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クロワッサン

クロワッサンcroissant といえば、バターたっぷり使ったフランスのパン。毎朝近くのパン屋さんから甘い香りが漂ってきます。朝一番に買って食べるほかほかのクロワッサンはたまらなくおいしいです。

そしてこのクロワッサンの起源には色々な話が存在するということをご存知でしょうか。

まずはポーランドで732年にムスリムの侵攻を防いだのを祝うために、イスラムの三日月を形どってクロワッサンを作ったという話と、も う一つは、1689にトルコのウィーン包囲を打破したお祝いに、こちらもトルコ国旗にある三日月を象徴したクロワッサンを作ったという話。夜遅くまで働き 朝早起きのパン屋さんが、トルコ軍が侵攻のためにトンネルを掘っている音に気づき、それを通報したのだといいます。

しかし実際、これらの話は伝説に過ぎず、現在のクロワッサンのレシピというのは20世紀初頭になるまでフランスのどの料理本にも載っていないそうです。

つまりクロワッサンというのは、中世の頃は徐々に知られるようになり始めていた程度のもので、ようやく1872年に朝食のメインとして挙げられるようになります。

しかしながら、フランスのクロワッサンとウィーンとの関係は確かにあったようです。現在あるクロワッサンというのがViennoiserieと知られる菓子パン類の一つであることがそれを示しています。このViennoiserieは19世紀初めにパリでオープンした ブルジョワウィーン人のパン屋さんによって評判を得、このパン屋さんのパンが他よりも優れているということが知られていきます。

そしてフランスでクロワッサンが一般的になった後、次のようなことが書き残されました。≪モンマルトル通りのヴィエノワブランジェリー で初めてパリに登場したクロワッサンは事実上ウィーンからやってきた。その時代は1683年にトルコ軍によるオーストリア侵攻の時代にさかのぼる≫

参考:ウィキペディアEnglish

と、長い前置きになりましたが、クロワッサンというのがなにやらイスラムの三日月と関係付けられているのが分かっていただけたと思います。

フランス語croissantには「三日月」「クロワッサン」そ してイスラムの旗印としての「三日月」という意味を持っています。
La lutte de la croix et du croissant 十字架と三日月の戦いつまり「キリスト教とイスラムの戦い」となります。

では、なぜイスラムは三日月を象徴しているのでしょうか。これも文化を知る上でとてもおもしろい違いを伝えてくれています。

多くの国では、太陽を神としたり生命やエネルギーの象徴として称えています。日本というのはその中でも特に太陽と関係が深い国です。な んといっても国の名前が「日ノ本の国」「日のいづる国」ですからね。このことからアジアでは太陽というものが昔から崇められていたということが分かります。

でも、それがどこでも同じと思ってはいけません。神のような存在だと思っていても、違う文化ではそれが恐ろしい悪魔のように捉えられる こともあります。それがイスラムの国です。かんかんに照りつく太陽の熱は、命取りにもなってしまうほど恐ろしいもの。それに比べて、涼しい夜の月は昼間の厳しさを癒してくれる味方。だからイスラムの国の国旗には月が象徴的に描かれているんですね。

そんな月の味方を背にヨーロッパに侵攻し、それを防いだヨーロッパ人がクロワッサンを作ったという流れになりますね。クロワッサンから いろんなことが学べます。

さらに最近フランス語を勉強中にこんな単語を見つけました。

croissance クロワッサンス

これは絶対「月」に関係するはずと辞書を調べてみると 、そこには「(人・動物の)成長」「(経済・人口などの)発 展、増大、増加」とありました。それでも絶対何か「月」と関係があると信じていたので、主人に「croissanceって成長とか増 加っていう意味だけど、多分三日月はまだ満月になる前の成長段階だからこんな意味ができたんじゃない?」と質問してみました。そして主人がその語源を調べ てみると、ズバリその通りでした。月が満ちていく状況を「成長」と捉えたんですね。

etre en pleine croissance 「(子どもが)成長盛り、(産業が)目ざましい発展と遂げている 」という意味になります。

もちろん動詞もありますよ。croitre 「成長/生長する、発育する ; 増大する、増加する」 一般的に植物に使うようです。

Les bles croissent bien ici. 麦がよく育つ。
La vigne croit bien dans cette region.  ブドウがよく育つ。
Le jour croit.  日が長くなる。

