外国語を勉強していると“え、こんな言葉が存在するの?”というような驚きによく遭遇します。最近感心した単語が犬好きを表すcynophile。
英語で親日家というとJaponophileということばがすぐ浮かんできますね。
bibliophileは愛書家というように、このphileという部分に好きという意味が含まれています(ギリシャ語から由来)。
ちなみに嫌いというのはphobeで表します。
xenophobia 外国人嫌い/対人恐怖症
さて本題のcynophileですが、phileが好きを表しているということで、それではcynoの部分が犬ということになりますね。
そうこのcynoの部分がとても興味深いのです。シニカルなという言葉をよく耳にしますが、このシニカルのシニは犬から来ている!ということを発見。
英語ではcynical、フランス語ではcyniqueと表記します。
とりあえずフランス語のページなのでフランス語の辞書を調べてみたところ、cyniqueとは反世間的な、良識に逆らうという意味と、哲学では犬儒〔キニク〕学派のという意味も持つそうです。そしてこの犬儒学派(キュニコス派)はどんなものかというと、禁欲を重視し、無為自然を理想とすることだそうです。
現実社会に対しては諦めた態度を取っており、古典期の社会(ポリス)参加を重視する理論思想とは大きく異なった思想である(Wikipediaより)。
この思想を実践したのがDiogenesという古代ギリシャの哲学者。彼は思想体現のため犬のような生活を送り「犬のディオゲネス」と呼ばれたそうです。
犬はフランス語でchienですが、英語と同様ネガティブな意味も多いですよね。
vie de chien 惨めな生活
travail de chien つらい仕事
ちなみに英語でcynicを調べてみると、皮肉屋とか冷笑家もしくはすね者とあります。人間の行動を全て利己的だとし、全てに不信だとか軽蔑を抱いている人を指すそうです。
He is a cynic. He is tuning his back on the world and snarling at everyone…Sometimes I feel like it…Actually many people feel like it in the modern world, I guess.