「目からウロコが落ちる」ということわざ皆さんもよくご存知ですよね。「あることをきっかけに、物事の真相が急に分かるようになった」という意味で使われています。でもこの言葉どこから来たと思いますか。中国の故事とか日本の起源たと思っていませんか。私もそう思っていました。
先日辞書を使ってフランス語の勉強していた時、偶然この「目からウロコ」というフランス語表現を見つけ、「へー、フランス語でも同じ表 現をするんだ。」と思っていたら、意外な事を発見。この「目からウロコ」は実は聖書から来ているんです。ですから、私たち日本人が西洋の表現を借りている ということになりますね。
Les ecailles lui sont tombees des yeux. (レゼカーィ ユ リュイ ソン トンベ デジュ)
*ecaille= ウロコ tomber= 落ちる yeux=目
新約聖書の中に、キリスト教を迫害していたサウロが突然、天の光によって目が見えなくなってしまうという話があります。その後、キリス トの啓示を受けてやってきたキリストの弟子アナニアに出会い目が再び見えるようになるのですが、その時にサウロの目からウロコのようなものが落ちたと 記してあります。そしてサウロは改心し、パウロとしてキリスト教の重要な伝道者となり、この言葉も同時に広く伝わっていくことになります。
【こぼれ話】
パウロで「あっ」と思い出したのですが、この春に行った地中海に浮かぶ国マルタはこのパウロと深い結びつきがあります。紀元前1世紀にマルタに漂着したパウロはそこで布教活動を始めます。そしてそこでもまたある奇跡が。地中海を航海中、暴風雨に遭い、偶然マルタという島にたどり着いたパウロですが、そこで 毒蛇にかまれてしまうハプニングにみまわれます。しかし、かまれた後、何も起こらず平気でいたことから、マルタの人々は本当に神聖な人物なのだと信じキリスト教へと改心していったということです。
マルタにある聖パウロ教会に展示してあった、パウロと毒蛇の物語を伝える絵。
そしてその地下には聖パウロの洞窟が。漂着したパウロが隠れ住んでいたとされています。またこの洞窟の石壁に触れるとパワーがもらえる という言い伝えも。当時はキリスト教が迫害されていた時代でもあり、多くの信者がこういった地下に墓地や居住スぺース(カタンコンベ)を作り隠れながら生活をしていました。
右上は、キリスト教最古の絵と信じられている壁画だそうです。暗闇の中で一心にキリスト教を信じ続けたんでしょうね。地下の中は迷路の ように入り組んでいて、出口に戻れなくなりそうなくらいでした。
一つのことばにも歴史ありです。こんな事実を知ったあなたも私も「目からウロコ」ですね。