ちなみに英語で「三日月」はcrescent クレセント。そして crescendo と言うと、あの音楽で使う記号。「次第に強くする」の記号<ですね。

*アクサンは省略してあります。

耳まで笑う

「笑う」といってもいろんな「笑う」がありますよね。さて次に示すいろんな「笑う」はどんな「笑う」でしょうか。

1) rire aux larmes 涙まで笑う = 涙が出るほど笑う
リール オ ラ(ル)ム

2) rire au nez 鼻で笑う = ばかにする
リール オ ネ

3) rire de bon coer 心のそこから笑う
リール ドゥ ボン クー(ル)

4) rire aux eclats 破裂するまで笑う = げらげら笑う
リール オ エクラ

5) rire du bout des levres 唇で笑う = 作り笑いする
リール デュ ブ デ レヴ(ル)

では

rire jusqu’aux oreilles 耳まで笑う  = ?
リール ジュスコ オレイュ

カメラの前でニコッとするように笑いを作ってみてください。口が耳まで届きそうでしょうか?そう「耳まで笑う」というのは日本語で「満面の笑み」。

英語でも同じ表現があり、それを聞いた主人がフランス語にもあると教えてくれました。おもしろい表現ですよね。「顔いっぱい」と考える のか「耳まで届く」と考えるのか、どちらの方がピンとくるでしょうか。

英語では

smile from ear to ear      耳から耳まで笑う

*アクサン記号は省略してあります。

ビネガー

マルセイユで主人の両親とランチの買い物をしに行ったときのこと。通りは駐車してある車でいっぱい。やっとのことで自分達の車を止めるスペースをみつけ、細い路地を歩いてあるお肉屋さんへ急ぐ。そこは人気のあるお肉屋さんで、そこも人でいっぱい。

買い物が終わり、車の中に戻るとホッと一息。そこでお母さんが一言、

On a fait vinaigre ! (オンナフェ ヴィネッグル)

直訳すると、「ビネガーを作った!」です。*vinaigre ビネガー。

なんで「ビネガーを作った」が関係あるのか… きっとおもしろい言い回しに違いないと思い、うちについてから主人に「お母さんさっ きビネガー作ったって言ってたけど、どういう意味?」と聞いてみました。すると主人は笑いながら、「あー、あれは、さっさと買い物すませたっていう意味だ よ。ワインを造るには時間がかかるけど、ビネガーはすぐ出来上がるでしょ。」と。

納得。

wine

ニッケル

クリスマスに家族みんなでプレゼント交換をするのが恒例のイベントとなのですが、そこで皆が口々に“Nickel”(ニッケル)だ とか“C’est nickel” (セ ニッケル)と言うのです。

新しい靴だとか洋服に向かってニッケルって?

その意味を聞いてみると、“Nickel”(ニッケル)=「素晴らしい!」とか「ワー、 すごーい」といった感じだそうです。また辞書を引いてみたところ、そこにはこんな風に、

“Nickel”(ニッケル)=《話し言葉》汚れ一つない/ピカピカの とありました。

そう皆は、あけたプレゼントに対して「ワー、すごい新品のピカピカよ!」と興奮していたのでした。

coins

ちなみにニッケルと言うと、
英語では5セント硬貨を意味し、
小額という意味も持っています。

寝癖

髪を伸ばすのが嫌でいつも短くしているうちの主人。微妙に伸びてくると毎朝寝癖がついて大変。頭が断層のように…。

そこでふと寝癖ってなんていうんだろうと気になり主人に聞いてみました。すると エピepi と表 現することが分かりました。ちゃんと文章にすると Tu as les cheveux en epi.(チュ ア  レ シュヴ アン エピ)

そしてエピepi を辞書で引いてみると「穂」だとか「逆毛」さらには「(建築)忍び返し」とあり、また en epiとすると「斜め平行に」となるんだそうです。そしてそれを知って私も≪そうそうそんな感じ≫と内心思ってしまいました。

ちなみに英語で寝癖はそのまま bed hair ベッドでついた癖です。最近はそれをファッションとして bed hair style と呼んでいるような髪型もありますね。そして cow’s lick 直訳すると牛の一なめ。ブラシでとこうが何をしようが他の髪の流れと交わらない癖のある髪の部分です。日本語では「立ち毛」。これがフランス語の エピepi って感じですね。また widow’s peak 未亡人の尖端にはこんな話があります。これは日本語でいう「富士額(びた い)」ですね。日本語には美人の条件にされたとありますが、英語ではこの額を持つ女性は夫に先立たれると信じられてきたそうです。そしてそこからつけられ たのがこの名前。

すみません英語のページになってしまいました。

cow

cow’s lick !!!