≪La video de Sarko fait un tabac≫
「仏大統領サルコジのビデオがタバ(たばこ?)を作った」と、こんな見出しをパリのフリーぺーパーで見か けました。きっとこれはtabac(たばこ/たばこ屋)という単語を使った何か表現なんだろうと、主人にその意味を聞 いてみました。
すると主人、「そうそう、このニュース、そのビデオ見せてあげようと思ってたんだよ。サルコジがサミットの会談で、ロシアのプーチンにお酒を勧められて、飲めないのに飲んだら、その後の記者会見でほろ酔いになっていて、そのビデオが流されてるんだよ。」と、うれしそうにそのビデオを見せ てくれました。全く乱れてはいませんが、一生懸命なのが伝わってくる記者会見の様子でした。
サルコジはジョギングしたり、このようにお酒でほろ酔いになったり、今までの大統領が使っていた堅苦しいフランス語を使うのをやめたりと、親近感のある大統領として見る人と、そうでない人も…。
で、本題のtabacですが、まず見出しの≪La video de Sarko fait un tabac≫は、やはり(たばこ/たばこ屋)という意味ではなく、faire un tabac で 「人気を得る」とか「当たる」という意味ができるそうです。ですから、正しくは「仏大統領サルコジのビデオが大当たり」 とでもなるのでしょうか。
その続きの記事を見ると、
【百万人以上のインターネット利用者がサミットでの記者会見ビデオをダウンロードした。それはベルギーで流されたニュースで、その中でプレゼンテーターがフランス大統領がお酒を飲んでいたとほのめかした。そのジャーナリストはしかるべき筋に謝罪するためにブリュッセルにあるフランス大使館に連絡を取ったと、ベルギー放送局が明かしている。】(フリーぺーパー Metro)
そう、そのちょっと酔っ払った大統領を見ようと多くの人がそのビデオにアクセスし、大当たりfaire un tabacとなったというわけです。
フランス人だからといって
みんながお酒を飲めるというわけではないんですよ。
うちの主人もアルコールは飲めません。
ちなみにコーヒーも。
うちではもっぱらお茶です。
で、なぜtabacなのか。私の疑問への追及は続きます。主人もよく分からないというので、辞書で 調べてみました。すると、なんということでしょう。そこには2種類のtabacがあったのです。
tabac(1):たばこ/たばこ屋 Je vais au tabac. 「たばこ屋へ行く」
tabac(2):<話し言葉>(無抵抗な人に対する)殴打
そしてこの(2)の意味でいくつか熟語が作られています。
coup de tabac (激しく短い)嵐 / <話し言葉>困難、危険
passer ~ a tabac <話し言葉> ~をひどく殴る
faire un tabac <話し言葉> 「スターや劇などが」人気を得る、当たる
またtabasser<話し言葉>「(人)を殴りつける」という動詞もありました。