Category Archives: フランス文化社会

フランス人のお金の使い方

フランスにいてよく不思議だなあ思うのは、多くの人がレストランでランチ、ディナーをしていること。安くはないメニューを毎日食べています(ランチ に20~30ユーロ/一人)。また、フランス人はショッピングが好きですね。日本人もそうですが。でもこちらではリッチな社会層だけでなく、中級層以下の人たちもかなり大量のショッピングをするのに驚きます。失礼とは思うのですが、どこからお金が出てくるんだろうと。秘密があったら教えて欲しい。

そして、ある日うちの主人に、「フランス人は税金いっぱい取られるし、リッチな人は一握りなのに、何でこんなにたくさんの人が大きな買い物ができるの」と尋ねてみました。すると、主人はズバリ「フランス人は貯金しないんだ」と。

そしてもう一つの要因は、子どもが20歳、30歳過ぎても親と暮らすパリジャンが多いこと。いつまでも親に面倒を見てもらっている人が多いんだそうです。

パリジャンは、このように日本人のように貯金するというような意識が薄く、毎日の生活ができればいいと思っているのだそうです。それを 証拠付けるかのように、LE FIGARO(フィガロ紙)でこんな記事を見つけたので、訳してご紹介します。

タイトル :
『2500ユーロ稼ぐフランス人は娯楽ショッピングに一ヶ月で959ユーロ費やす(参考:アパート家賃でだいたい1000ユーロ)。』

shopping

あるフランス人たちは楽しみのために毎月平均して942ユーロを使う。

フランス人は切り詰めた生活などしない。MediaEdgeによって調査された結果によると、娯楽の支出に毎月平均942ユーロは最低 費やすという。また毎月の収入が1500~3000ユーロにあたる家庭に基づいてなされた調査では、義務的な支出(食費、税金、クレジット)などから解放された層であるため、劣等感が解消され気持ちが楽になり、娯楽にお金をかける傾向にあると伝えている。ちなみに、1500~2000ユーロ稼ぐ層では 473ユーロ、2000~2500ユーロ稼ぐ層では959ユーロ娯楽消費にまわされる。

もしこの傾向が追い風にあるのならば、軽率には受け取めてはならない。なぜなら79%のフランス人は徐々に彼らの出費に注意を払うよう になっていると認めている。彼らのうちの2/3が支出削減のためさまざまな工面やりくりをしようとしている。ショッピングの内訳を見ると、マルチメディア 商品(21%)、衣類(19%)、旅行(15%)、家庭/日用品(12%)、趣味/教養(10%)、アクセサリー/美容(8%)。

娯楽が何よりも一番。Ipsos Public Affairsの調査によると、インタビューを受けた2/3の人々が、痛い出費だと思う(31%)よりむしろ楽しみとして衣類やアクセサリーを買う (65%)と答えている。15歳から24歳にあたる若者(80%)、女性(78%)につづき、男性の二人に一人以上(52%)がこの娯楽趣味を肯定的に受 け止めており、彼らにとってこういったアクティビティは時に中毒症状のようなものにもなる。またステレオタイプを崩すかのように、フランス人はブランド商 品に興味を持たず、彼らの10人に8人(81%)が自分の欲しいものと予算に応じて買い物をすると答えている。

本のような趣味/教養に関する商品に関しても、娯楽が一番の理由となっている。La Sofresの調査では66%のフランス人が気晴らしのために本を購入する一方、たった8%が自己啓発のためだと強調している。1955年の調査では、そ のパーセンテージは、それぞれ46%と14%。さらにインターネットのおかげでさまざまな商品がネット上で購入されている。そしてその数は止まることを知 らない。Mediametrie/Netratingsによると、2007年第一四半期の時点で、17.900.000人がネットで少なくとも一度は商品 購入を行っている。一年で19%の増加。とりわけこのことはアクセサリーや衣類購入に関して当てはまり、54%のフランス人が実際購入したと答えている。

(以上、LE FIGARO(フィガロ紙)より 訳:aki)

