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フランスの色

フランスと聞いて何色を思い浮かべますか。日本が日の丸のように、フランスもトリコロールの国旗をイメージしますよね。トリコロールとは3つの色という意味で、青・白・赤を指します。

french flag国旗
赤と青はフランス革命軍が、帽子に付けた帽章の色に由来し、それぞれ、青が自由、赤が博愛を示しています。白はブルボン朝の象徴、白ゆりに由来し平等を。 おもしろいのは、この国旗の色の比率。昔は青30:白33:赤37だったそうです。これは、白という色が人間の目には明るく映り大きく見えるということを 考えてのことだったそうです。現在では海軍を除き、3色とも同じ幅に定められています。

フランスの国旗は、また、革命運動の象徴でもあり、のちにルーマニア、チャド、イタリア、メキシコなどが革命後そのデザインを継承していきます。
ポスト
ポストは日本では赤、そしてここフランスは黄色。アメリカでは青でした。

japanese mailbox french mailbox american mailbox
左より、日本、フランス、アメリカのポストです。

信号
上の写真を見て信号を思い出しました。日本人は「赤・黄・青」と言いますよね。でもフランスでは「緑・オレンジ・赤」。確かに緑と言われれば緑のような、 でもオレンジは…。

まず、最初の信号機を設置した国はイギリス。この信号機の色は国際的に決められています。そう、ウィーンにある「国際照明委員会」によって正式に決められている信号の色は「赤・黄・」。

英語のウィキペディアの説明を見てみると、信号機のa red light(赤信号)はその色合いにオレンジが、そして a green light(緑信号)には青が色盲者のために加えられていると。 そしてa yellow light(黄色)はan amber light(琥珀色)と呼ばれることもあると。

うちの主人(フランス人)も、黄信号のことをorangeオレンジかambre琥珀色と確か言っていました。

traffic light

また、なぜ赤は「止まれ」なのかというと、西洋では赤という色は悪魔の色で、「戦火」「災害」「懲罰」を象徴しており、黄色は「注意が ある」という象徴で使われています。黄色は明るい色で、視認性が優れているとされ一番注意を引く色としてみなされています。そして緑(青)は「平和」「希 望」という意味から使われたんだそうです。

では、どうして日本で緑が青になったかというと、古代日本には色彩を表す固有の語を持たず、赤・黒・白・青の四つ、明暗濃淡で考えていたからです。赤は明るい色、そして青は淡い色調を意味し、また日本人は緑を青の一部と考えていたようです。日本に信号が設置された当初は確かに日本人も 「緑信号」としていたものが、当時の新聞で「青は進め」と発表されてしまってから、「青信号」と言うのが一般的になったそうです。

この色に関する考え方は私たちの文化をよく表しています。例えば日本を代表する単色文化では、人々 は同じ発想を持ち、同じ行動をし、表現が概念的で、一つの言葉の中にさまざまな意味を含むようになります。また、言語の単数、複数表現がとても曖昧。それ に対し、複色文化では、多様な発想、行動、「これが私のカラーよ」と、個人主義的。表現は断定的で、YES NOをはっきり言う。言語では複数単数を明確にする。

日本の「青」でもう一つ。「まだまだ青いな」と言って、「幼い、若い、あるいは未熟」であることを表現しますよね。フランス語では、緑 はvert(べール)。人に使うと、特に老人などが「若々しい」とか「元気な」と言う意味になります。「未熟」という意味ではTu as un blanc-bec(白いくちばし)。また英語でも、緑を使って、He is green in experience.「(経験など)が浅い」 とか「世間知らず」という意味になります。

太陽と月
こちらは以前日記でも紹介しました。フランス人と日本人の次の会話を読んでみて下さい。

フランス人:「えっ、月って黄色? 白じゃないの?」

日本人:「えー、月は黄色だよ。」

フランス人:「黄色いのは太陽の方だよ。」

日本人:「えー、太陽は赤だよ。」「太陽の絵は何色で塗るの?」

フランス人:「黄色かオレンジ。」

日本人:「えー、赤だよ。」

太陽の色と言えばやはり、アメリカにいる時に、子ども達が黄色で塗っていました。確かに現実の太陽って赤くはない。どちらかといえば黄色とかオレンジ。ではどうして日本人は赤なんでしょう。多分、火=赤という概念がインプットされているのでしょう。黄色オ レンジも赤の一部。

