All posts by Aki

フランスの自由と平等とは

二日前にメトロに乗っていたところ、オペラあたりだったかな、急に大人数のgendarmerie(憲兵隊)がぞろぞろ入ってきて、電車の中の雰囲気がちょっと一瞬ハッとしたのを覚えています。普段は2人くらいで警備しているのに、その日は何人くらいいただろう。人ごみに混ざっていたので正確には数えられなかったのですが、7、8人いたような。警備のためなのですが、あの大きな銃を抱えて側に立たれると怖い・・・。

そして昨日パリ11区でテロ発生。きっと数日前から警備体制が強化されていたのかなあと今になって思います。

フランス、特にパリなどの大きな都市では、昼間歩いていても怖いと思うことが多い。移民が増え、浮浪者、違法滞在者が増え、犯罪がどんどん身近に感じられるようになってしまいました・・・。 静かな住宅地である我が家の近くでも、最近口論の末一人が撃たれて死亡という事件がありました。

数年前にマルセイユで起きた事件で初めてカラシニコフ(ロシア人が設計した突撃銃)という名前を知り、マルセイユも怖い場所になってしまったなあと思っていたら、数年後にはパリにまで及んでしまいました。だいたい犯罪を犯してもほとんど罰せられない社会なので(実際罰せらるべき犯罪者が刑務所に空きがないということで普通に生活しているという・・・順番待ち?)、警察官を怖がったりしない・・・。犯人は大体が前科があり・・・刑務所に入っては、反省もせずまた犯罪を犯す。

つい最近も、マルセイユの刑務所でスキャンダルがあったところです。なんとFaceobookで囚人たちがニッコリしながら所持している現金やドラッグを自慢している様子が・・・刑務所の中にいてですよ。

イメージはこちら→ La Provence

お正月には、刑務所のそばで仲間が花火をあげてるし・・・。ケーブルテレビまで付いている・・・(もちろんフランス人の税金で)。

これも自由平等なのでしょうか・・・フランス人の自由平等とは・・・???

その反面、こんなニュースも。

フランスではおなじみのクリスマスのcrèche de Noel と呼ばれるデコレーション。

この人形は政教分離に反するということで公共施設では飾ってはいけないと・・・。Nantes行政裁判所の判決の後、Vendée県議会に飾られていたcrècheが取り除かれることに。信仰の自由を害するものであると・・・。もちろんこの判決は地域によっても違ってくるでしょうが、キリスト教の国フランスだったのに、その伝統や文化が崩されていくようで悲しいですね。

自由というのは、『自らに由る』;他者からの束縛を受けず自己自身の本性に従うことを指すので、その自由が間違いであった場合、それはエゴイズムになるのでは。

Bonne Année

明けましておめでとうございます。

昨日は恒例のLe Nôtreメニューで静かに年越しをしました。前菜のホタテとブロッコリーのピュレ、そしてメインのchaponとキノコのソース。シャンパンが入ってかなり眠くなりながらも、なんとか12時まで起きていました。遠くから凱旋門の花火の音が聞こえ、近くの通りからはBonne Année と叫ぶ人の声も聞こえてきましたが、それ以外はいたって静かな夜だったような気がします。

そして今日は晴天の元旦。

少し散歩がてらに外出をしてみたら、シャンゼリゼあたりは観光客でいっぱい。やっぱり中心地は賑やかです…。割れたワインボトルがちらほらと。きっと大勢の人で昨日は賑わったんでしょう。

ニュースによると、フランスでは大晦日の夜になんと940台の車が放火されたそうです。これでも前年度の12%減少。昨年は1067台、その前は1193台が放火。なので、これはどちらかというといいニュース?

毎年恒例とも言えるニュースなのですが、カウントダウンに集まってくる若者達によりいつも事件が起こります。私も一度だけ行ったことがありますが、その後は絶対に行きたくないと思いましたね。酔っ払いばかりで。

昨日の夜はフランス全体で55,000人以上の警察と憲兵隊が配備され、38,000人の消防士が待機。パリだけでも9,000人の警察官が警備にあたったということです。お正月も働いている人がたくさんいるんですね…困った人たちのせいで…。そして、そんな警備の中でさえ、パリ16区 Trocadéroで若者が一人殴り合いのけんかで亡くなっています。

パリは楽しいところなのですが、以前より治安が悪くなってきているように感じます。皆さんも気をつけられてください。

2015年予想

久しぶりの連休でゆっくり家で本を読んだり新聞を読んだりくつろいでいます。日本では今頃年末年始で盛り上がっているのでしょう。

フランスはノエルがメインのため、今日大晦日はいたって普通の日です。主人も仕事です。

テレビでは一年を振り返るニュース、また2015年を予想するニュースなどさまざま。

フランス人の2015年予想結果はというと;

調査回答者(BVA-WIN-Gallup)のたった6%の人が景気回復を予想。調査を受けた65カ国中オーストリアとベルギーに次いで一番悲観的な国だそうです。

フランス人の33%が経済の見通しを2014年と変わりないと予想し、57%が経済的に厳しい年になるだろうと考えているようです。

また経済面も含め全体的には、たった17%のフランス人しか2015年は2014年よりも良い年になるだろうとは思っていないようです。41%が似たり寄ったりの年、34%がさらに悪化するのではと懸念を深めています。

イタリア人はフランス人よりさらに悲観的のようで、14%しか2015年に希望を持っていないそうです。その逆に、ナイジェリア、フィジー、インド、サウジアラビア、モロッコは楽観的な国のトップとして名前を挙げており、これらの国々では75%以上の人たちが2015年がより良い年になるだろうと考えています。またこれら5カ国に加え、パキスタン、パプアニューギニア、アフガニスタン、ヴェトナム、アゼルバイジャン、中国、バングラディシュの国では、回答に当たった人々の半数以上が新たな年の経済発展を期待しているということです。

以上Le Figaroより

お国柄というものもあり、どこまで調査結果を信用できるか分かりませんが、私の住んでいるフランス、確かに暗いですね…。ほとんどの人が今の政府に期待を持っていないのが問題です。メディアなどで国民が堂々と大統領をバカにしていますからね。見ていて居た堪れない。早く任期が終わればいいのにと…。でも次の人はいるのかというとこれも???頑張れフランス!