娯楽だけでこの出費だから、食費や光熱費なんか加えるとどのくらい残るんでしょうね。それも毎月の平均ですよ。それに家賃はパリではかなり痛い出費だと思うので、見栄のためとはいえ、パリジャンのやりくりはすごい。もちろん純粋に、娯楽を楽しもうというフランス人の娯楽精神も考えなければなりませんが。

フランス人のイメージ

先日ある英字新聞を読んでいたらこんなおもしろいジョークを見つけました。

アメリカ人、イギリス人、ドイツ人、イタリア人、フランス人そして日本人について、それぞれの国民性をおもしろく表現しているジョークです。

French image
The Japan Times より

“A sinking liner”

The captain urges the passengers to dive into the sea.
He says to the American man , “you will be a hero if you do it.” ;
to the British man, “you will be a gentleman.” ;
to the German guy , “this is an order to jump.” ;
to the Italian man , “you will be loved by many women later.” ;
to the French man, “don’t jump” ;
and to the Japanese man everyone is jumping!

沈没しかけている船

その船長は船を早く離れるよう乗客を促している。
アメリカ人には 「ヒーローになれるぞ」 と ;
イギリス人には 「紳士になれるぞ」 と ;
ドイツ人には 「飛び込むことが規則である」 と ;
イタリア人には 「女性たちがみんな愛してくれるぞ」 と ;
フランス人には 「飛び込むな」 と ;
そして日本人には 「みんな飛び込んでいるぞ」 と。

アメリカとイギリスそしてイタリアについてはすぐ理解できたのですが、ドイツとフランスがいまいち。そこでうちの主人にどういうイメー ジなのか聞いてみることに。フランス人(もしくはヨーロッパ人)が持つドイツ人のイメージとは、「規則に従って厳格そして勤勉」ということらしいです。そ してフランス人の “飛び込むな” という表現の裏に隠された意味とは,「フランス人というのはいつも言われたことと反対のことをする国民」ということだ そうです。なるほどー、確かにフランス人て何を考えているのか分かりにくいところがある。わが道行く個人主義ですからねえ。ちょっとひねくれていそう。う ちの主人いわく、フランス人は周り(ヨーロッパの他の国)からそう思われているんだそうですよ。

そして、日本人。「みんながしているから自分もしなきゃ」、なんか痛い皮肉ですね。

つまり、フランスと日本というのは考え方の点において正反対ということになります。日本だと何が人気ではやっているのかすぐ分かるけれど、フランスにいると何が人気で何がはやっているのかというのはとても分かりにくい。なぜなら日本では「これが今流行」なんて言葉を聞くと、みんな同じ ファッションで同じ食べ物を食べはじめる。とても分かりやすい。そうでないことがかっこ悪いような気までしてくる。一方、フランスでは、「今これが流行」 なんて言葉さえ普段見ることはないような。他人を気にせず自分流をもっていて、自分がかっこいいと思えばそれでいいし、他人から何か言われたとしても気にすることはしないでしょう。そう、「これが流行」なんていわれると逆に敬遠するかもしれませんね。そしてみんなが知らないようなことに対して価値を見出す国民性だと思います。

*ここでご紹介したジョークの載った本を後日発見。世界で日本人がどんなふうに見られているのか、また他の国々の国民 性をうまく表現したジョークが他にもたくさん。ジョークを読んで世界の文化、お国柄が見えてきます。おすすめの一冊(とてもおもしろかったです)。


中公新書ラクレ
著 早坂隆
「世界の日本人ジョーク集」

さて話題を変えて、フランス国内に目を向けてみましょう。日本でも九州、関西、関東、東北というように、フランスにもそれぞれ地域によってカラーというものがあります。

まずフランス人が見る【パリジャン】とは、プライドが高く、冷たくて、浅はか。外見的には青白くて ひょろ長い。地方出身者からなるパリのサッカーチームの選手でさえ、パリでプレーするのが嫌いだとか。

そして、パリジャンは地方出身者を田舎者扱いし、彼らのフランス語アクセントを笑い、低レベルだと思っている。パリはフランスではなく パリなんです。 パリに来るならも参考に。

