Soccer vs Football
日本人やアメリカ人はサッカー、でもヨーロッパではみんなフットボールと呼ぶ。フランス人は略してfoot(フット)と言っていますが。
またアメリカにはアメリカンフットボールと呼ばれるスポーツもあり、とても紛らわしいです・・・。
歴史を探ってみますと・・・
もともといろんなタイプの”football”が19世紀には実践されていたそうで、イングランドにあるパブリックスクールのRugby(ラグビー)校で最初の正式な”football”のルールが決まりました。
そのルールとはどちらかというと少し乱暴なもので、楕円形のボールを使い、また”football”というにも関わらず手を用いてもよいというものでした。これがいわゆるRugby(ラグビー)で、アメリカンフットボールはその流れのバリエーションの一つです。
さらにケンブリッジなど他のスクールが、もう少し優しいルールの”football”が良いとして、丸いボールを使った”football”を推奨。これが今日のFootball、アメリカンの呼ぶSoccerです。
フランス語では、様々なタイプのFootballの呼び方をイギリス英語を基にして変更してきました。
20世紀に至るまで、楕円形ボールを使ったものはfootball rugby (英語rugby football)、球形ボールを使ったものはfootball association。football associationというのは『フットボール協会』という意味です。1863年にフットボール協会により正式にこのスポーツが成文化されたことによります。
さらにfootball rugbyはrugbyと短縮化され、football associationはfootball、さらにはfootとしてフランスの口語の中へと浸透していきました。つまり日本人の知っているサッカーというのはヨーロッパではフットボールと呼ばれるようになったということです。
アメリカへ渡った”Football”(ラグビーのいとこみたいな・・・)は、ヨーロッパのフランス語話者の間でfootball american にするかrugby americanにするかで困っていました。
そしてケベックのフランス語では、アメリカ英語をモデルにすることに。そして、アメリカで実践されるスポーツはFootball(フットボール)と呼ぶことになりました。厳密に述べるときは、American football(アメリカンフットボール)、あるいはCanadian football(カナディアンフットボール)。丸いボールを使った方はSoccer(サッカー)。
ラグビー(rugby)に関しては、アメリカではプレーされることがなかったので、名称変更は起こりませんでした。
名称の成り立ちについては、American footballはrugby footballのrugbyが消去。Soccerは、ちょっとややこしいのですが、(football as)soc(iation)のsocの部分が取り出され、人を表す接尾辞-erがつけられsoccerとなりました。soccerという言葉自体はイギリス英語ですが、イギリスでは廃れ、アメリカの地で広がることになったわけです。
当時多くのヨーロパ人がアメリカ大陸へと渡り、彼らは自分たちの大好きなスポーツ=Footballをアメリカでもうすでに根付いていたラグビーのいとこ=American footballと区別したかったのです。
複雑な歴史が名前に隠されていたわけですが、今でもこのややこしさが残っているような感じですね・・・。