でも月は、黄色? 月は太陽の光が反射して黄色に見えてるだけで、実際の月の色は肌のような褐色なんだ そうです。確かに宇宙の映像とかに出てくる月って黄色ではありませんよね。白っぽく見えたりします。黄色い方がなんとなくきれいな感じもしますが、西洋人は現実的です。

moon

ちなみに月といえば、日本ではうさぎがもちつき。

東洋では月は陰の象徴で、女性と関連すると考えられていました。故に月経と呼ばれたり、竹取物語ではかぐや姫が月へと帰っていきました。

一方、西洋では、太陽と並んで神秘的な意味を思っています。月が人間を狂わせるという考えがあり、英語 のlunaticとは「気が狂っている」という意味を表します。また狼男は満月に変身したり、魔女は黒ミサを開くという伝えもあります。また、西洋では、 月の模様をカニの姿にとらえます。ちなみに英語のcancerはかに座で、病気の癌もcancer。がん細胞がちょうどカニの甲羅のように見えることから 来ているんだそうです。(ちょっとカニつながりで。余談でした。)

肌の色
色鉛筆のセットの中にあった日本人のいう「肌色」というのは、日本人の肌の色。世界にはいろんな民族が暮らし、肌の色も千差万別。日本にいる時と同じ感覚 でその言葉を使ったとしたら、差別だと言われてしまうかもしれません。

うちの主人に、「自分の肌の色は何色って説明するの?」と質問したところ、「ピンクが一般的。現実的にはべージュと言うかも。」と。アメリカにいる時も、子供たちは塗り絵で「ピーチカラー」と言っていたと思います。日本で顔の絵をピンクに塗ると違和感がありますが、英語にはin the pink of healthといって、とても健康的だということを表現したり、フランス語にもavoir la pecheで「元気いっぱい」 という意味が存在します(直訳すると桃を持っているという意味です)。そういえば西洋人って、白人というよりピンクっぽいのかも。

参考:Wikipedia

パリで見つけた芸術

フランスに来るまで、私にとって美術鑑賞や美術館めぐりなどは特別な活動であって、日常生活の一部ではりませんでした。しかしここフランスでは、芸 術というものが生活の一部になっており、町のいたるところに芸術が隠れているんです。町の風景、あるいは数多くある美術館、ルーヴル美術館、オルセー美術 館をはじめ、さまざまな美術館が観光客の目を楽しませてくれますが、ここパリでのもう一つの楽しみは、世界から集まってくる芸術家達の「今進行形の芸術」 が楽しめるところです。

パリの中心、セーヌ川のほとりに建つ建物、国際芸術都市。ここには世界中から集まった300人の芸術家達が一堂に暮らし芸術を磨いてい ます。

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そして先日、この建物の一角で毎年行われるという展覧会を見に行ってきました。ここで暮らす芸術家達の作品110点です。では、今進行形の芸術を少しご紹介します。

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11個の脳の中をのぞくと、こんな感じ(右)。空っぽなのもありました…。

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左の絵は、日本人画家さん。とても神秘的な感じがします。

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左の絵、よ-く見て下さい。 右の絵は色がとてもやさしくてきれいでした。

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左の作品、下の台に植物の絵が刻まれていて、そこから鋤が生えています。

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左の作品、紙で頭の形が作ってあるのですが、下の写真同様全てがあいまいなで、おもしろい作品でした。

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左は南アフリカの芸術家さんだったかな。浮き出してきそうな絵でした。

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左は「オープンハート」と言うタイトルの作品。

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左は、色使いがとても気に入った作品。優しい感じがします。

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日本画家 Takafumi KIJIMA 神秘的な作品。サイトでさらに作品をチェックしてみてください。
HP  Takafumi KIJIMA   リンクサイトへジャンプ

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なんとなく気になってしまった作品です。

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こちらは写真作品。

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こちらはパリで知り合った日本人芸術家さんたちの作品。現在は日本で活躍中。

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彫刻家 Shigeto YOSHIOKA  現在東京で活動中。
HP  ベース吉岡のフランス生活  リンクサイトへジャンプ

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彫刻家 Hironari KUBOTA 作品一つプレゼントしてもらいました。うちのリビングに展示中。
HP Hironari KUBOTA  リンクサイトへジャンプ

これだけの作品を日常で触れることができるのはフランスにいるからでしょうか。ちょっと日曜時間が空いたからと、展示会に足を運べる、 こんな気軽な芸術がパリには存在します。またここ国際芸術都市ではここに住む芸術家さん達の個展を常時開いているそうなので、興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか。