では他の地方のイメージはというと、、【南仏】は、怠慢で、大げさ、【ブルター ニュ地方】(フランス西部)の人は頑固、【コルシカ人】は、短気で怠慢。(あくまでもイメージなので全てが当てはまるわけではありません。)

さらに目を広げて、フランス人の見る他国イメージです。まずお隣スイスの人々はスロー。またベルギー人はいつもフランス人に馬鹿にされています。個人的にはベルギー人の方が賢い人が多いと思うのですが。道徳心もあって。ドイツ人は先に書いたように勤勉。イギリス人は味覚なし、でもエレガ ントでユーモアのセンスがある。たまに気取りすぎて男性が女っぽいことも。イタリア人は、うるさい、おしゃべり、ずるがしこい、そして男性はマッチョで女性を少し見下ろしているところがある。スペインはプライドが高く、いつも外でパーティをして騒いでいる。ポルトガルは貧しい国だが、働き者である。

またイタリア人とフランス人についてこんな言葉があります。A Frenchman is an Italian who forgot to smile. 「フランス人とは笑うことを忘れたイタリア人」 同じラテン系でよく似ているのかな。

そう周りから見るフランス人のイメージとは、プライドが高く、ずるがしこく、個人主義。

うちの主人はコンピューター専門で日頃から海外とのやり取りも多いのですが、そん中、フランス人であることを痛感することが多いそうで す。例えば、何か協力してもらったことに対してあるカナダ人に”thank you”と言うと、「フランス人なのに珍しいな」と言われたそうです。なぜ珍しいのかと尋ねると、「フランス人ってだいたい意地悪な人が多いから」と答えたそうです。

またこちらはロイターニュースで見つけた話題。「オランダ人から見た「礼儀正しさ」アンケート調査で、マナーの悪さ1位に輝いたの はロシア、そしてフランスが2位。オランダは自らを3位に。一方オランダ人が選んだ、マナーの良い国は、スイス、スカンジナビア諸国、ベルギーが上位に (ロイター通信/2006年)」。

そしてこちらもフランスのニュースから、失礼なパリジャンという話題。「パリ観光局では、パリジャンの観光客へ対する対応が「無礼」と 批判され、外国人旅行者に親切にするように啓蒙するキャンペーンを繰り返してきている」ということです。(ロイター通信/2007年)

では最後にフランス人の見る日本とは。

日本に対して肯定的な人の意見は、「近代的、清潔、伝統的」、否定的な人は「長時間労働、自殺の多い社会」。あとよく聞くのは、日本人は世間知らずなので、何かとだましやすいとか。この点ではかなり被害を受けている日本人も多いのではないかと思います。言葉の壁もありますし。皆さんだまされないよう気をつけてください。

また最近ではアニメの影響がかなり強いですね。日本に行ったことのないアニメ狂フランス人の中には日本をアニメのような世界だと思い込んでしまっている人がいます。テレビで見たレポートの中では、テレビアニメのコスチュームを着てパリの中を歩き回る女性だとかが目撃されています。そういう人たちは、日本と同様とにかく非現実的で、フランスでもオタクが広まりつつあります。「漫画が好きだから日本語を勉強したい」くらいならまだいいのです が、「アニメの世界で暮らすために日本人と結婚したい」と言っていたフランス人女性には驚きました。中にはそれを社会に適応できない幼稚な習性だと感じる外国人も多いようです。もっと他にもたくさん日本の良い文化を伝えていきたいものです。

フランス人女性

『フランス人女性』

フランスへ来て感じたことはたくさんありますが、その中の一つにあげられるのが、女性の喫煙者の多さです。どうして通りで女性が堂々と歩きタバコができるのか、どうしてべビーカーを押しながらタバコが吸えるのか不思議で仕方がないのですが、お昼時にでもなるとオフィスの外にたむろって女性がタバコで一服というのが現実。

そんな不健康そうなフランス人女性ですが、出生率はとても高い。先日読んだEUROPE TIMEのエッセイに「少子化にあるヨーロッパ社会の中で、フランスは今出生率が上昇中」とありました。

