キュロット

キュロット、以前はよく聞いたこの言葉、最近はあまり聞かないですね。ズボンのように分かれているスカート。もともとこのキュロットという言葉はフ ランス語で由来がちゃんとあるんです。

フランス語ではculotte(キュロトゥ) といい、「半ズボン」という意味がまず最初に現れますが、もともとはお尻の部分を隠すものという意味で、それは話し言葉であるcul(キュ) という言葉を見るとヒントが隠されています。cul(キュ)とは、「尻、けつ」または「(瓶などの)底」という意味 を持っており、下品な言葉として使われるので気をつけてくださいね。さらに最近の傾向としては、このculotte(キュ ロトゥ)という言葉は、「半ズボン」という意味は廃れてきて、それよりも「下着のパンツ」特に女性用のショーツだとかに使われているそうです。うちの主人にも「キュロトゥ」って何と聞くと一番にパンツと言っていました。

culotte
これが私たち日本人の思うキュロット。でもフランスではこれが今は下着に。

ではキュロットの歴史について少し。

フランス革命時代(1789年~1804)、職人や労働者を示す言葉としてsans-culotte(サ ン・キュロット)が使われていました。これは「キュロットをはかない人」という意味です。sansとは「~なしで」と いう意味。当時貴族の間で流行っていたキュロット(半ズボン)でしたが、庶民のファッションではなかったため、貴族が庶民を馬鹿にしてsans-culotte「キュ ロットをはかないやつら」と呼んでいたそうです。これに対して、労働者は不公平な身分制度に反対する意味を込めて、自分たちを同じように呼んでいました。 彼らは重税に苦しんでいましたが、参政権は持っていませんでした。そういった背景もあり、フランス革命はサン・キュロットにも支持されていました。バス ティーユ牢獄を襲撃した7月14日事件など初期の革命は彼らによって主導されていました。彼らが起こした運動が議会に圧力をかけ、革命にも影響を与えまし たが、1790年代後半になると徐々に衰退し、ブルジョワにその地位を奪われてしまいます。参政権を持たなかったこと、ブルジョワ主導の国民議会によって 革命の趣向が決められていったことが、本来の民衆革命から、ブルジョワ革命へと変わり、サン・キュロットの勢力が衰退していった原因になってしまっ た。(以上Wikipediaより)

このようにに、キュロットにも歴史ありです。

さらにculotte(キュロトゥ)を使ったおもしろい表現をひとつ。

Elle porte la culotte. (エル ポルトゥ ラ キュロトゥ) 「彼女は キュロットをはいている」から転じて「彼女は亭主を尻に敷いている」という意味になります。彼女が主導権を持っているという感じですね。でもフランス語でも日本語でも「尻」が使われているのはおもしろい発見です。

また英語でも、キュロットculottes(複数扱いで、後ろにアクセント)と存在します。意味も 「女性用のズボン式スカート、キュロット」とあります。でもこのフランス語の「亭主を尻に敷く」という表現を見つけたときに ピーンときたのです。英語にもあったあったと。でもその単語はculottesではなかったはず。なんだったっけー。 夜眠れないくらい気になってしまって、調べました。辞書で一度目にしたのは確か。でも思い出せない。1時間ほどがんばった末、主人に助けを。「インターネット使えばいいじゃない」と。気になりすぎてそんなすばらしい解決方法を忘れていました。眠かったし。そしてフランス語でculotteと 入力。すると英語訳が2つ出てきました。culottesともう一つそうbreeches! この単語を探していたんです!!

breeches(ブリッチズ)、意味は「(乗馬用・宮廷用の)半ズボン」と「(口語)ズボン、半 ズボン」です。そして同じく、She is wearing the breeches. というと「夫を尻に敷く」という意味になるのです。

キュロットでこんなに頭を使うなんて。でもこれが私の語学の楽しみなのです。

culotte culotte
これが乗馬用キュロットもしくはブリッチズ。乗馬をされている方なら詳しいはずですよね。