。そこに主人が加わり何を話していたのか説明してもらったとこ ろ、2匹のうち1匹はおじさんの犬だけど、もう一匹は犬友達(?公園でたまに会うような)の犬で、ヴァカンス前に預かって欲しいといわれその後ずっと連絡 がないままそのおじさんが飼っているんだとか。かなり怒ってました。その後本当の飼い主が現れたかどうかは???です。「かわいい」「家族の一員よ」といいながら飼っていたのに、ヴァカンスをとってしまうんですね・・・(悲しい話です)。

どのような犬や猫が捨てられるのか?

66% 1才から5才まで。つまりその犬や猫が大人になる年。
90% 中型~大型犬
70% 血統をもたない雑種。多くは個人宅で生まれ、知り合いにもらわれたり、責任感や心構えの薄い買い手に安く売られたりする。

 

どんな人が捨てるのか?

74% 引越しの都合。
73% 別離/離婚あるいは結婚など。
50% アレルギーのため。
33% 攻撃的、よく吠える、あるいはしつけ不十分などの欠陥のため。

 

さらに85%の飼い主が何のためらいもなくペットを捨てる。おもちゃとして数年飼ったのち、あるいは責任がさらに重くなってきたりすると捨ててしまう。例えば飼う場所、毎日の散歩など。(以上30 millions d’amisより参考)

飼う人の無責任さもあるけれど、それが商売として成り立ってしまっている世の中もどうなんでしょうね。どんどん繁殖させられ売られていく一方、売れ残ったもの、捨てら れたものたちがどんどん施設に送られていく。

France-soir紙によると、動物でいっぱいになった施設では、まず最初にかわいい動物たちがもらわれていき、年をとった動物たちはそこで余 生を過ごすことを余儀なくされてしまうとあります。30 millions d’amisの代表者によると《年老いた犬は費用がかかるので人はなかなか引き取りたいと思わない》と説明。そこで年をとった犬を引き取ってくれる家族に 600ユーロの補助金を提供している。そのお金で新しい飼い主は獣医にかかる費用やえさ代のコストを削減できる。もし飼い主がお金だけを目的にして飼うといけないので、獣医にかかる際には直接その病院にお金を支払うこともある。こうした中、10歳以上の年をとった犬が1,500匹、新しい家族を見つけてい る。(以上France-soirより参考)

最後の最後に素晴らしい家族にめぐり合えた動物たちは幸せでしょうね。でも、この数の裏には不幸に一生を終える他の仲間たちがいるということを忘れてはなりませんが。

以上フランスで見られるペットに関するさまざまな問題を挙げてみました。繰り返しになりますが、これはフランスだけの問題ではありませ ん。同じような問題がいろんな国で見られます。そう、日本でも全く同じことが言えるのではないでしょうか。

日本の捨て犬/捨て猫問題

先日フランスのあるニュース番組で日本のどこかは分かりませんがある施設で捨て犬がガス室に送られる映像が伝えられました。「え、これが私の国?」と、正直なところ思ってしまいました。かなりショックです。知ってはいるものの、実際見るとつらいですね。

日本では、あまり捨て犬などを引き取るという習慣がないような気がします。フランスと同様にペットを飼う際の費用の面もあるし、何より も土地が少ないので飼うスペースの問題が大きいのではないのでしょうか。

それにしても忠犬ハチ公物語が生まれた国が、こんな風になってしまうなんて・・・。

環境省の調べでは2006年度には14万2000頭が捕獲収容され、そのうち11万3000頭が処分されたということです。

どうにかならないのでしょうか・・・・。