まずはフランス人女性の出生率について。

EUROPE TIMEよると、この傾向はフランス人の誇れるべきことであり、女性が仕事と家庭を両立できる社会の表れであるのだと。これから税金を国に払ってくれる人間が増えていいことだという声も。この社会では男性が簡単に育児休暇をとったり、ベビーシッターの制度もしっかりしていて、女性だけが苦労することはないように思われます。大体週35時間労働、それに時間通り働いているなんて考えられませんし、また子供がいたほうが国からの援助がもらえて何かと有利なので、結婚はしないけれど子供だけは作っておこうと考える人も多いはずだと。
2006年、フランスはアイルランドを追い越してEUでもっとも多産の国家となった。出生率は女性1人に対し2人の子供

1981年以降のどの年よりも多産の830,900の赤ん坊を去年フランス女性は産んだことになる。

出生率はフランスネイティヴよりも移民者の間のほうが高い。しかし後者の平均1.8の出生率でさえ、お隣ドイツ、スペインよりもはるかに超えている。

ドイツ、スペイン、イタリアではプロナショナリスト政策がファシズムと結びついたが、フランスでは女性が仕事をしそして同時に子供も持てるように社会の基礎設備を置いて子育て支援にに力を入れた。

結婚をしなくとも社会的な地位を法律的に認めているが、2006年に生まれた赤ん坊の実に約半分の母親が未婚である。(以上EUROPE TIMEより)

さてフランス人女性の出生率増加とともに、フランス人女性の喫煙率もすごいです。

あるフランスのニュースでは、妊娠中に喫煙を続けていた女性が出産後、その赤ん坊がなかなか泣き止まないので医者に連れて行ったとこ ろ、生まれながらにその子がニコチン依存症になっていたことが判明。泣き止まないその子どもにタバコの煙を向けたら泣きやんだそうです。

french kids

どうしてフランス人女性の喫煙者はこんなに多いんでしょうか。

2002年大人の喫煙率

男性 女性
フランス 40 30
イギリス 29 25
イタリア 32 18
アメリカ 25 21
中国 67 4
日本 43 10

Sources: Mackay, Judith / Eriksen, Michael (2002) The Tobacco Atlas. Gneva, The world Health Organization.

上のチャートは、全人口に対してのパーセンテージで表してあります。中国の例も驚きですが、ここで注目したいのはフランス人の喫煙率です。ドイツと並んで先進国では最高クラス。フランス人女性はイギリスやアメ リカの男性よりもよくタバコを吸っていることになりますね。日本人男性も吸いすぎに気をつけてください。

タバコの価格

prices
タバコの値段も禁煙に踏み切る要因の一つになりそうですね。(読売新聞 2006年)

『フランスで喫煙規制開始』

少しフランス人女性のテーマからは離れますが、フランスでの喫煙規制について少し。

フランス国内をのぞくと、フランスでは、12歳以上の3人に1人、20~25歳では2人に1人が喫煙者とされています。毎年 70,000人がタバコが原因と見られる病気や間接喫煙などで死亡しています。しかし、このような状況においても、多くの学生、政治家からの反対で禁煙制 度が思うように進みませんでした。ある政治家は「フランス人はすべてのことを禁止されるのにうんざりしている」と。

そしてそんな中、2007年2月、フランスでもようやく公共の場での喫煙が原則禁止になりました。駅、空港、職場、学校、映画館、病院 などでの喫煙が禁止になった他、喫煙客の多いレストランやカフェでは年末までの猶予期間が与えられています。また刑務所では、独房では喫煙可能だが、共同 作業所や休憩所では禁煙だそうです。

違反者には68ユーロ、日本円で現在1万600円の罰金が課され、また取締りの権限が、警察の他、交通機関職員、医療関係者、公務員にも与えれています。またこれを機に、政府はタバコ代替物の購入費など1人年間50ユーロ(約7800円)までの補助を行うことを明らかにしました。

現在においては、フランス人の態度も変化し、フランス人の大多数がこの規制に賛成。30パーセントの男性、23パーセントの女性がいまだ毎日喫煙している(その半分が一日に10本以上の喫煙)が、毎年600,000人が禁煙しようとしている。政府は広告や100万ユーロの予算を使ってこ の数値を二倍にすることを願っている。(以上参考:産経新聞、The Paris Times)

