大中小

フランス語は英語と同じ語彙をたくさん含んでおり、なんだか読んでいるとだいたい意味が分かってしまう(厳密には英語がフランス語から言葉を拝借しているのですが)。ですから英語のちょっと上のレベルの単語をたくさん知っていれば、多くがフランス語からきているものだと気づきます(厳密にはラテン語 ルーツ)。

例えばフランスの日常生活で:

レストランで大きなお皿にたくさんお料理がのって出てきました。そこで、”Copiuex(コピユー)!”と誰かが言っているのを聞い て、あー英語のcopious「豊富な」ね、と思うのです。フランス語でも「たっぷり」とか「豊富」という意味を持っています。

あるいは、テレビのニュースを見て”Quel lamentable(ケル ラマンターブル)”と誰かが言っています。なーんだ、フランス語も同じじゃない、と思うのです。英語でも lamentable 「情けない、遺憾な」。ただ発音が違う。フランス語は後ろのラーブルに、英語は前方にアクセントが来ます。このアクセントが曲者で最近私の英語はフランス 語に引っ張られぎみ・・・。

しかし!いつも意味が一致するというわけではありません!ここが落とし穴。

例えば、

prejudice (プレジュディス)、これは英語では「偏見」という意味なのですが、フランス語では「損害」という意味になってしまいます。フランス語では prejuge(プレジュジェ)が「偏見」。こういった単語がややこしいのです。

英語でinjure(インジャー)って「けがをさせる」だけどフランス語だと(アンジュール)となり「ののしり言葉」となってしまう。

そして先日、主人に英語のテストをしてやろうと質問したのが次の句です。皆さんの英語力も試してみてください。

A small medium at large

どんな意味だか分かりますか。smallは初級レベル、「小さい」ですね。次中級レベル mediumの意味は?「中間、中位」の意味しか出てこないと初級レベル。他に「媒介物」、中間を取り持つというところから「巫女、霊媒師」という意味に 発展していきます。ここでは後者の霊媒師の意味を取ります。するとa small mediumは「小柄な霊媒師」という意味が出てきます。さて最後に上級レベルat largeの意味。ニュースを読んでいたりすると見かけることがあるかもしれませんが、「(犯人などが)逮捕されていない」という意味を持っています。つ まり、「小柄な霊媒師逃走中」というニュースの見出しになります。単語だけ見れば大中小という単純なものですが、意味が広がります。

さてフランス人の主人、でも英語はよくできます。ただ私と同様フランス語と英語の間で引っ張り合いがあるのです。

a small mediumはばっちり。ちなみにフランス語で「中間、中位」というとmoyen(モワイヤン)ですが、mediumはずばり「霊媒」を指します。そして at large、これがau largeに邪魔されてしまうのです。フランス語でAu large(オー ラルジュ)!と言うと「近寄るな、離れろ」となってしまうのです。「小さな霊媒師、あっちへ行け」???

うーん、年をとるにつれて記憶力がついていけるのかどうか・・・。頑張ります。

*(注)アクサン記号は省略しています。