国際芸術都市 Cite International des Arts
18, rue de l’Hotel de Ville – 75004 Paris

フランスの迷信I

フランスと日本、さまざまな違いがありますが、時に「え、それはちょっと」と思うことがあります。

うちの旦那さんの両親がうちに来られた時のこと。お箸をそろえて日本食の夕飯を準備した所、箸の持ち方や使い方などで終始にぎやかな食卓だったのですが、そのうちお箸をお茶碗のごはんにつきさして「こんな風にするのを見たけど。」と。(多分それは中国の様式) 日本では仏前を思い出させるものとして縁起が悪いとされていると説明すると、納得してもらえました。特に悪気があってのことではないのですが、何気ないことで「あっ」と思うことが あるんです。フランス人もきっとそう感じていることがあるかもしれません。このぺージではフランスに存在する迷信のいくつかをご紹介していきます。地域な どによって違いがあるかもしれませんが、南仏出身の旦那さんにいろいろ聞いてみました。

「ピーン」と耳の中で音がしたら: それは誰かがうわさをしている証拠だそうです。日本人はくしゃ みですが。

犬の糞を踏むと: ウン(運)がつくらしい。 じゃパリはウンのいい人がいっぱいなんだなあ。

木を触る: いい事が続くように、Je touche du bois と言って木製のテーブルなどをノックします。これはキリスト教に関係する迷信で、英語でもknock on woodと言います。起源はあまり分かっていないそうですが、樫の木やヒイラギなどを神聖な木としていた頃のキリスト教の儀式が始まりだと言われています。またアイルランドでは、幸運をありがとうと小人に感謝を伝えるために木をノックするそうですよ。

はしごの下は通ると: bad luck。

13日の金曜日: やはり世界共通で、bad luck。

黒猫: bad luck。最近でははGood luck だと言う人もいる。

鏡を割ると:bad luck。昔鏡は人の魂と考えられていたため。

塩をこぼすと: こちらもbad luck。こぼしてしまったら塩のビンを右肩越しに後ろへほおり投げなければならない。

抜けた歯は: 子ども達は抜けた歯を大切に枕の下へしまいます。するとその夜、ねずみが出てきてギフトと交換にその歯を持っていくんだそうです。ちなみにうちの旦那さんは、ギフトが欲しいばかりに、ぐらぐらした歯を思いっきり自分で抜いたらしい。そしてもらったギフトがチョコレートだったそうだ。(抜けたばかりなのにチョコとは…。)

鳥が低く飛ぶと: 嵐がやってくる

白馬とすれ違ったら: bad luck。 お祓いのために通りにつばを吐くんだそうです。

ねずみが去ると: 何かが起こる。例えば、船からねずみが去っていくとその船は沈み、町からねずみが去ると地震が起きるなど。

サンドマン: 子どもが夜寝ないで起きていると、サンドマン(砂男)がやってきて目に砂を振り掛 け、目を開けていられなくなるそうだ。

音痴な人: 歌が下手だと、雨が降る。だから下手な人に向かって、N’apporte pas la pluie(雨を持ってこないで)と言うそうだ。

朝一番左足からスタ-ト:ベッドを左足からでると、その日ずっと調子が悪くなる。

Tシャツを裏返しに着ると: その日ギフトがもらえるかも知れない。

傘を家の中で開くと: 近所のbad luckを全部集めてしまう。

晴れの日に傘を開くと: 雨を呼ぶ。

バゲットを裏返しにおくと: ブルターニュ地方では、悪魔を呼ぶと言われている。

馬の馬蹄を見つけたら: 後ろになげよう。願いが叶うそうだ。とりわけその馬蹄の穴が奇数であれば ベスト。よくこの馬蹄を家の中に飾っている人がいます。

ぼうしをベッドの端に置くと: bad luck。

海の神様をなだめるために: 船の上でボトルを割ります。

病人には3本のろうそく: 一本消えたら、即回復。二本目が消えたら、その病気が長引く。三本目が 消えたら、死を導く。

テ-ブルの上でフォークとナイフをクロスさせない: bad luck。

フランスの迷信II

2009年の2月と3月は、両方とも13日の金曜日でした。フランスの迷信のページ では、「13日の金曜日」も含めいろんな迷信を紹介していますが、このページではどのくらいのフランス人が迷信を信じているのか、またその迷信の起源について詳しく調べてみました。

迷信を信じる人はどのくらい?