クリスマス

パリのクリスマス

日本でもよく知られているパリシャンゼリゼ通りのクリスマスイリュミネーション。凱旋門までの2.5km、総計13万5千ものランプが 並木を照らし出します。

また老舗デパートの集まるオペラではクリスマス時期になると通りが買い物客でうめつくされます。カラフルで大きな買い物袋をさげて人々は帰りを急ぎます。そして、ここにあるギャラリーラファイエットのイリュミネーションは「神戸ルミナリエ」の製作でも有名なイタリアのデザイナーが手がけて います。イタリアン・バロックスタイル。ウィンドウは、フランス人アーティストのデザインするアニメの物語スタイル。サンタクロースが東風に吹かれてスカ ンジナビア半島からサントぺテルスブルグまで、プレゼントを抱えて旅をする様子が、飛び出す絵本のように8つのウィンドウを使って描かれています。こう いったクリスマスの仕掛けは約1年かけ念入りに準備され、設置にも3週間はかかるそうです(2004年現在)。

また、こちらでは町に使われるライトの色などに制限があり、外観を損なわないよう常に気を使っているそうで、目に優しく、どこか落ち着く雰囲気が漂い、冷たい空気の中、ぼんやりと浮かび出てくるようなイルミネーションで心がほっと温まります。そしてお祭り気分がどんどん高まっていきます。

christmas in paris
シャンゼリゼ通り

noel

noel

noel

noel
プランタン、ラファイエットのクリスマスデコレーション。

また、こちらの人たちにとって、クリスマスといえば家族で過ごす大事なイベント。日本で言うお正月ですね。みんながそれぞれ家族のためにプレセントを買い、この日を祝います。スーパーではクリスマス用のツリーが売られ(ほとんどがスペインで栽培されてい るそうです)、デパートではツリーのデコレーションの特別セクションが設けられます。日本ではなぜか予約までして用意するのがクリスマスケーキですが、こちらではステーキやフォアグラ、あと13種類のデザートを食べます。

tree shop
街中の通りにもツリーがこんな風に並べられています。いい香りがしてきます。

プロヴァンスのクリスマス

さて、プロバンスではクリスマスツリ-だけでなくサントンという人形を飾る習慣もあります。その起源は1223年にあり、当時プロバンスの教会では3人の使徒を装ってクリスマスを祝っていたところ、1791年に教会が国の管理下に置かれ、一般の者が 教会でクリスマスを祝うのが禁じられてしまいます。そこで人々はまずパンの生地を使ってその使徒の人形を作りそれがやがて紙ででき、粘土ででき、そして現 在のような人形へと発展していきます。当初3人の使徒だけであったのが、時代の流れでいろんな職業の人物が現れます。多くの人物がキリストの生まれた場所 に集いやがて村ができるというお話だそうです。

santon

また南仏の方では、クリスマスのお祭りが11月4日から始まります。この日はカトリックのカレンダーでいうSaint-Barbeの日。人々は小さなお皿に苔をのせ、その中に小麦の種をまきます。20日後そこから緑の芽が出てきます。この芽は繁栄の象徴として、*Creche(ク レシュ)の中に飾られたり、クリスマスの夜のテーブルに置かれたりします。

santon

santon in metro

*Creche:幼児イエスが入れられた秣桶。あるいはクリスマスに飾られるキリスト誕生の馬小屋 の模型

santon in church

santon in metro
左は教会の中に飾られたサントン、右はマルセイユの地下鉄の中に飾られていた13種類の食べ物。

またプロヴァンスでは、人々はクリスマスの食後のデザートに思い思いのものを用意しますが、大切な伝統習慣があります。クリスマ スの夜、そこには13種類のデザートがなくてはなりません。それはキリストと彼の12人の使徒を表わしています。まず、4種類のデザートとして、干しブ ドウ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、そして乾燥させたイチジクの実が用意されます。さらにそれに付け加えて、ナツメヤシの実、胡桃の実、黒と白のヌガーと呼ばれるお菓子が準備されます。また果物は、オレンジや、日本でいうみかん、りんご、なし、そしてマスカットがテーブルに並び、また忘れてはならないのが、フルーツジャム、マルメロの実のお菓子、そしてCalissons(カリソン)と呼ばれるアーモンドでできたお菓子など。さらにさらに、La pomp(ラ ポンプ)というオリーヴオイルを使ったパンがテーブルの上にボーンと置かれます。