2014年ももうすぐ終わり

もうすぐ2014年も終わろうとしていますが、世の中では悲しい事件が頻発しています。

フランス国内では寒波による寒さで数人のホームレスが亡くなるというニュースがずっと流れています。この11年でなんとフランスでは44%もホームレスの数が増えたそうです。2014年に大、中型都市で行われた調査では111,700人、そのうち31,000人が子供ホームレス。また2013年には454人ものホームレスが亡くなったということです。

毎年毎年大量の移民を受け入れ(密入国も含め)手厚く保護しているフランス。見た目は人道主義?でも実際は自国の人たちがどれだけ苦しんでいることか。移民のせいで賃金が下り、職は見つからず、ただでさえ景気が悪いのに。貧富の差がどんどん広がっていきます。

どれくらいの移民がEUに入ってきているかご存じでしょうか。シリアやリビアなど内戦や混乱状態のため膨大な数の移民が地中海を渡ってくるのです。彼らの目標はまずイタリアもしくはギリシャ、そしてそこから全ヨーロッパへと広まっていきます。イタリアでは11月に約160,000人の移民が海を渡って到着、ギリシャには40,000人。どうやって保護するんでしょうか。

世の中にこれだけ人間がいたら、そりゃ問題も山のように増えていくのは当然だと思うのですがどうでしょう。権力を持った人たちは消費してくれる人間が多い方が儲かる。だから人口が増えた方が嬉しい。それによって環境が破壊され、社会が混乱しても大して気にしない。こういった人たちは実際影響を受けることはほとんどない安全な場所に住んでいるので。そして環境問題だの、人道主義がどうのこうのなどと話し合っている。誰もそれらの問題がどこから来ているのか面白いくらい絶対に言わないのですが。

人間が増え、たくさんの人間が消費活動を行うためには、エネルギーも必要になってきます。のどかな田園に延々と続くソーラーパネルの景色。遠くの山を眺めると山の線に沿って風力発電機。海の中にも…。異常な景色です。

これから世界がどうなっていくのかとても気になりますが、おそらく変わることはないかと。1日1日を大切にしたいものです。2015年は少しでも多く良いニュースが増えることを祈ります。

人魚の歌声は

ディズニーでもおなじみのマーメイド(人魚)。可愛いいキャラクターで女の子に人気ですが、その起源を辿るとそれは恐ろしい・・・。

ということで、今回は人魚について豆知識のページです。

まず英語ではマーメイドmermaidといいますが、このmerはラテン語のmare=『海』から来ています。フランス語でもmerで『海』ですよね。maidは『乙女』。つまり『海の乙女』です。英語で表現されると本当にディズニーの世界ですね。比較的新しい人魚のイメージです。

しかしギリシャ神話へと時間を戻していくと話は全く違ってきます。人魚はギリシャ語ではセイレーン(Σειρήν, Seirēnフランス語はそこから派生してスィレーヌ(Sirène)と言います。

人魚といってもセイレーンは古代ギリシャ神話においては海の怪物です。上半身が人間の女性で、下半身は、なんと”魚”ではなく”鳥”です。もとは”鳥女”だったんですね! そして海を航行中の人々をその美しい歌声で惑わし、遭難や難破に導くという。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 『オデュッセウスとセイレーン』1891年


(イメージ:ウィキペディアより)

この絵の中にいるセイレーンは『海の乙女』とはほど遠い外見ですよね。口を開けているのは”美しい声”で歌っているところなのでしょう。ガーガーとしか想像できませんが…。

ではなぜ”鳥女”が”人魚”になったのか? よくわかりませんが、海に関係するのと人魚にしたほうが絵になるからでしょうか? 画家たちによって徐々に美化されていったんでしょうね。

フランス語の辞書にも次のように載っていました。

Il écoute le chant des sirènes. セイレーンの歌に聞きほれる→誘惑に負ける

やはり誘惑に負けてしまうくらいの美しさなので、外見も美しくないとイメージが伝わりません。実際にその歌声を聞くことができない我々にとっては、目から入るイメージが重要です。そしてそこが絵画の発揮するパワー。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 『マーメイド』1900年


(イメージ:ウィキペディアより)

この絵の中の人魚なら美しい声が伝わってきます! 同じ画家による作品ですが、イメージによって聞こえてくる”声”も変わってきますよね。タイトルもマーメイドに変わっていました。

さてもう一つの豆知識です。

ギリシャ語のセイレーンは、英語の中にもその名残を残しています。さてどんな言葉でしょう。日本人も普段よく使っている言葉です。

正解はサイレン(siren)

鳥の歌声→シレーヌ(神話)→サイレン(音を発するもの)

パトカーや救急車のサイレンはなんとギリシャ神話から来ていたんですね。