フランスのフリーペーパーDirectsoirによると、2009年、13日の金曜日には多くのフランス人が宝くじやロトなどを購入し たという。多くの関連企業はこの「13日の金曜日」をうまく利用しようと期待しているそうです。17%のフランス人はこの日を幸運の日とはみなしていないものの、41%のフランス人がこの日をとりわけ賭け事の日として選んだことがあるという。

「13日の金曜日」が社会現象となったのは最近のことで、特にこういった賭け事を楽しむフランス人によって普及されました。中世時代に は信じられていなかった「13日の金曜日」が、「黒い猫」や「はしご下の通過」のように文化的な迷信となったのです。

15歳から34歳までのフランス人51%が迷信を信じており、その割合は60歳以上(31%)を上回ります。さらに、女性(49%)の ほうが男性(34%)よりも信じやすく、地域で見るとLes Auvergnatが48%で一番高かく、Les Rhonalpinsが33%で一番低い。

「13日の金曜日」の起源

現代では「13日の金曜日」は不運と同じくらい幸運を連想させますが、もともとは不幸の日とみなされていました。起源はテンプラー(聖 堂騎士団)時代にさかのぼります。端麗王フィリップ4世が1307年の10月に行政官、司法官などに送った手紙には、教会を13日の金曜日に開放するようにという命令が書かれていました。そしてその書簡をもって全テンプラー騎士団を捕らえるようにと王からの要求がなされたのです。そして同日約2000人の テンプラー騎士団の騎士たちが捕まってしまいます。

しかし、「13日の金曜日」が不幸の日となった理由を知るには、最後の晩餐を考えなければなりません。キリストの最後の食事です。招待客は13人。イエスと彼の12人の使徒。そのうちのJudaがイエスをローマ人に引渡し、翌日金曜日にイエスは磔にされます。

4つ葉のクローバーの起源 clover

37%のフランス人が4つ葉のクローバーの幸運を信じているそうです。それぞれの葉には意味があり、一枚目が希望、二枚目が信頼、三枚 目が愛情、そして四枚目が幸運。その起源は、4つ葉クローバーの希少性から来ていると考えられます。1万個の3つ葉に対してたった一枚の4つ葉が見つかる計算だそうです。さらに稀なのが5つ葉。伝説によると一生に一度だけ見つけることができると言われているそうですが、普通は見つけられない。

幸運を呼ぶ馬蹄の起源 horse  shoe

この迷信に関する起源は複数存在し、一番最初の起源は10世紀に始まります。この時代、聖Dustan(カンタベリー(イギリス)の司教となった鍛 冶屋)は悪魔の先の割れたひづめに馬蹄を打ちました。そしてその悪魔を放す際に、馬蹄によって守られている家の中には決して入らないようにと約束をさせま す。

ウサギの手の起源 rabbit

豊かさを示すこのシンボルは中世にその起源をもちます。当時ウサギはその多産性から繁栄を象徴していました。また砂金を探すのにウサギの手が使われ ていたということも伝えられています。ざるの中にある砂金が毛について回収できたという。ちょっと残酷な感じがしますが、、、。

黒猫の起源 black cat

エジプト時代に崇拝され、黒猫を殺すことは死刑に値する犯罪だとされ、さらに家族の猫が死ぬとその猫はミイラ化され、家族は喪に臥したといいます。 ローマ時代には、猫は神聖なものとされ、ヨーロッパへ紹介されていきます。イギリスとアイルランドを除いたほとんどのヨーロッパでは猫が目の前を通ると不幸が訪れると考えられています。そして教会からは魔女を連想させる動物だともいわれてきました。黒猫は姿を変える動物だと信じられ、魔女が呪文を唱えて変身した姿だと。逆に日本では、福猫として魔よけや幸運の象徴とされており、黒い招き猫も存在しますね。

そして最後に、ちょっと気になって調べた、

いろんな国の幸運のテントウムシ ladybug

北ヨーロッパ:テントウムシが体にとまったら願いが叶う。
イタリア:テントウムシがベッドルームに飛んで入ってきたら幸運をもたらす。
中央ヨーロッパ:女の子の髪の毛にとまったら、その年に結婚する。
北アメリカ:テントウムシを捕まえたら願いを言って、願いが叶うように飛ばして帰してやる。

フランスでももちろんテントウムシは幸運を呼ぶものとして考えられており、最初はなぜいろんなところにテントウムシの絵が使われているのか不思議に思っていました。日本人はテントウムシといっても幸運を思い浮かべることはないような。テントウムシ、日本名《天道虫》、太陽に向かって飛んでいくことか ら、太陽神の天道からとられたそうです。

国によっていろんな迷信が存在しますが、どうしてそう思われるようになったのか調べてみるとおもしろい話がたくさんありますね。また、国単位だけで なく、国の中の地域によっても違った迷信が存在するのがとても興味深いです。例えば、ある人は家の中で傘を開いてはいけないというけれど、私の家族はそんなこと聞いたことないといいます。

でも、迷信を信じすぎてある種の恐怖症にかかってしまう人もいるそうなので気をつけないといけないですね。 以上、フリーペーパDirectsoir、Wikipedia English参考 訳aki