la pompe
La pomp(ラ・ポンプ)

nougar
ヌガー

noisette pomp
くるみ、栗、アーモンドなどなど。次から次へとテーブルに並べられます。

クリスマス前後の様子としては、クリスマスイヴの朝にはサントンを売る出店が通りに並び、人々は毎年その人形のコレクションを増やしにやってきます。いろんなサイズのものがあり見て歩くだけでもクリスマス気分が高まります。夜になると教会へ向かう人の姿があちこちで見られ、子供たちがイエスへ宛てた手紙を読んだり、また近くに座っている人と握手をして「平和をまずは近隣から」と祈ったり、さ らには儀式の最後に神父からパンの一片をもらいそれを食べます。パンはイエスの肉体を象徴し、彼が人々にそれを分け与えるということを意味しています。

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サントン人形を売るお店、

nougar shop

nougar shop
ヌガー屋さん。白ヌガーはやわらかく食べやすいのですが、黒ヌガーは歯のいい人向け・・・。かなり甘いですよ。

church marseille

inside church
そしてこちらが、クリスマスの教会の中の様子。子ども達が衣装に着替えて登場します。

inside church

inside church
牧師さんの説教を聴き、クリスマスが何のためにあり、何をすべきなのかを教わります。クリスマスとは、お互いに分かち合い助け合うことをもう一度確認する日。だから、この日にはみんなでプレゼントを持ち寄り、交換し、分け合うことを感謝するのです。日本とクリスマスと違って、本当に神聖です。本来はこうあるべきなんだなあと。

神聖な空気のあとには、うちに戻りクリスマスの豪華な食事をとります。そして深夜12時が来るのを上で紹介したような13種類のデザー トを食べながら待ち、その時間が来るとイエスの人形をクレシュ(馬小屋)の中心に置いて祝います。そして待ちに待ったプレゼントの交換をしてクリスマスの一 日が終わります。

cuisine with peach
メインディッシュの「桃と子羊の肉」。

fois gras
フォワグラ。おいしいー。毎年、おなかが破裂しそうなくらい食べます。

canape


カナッペ。今年も私のリクエストで。

cake
クリスマスケーキとは呼ばず、デザートのケーキです。

fire

present
暖炉の前で12時が来るのを今か今かと待ちます。そして12時。家族からこんなにたくさんのギフトをもらいました。そしてまた来年はどんなギフトにしようかと迷うのです。
(以上写真:2005/2006)

ボージョレ・ヌーボー

ボージョレ・ヌーボーとは

Beaujolaisボージョレ=リヨン北に位置する地域の名前。 Nouveau ヌーボー=新しい。その年ボージョレで作られた新しいワインという意味です。

beaujolais nouveau

フランスではボージョレ・ヌーボーといえば、あくまでその年の新ワイン。日本のような大騒ぎはしません。その辺のスーパーで3~5ユー ロです。今年も近くのモノプリというスーパーで買ってきました。これが日本に行くと数千円するんだなあなんて考えながら主人にそのことを話すと、「日本は 宣伝広告におどらされすぎだ!」と。確かに。みんなお祭り騒ぎは好きですからね。楽しむことはいいことで しょう。

でもフランス人から見ると日本人のボージョレ・ヌーボーに関連する数々のイベントは不思議に見えるそうです。またワインに本当に詳しくてうるさい人は、ボージョレ・ヌーボーがおいしいとは言えないんだそうです。主人のお父さんも家にワインセラーを持ち、昼晩ワインという人物なのですが、 ボージョレ・ヌーボーはあまりおいしくないと言って買いません。

でもテレビなどで「おいしい」「年に一度」「フランスから」「今日が解禁日」などと言われると、買いたくなってしまいますよね。消費者の心理をよくついています。

wine cave wine cave

ボージョレはいまいちといって買うことのない義父。これがお父さんのワインセラー。数百本常時保存してあるらしい。もちろん工場直売で。宣伝に流されることなく自分の本当に好きなものを貫く。さすがフランス人。日本人は流されすぎ!!!。

普通の初ワインから特別なボージョレ・ヌーボーへ

その年の初ワイン

その年の最初に生産されたワインを飲むことは昔ながらの習慣でした。ラテン語では奴隷のためのワイン《serva potic》 と言われ、ブドウが摘み取られた後すぐに与えられたそうです。

中世では、この習慣が次のようなおもしろい理由で受け継がれました。

・土地の所有者である地主、司教、修道長などが待ちに待ったワインを高い値段で売ることができたから。

・またその頃はワインを保存することがまだ困難であったため。悪い質の樽にワインが入っていたため空気中の酸素と触れ、お酢に変ってしまい飲めなくなってしまうことがありました。

ワインの保存法問題は19世紀まで続きます。この期間ワインは高級品として扱われ、貯蔵品を保つために市場は厳しく規制されコントロールされていました。もしワインのストックが切れてしまうと人々の怒りが怖いですからね。

このように毎年初ワインの到来を多くの人々が待ち望み、収穫期の最後にはお祭りをして労をねぎらいました。

そしてこれらのお祭りの一つがSt-Martin(11月11日)の日に取って代わり、第一次世界大戦後まで重要なものとして存在して いました。ワイン生産者は試飲用のワインサンプルを振舞っていたようです。

ではなぜBeaujolais(ボージョレ) なのか

ボージョレはフランスはリヨンの北に位置する地域を指します。

20世紀前半、収穫後のボージョレのワインはLyon(リヨン)にあるパブや食料品店の間で引っ張りだこでした。はやく一番良いワイン を手に入れよう、そして客の需要に応えようと激しい競争が繰り広げられました。

1940年代の終わりまで、そういった競争に関する特別なルールなどありませんでした。そしてボージョレにあるワイン生産者側もこの競争に勝つために必死でした。

またボージョレ・ヌーボーが他のワインと異なる理由、それは特別なブドウ、ガメイ« gamay »からできていること。この地ではほとんどガメイしか栽培されていないそうです。この品種は1935年the king Philippe le Hardiによって選定されました。現在では、世界で36,000ヘクタールのgamayが栽培されています。そのうち22,500ヘクタールがリヨンの 北、ボージョレにあります。

Gamayはワインに強い味を与えます。それも作られて早いうちに。ですから早く消費されなくてはなりません。

ボージョレ・ヌーボーの市場化

ボージョレ・ヌーボーの市場化は50年代初期に事実上始まります。

1951年9月8日:
ワイン生産者がこのボージョレの名前を使いたい場合ワインを樽から出すのを12月15日まで待たなければならないというルールが作られます。

同年10月:
生産者が組合を作り、彼らのワインが品質上いち早く販売できるように請願をします。

同年11月13日:
12月前に売られるために従わなければならないルールが決められます。これがボージョレ・ヌーボーの公式的な誕生です。売上高15,000 hl。

その後15年間、ボージョレ・ヌーボーの解禁日はさまざまに変化します。それが11月15日の真夜中と決められたのは、1967年11 月15日でした。売上高220,000 hl。

1985年 :
500,000 hl分の生産販売を容易にするため、解禁日が毎年11月の第3木曜日にと決められます。 15日と決めてしまうとその年によって土曜日、日曜日に当たってしまい、ワイン解禁日に配達が間に合わなくなってしまいますからね。

また広告宣伝のおかげで、ボージョレ・ヌーボーはただ単にリヨンの名産でとどまることなく、70年代にパリへ、そしてフランス全国へと広まっていきます。さらには、60年代後半に国際市場進出にも成功。ヨーロッパから始まり、北アメリカ、1982年にオーストラリア、そして1985年には日本とイタリア、90年代には東南アジアなどへと市場を拡大してきました。

現在のボージョレ・ヌーボーは、450,000 hl、ボトルにして6千万本、50 %が輸出、その目的地となるのが150カ国。

さらに詳しくは公式サイトにて BEAUJOLAIS