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出不精

久しぶりに一日休みになると外に出ず家でゆっくりとしたい。2、3日ずっと家にいても平気なくらいだと言ったところ、主人に,

Tu es casanière. (チュ エ カザニエR)

と、言われました・・・。

おっ、なんか聞いたことない単語!と、ワクワクしながら辞書を引いてみました。すると、ありました、『出不精の人』・・・。

悪い意味なのかと聞いたところ、そうとは限らないとのこと。単純に家にいるのが好きな人という意味だそうです。

casaはラテン語で『家』を表すことばで、スペイン語やイタリア語にも見られますよね。

Quiet_house

昔アメリカで見たある映画の中で”mi casa es su casa”(ミカサスカサ)というセリフを耳にしたことがあります。英語を勉強したいと思っているのに、このセリフは英語じゃないとすごく気になった記憶があります。すぐに調べてそれはスペイン語だと分かったのですが、casaが家を表すんだと学習した瞬間でした。訳すと『私の家はあなたの家です』。つまりくつろいでくださいという意味。英語で言うとMake yourself at home. フランス語だとFaites comme chevous!

仏人とノルマンディ上陸作戦

2014年夏、フランス、ノルマンディでは戦後70年を迎え大々的なセレモニーが行われました。でも日本人には教科書に書いてあることくらいしかヨーロッパで起きたことはあまり詳しく分からない(日本のことでもよくわからないことが多いですし)。さっと要点をまとめると、

ヨーロッパには第二次世界大戦中、ドイツを挟んで東西に2つの戦線が置かれていました。

・西部戦線=ナチス・ドイツ(枢軸国) vs 英/仏/米(西側諸国)
・東部戦線=ナチス・ドイツ(枢軸国) vs ソビエト連邦

ドイツのポーランド侵攻が開始され、英仏の戦線布告により戦争が開始。1940年にはドイツ軍によるフランス侵攻が始まり、フランス北部は占領下に置かれます。

1941年、ドイツはソ連侵攻。ドイツ陸軍の大半がこの戦線に従事し、苦戦を強いられたソ連のリーダー、スターリンは米英に西部戦線の再構築を要求。

英はヨーロッパの周囲から攻撃することを提案。米は英の勢力拡大を恐れドーバー海峡を渡って上陸作戦を行うよう英を説得。

1943年、テヘラン会議において、米大統領フランクリン・ルーズヴェルト、英首相ウィンストン・チャーチル、そしてスターリンが討議し、第二戦線を開くことが正式に合意。

戦場となるフランスといえば・・・蚊帳の外。

米大統領フランクリン・ルーズヴェルトはフランスの当時のカリスマ的指導者シャルル・ド・ゴールを作戦に参加させたくなかったが、英ウィンストン・チャーチルの説得で直前に知らせることに。ド・ゴールは『フランスでの戦闘はフランス人が行うべきであって、指揮をとるのは私でなくてはならない』と激しく詰め寄ったという。

そしてノルマンディ上陸作戦が決行。それまで比較的戦争の影響を受けなかったノルマンディが戦火の中へと引き込まれ、連合軍の爆撃による多くの一般市民犠牲者も出ました(犠牲者の6割に当たる)。

(以上Wikipediaより)

また米ウィスコンシン大学の歴史学教授メアリ・ルイーズ・ロバーツ氏によると、当時米軍による不法行為、組織的な人種差別などもあり、『ドイツ人を見て隠れるのは男たちだったが、米兵の場合は女たちを隠さねばならなかった』とう話がノルマンディの地元では伝わっているという。(AFBPP News)

そして戦後フランス人が犠牲者追悼式を行っていたのですが、50年代に入るとその主役は徐々にアメリカへと移っていきます。そして2014年、すっかりアメリカ人はヒーローになっていた・・・。

この事実に関する面白いアンケート調査を見つけたのでご紹介。IFOPが行った1945年、1994年、2004年のアンケート結果です。

Sondage en France: “Quelle est, selon vous, la nation qui a le plus contribué à la défaite de l’Allemagne en 1945?”

(Source: sondages IFOP 1945,1994,2004)

フランスでの調査:”どの国が1945年ナチスドイツの敗退に一番貢献したと思いますか?” 

1945年のアンケートではフランス人の57%がソビエトだと回答。実際70%のドイツ軍は東部戦線で亡くなっています。またアメリカの貢献を讃えるフランス人は全体の20%。しかし、それが2004年になるとその数字がなんと逆転!

このチャートのツイート主曰く、『ハリウッドの力はすごい』と。こんなにも人は簡単に洗脳されてしまうのでしょうか・・・。

“He who controls the past controls the future. He who controls the present controls the past.” — George Orwell

”過去を制するものは未来を制する。今を制するものは過去を制する” ジョージ オーウェル

しっかり歴史は勉強しなければいけないなと感じました。本を買ってもっと勉強したいと思います。

チョウチョと蛾

チョウチョと蛾は別物?

英語ではチョウチョはbutterfly、蛾はmothというので区別していますね。

さて、フランス語では?

フランス語ではチョウチョと蛾の区別がない・・・。区別するとしたら、チョウチョはpapillon de jour(昼間のチョウ)、蛾はpapillon de nuit(夜のチョウ)と言うそうです。確かに同じ仲間だけど、蛾とチョウチョでは見た目がちょっと違うのでpapillon de nuitと言われても言葉とイメージがマッチしにくいですね。

Minute, papillon!  ちょっと待って!

ひらひらと飛び回るチョウチョ、追いかけてもすぐ飛び去ってしまう。そんなイメージから来ているのでしょう。これは覚えやすい。

さてここでもう一つフランス語豆知識!

よく展示会などで設置される仮説の建物をパビリオンと言いますよね。フランス語ではpavillon(パヴィヨン)と言うのですが、この言葉はpapillon(チョチョウ)から来ているのです!

その昔、野営用にテントが使用されるようになり、その姿が野原に羽を広げてとまるチョウに似ていることからpavillon=テントとなりました。そしてそのテントという意味から発展して、現在では郊外に立つ一戸建ての家をpavillonと呼んだり、また上に書いたように展示会などのパビリオンとなりました。

どうでしょう、チョウチョがとまっているようでしょうか?

テロ事件とメディア

今回のテロ事件で様々な問題を目にしましたが、その中の一つにメディアの力というものも付け足したいと思います。

テロが発生し、各局が”LIVE”報道に必死・・・なのは分かるのですが、”我先に”という気持ちが一杯で危険極まりない。

Figaroの記事からですが、人質に取られていた男性の家族がBFM(フランスのニュースチャンネルの一つ)に対しこんな訴えをしていました。

『BFMは店内にいる人質と連絡をとり、階下に他に6人と赤ん坊が1人存在することを知り(犯人は知らない)、その2分後には、«Cinq personnes en bas et un bébé»とその情報をテレビで流してしまった。もちろんテロリストはテレビの報道をチェックしており、幸いにも画面の下に流れたテロップを見逃し気づくことはなかったが、どんなに危険なことか。みんな殺されていたかもしれない。』

それに対してBFMは、『我々は人質とは一切コンタクトを取っていない。警察から彼らの存在を知った。また彼らが危険から脱した際にその情報を流すに至った。』・・・と。

BFMだけではなく、他のメディアも大きく批判されています。

またこの日曜日に行われたテロに対する抗議デモ行進。これに関しても賛否両論の意見が聞こえてきます。

まずメディアはもちろん、『団結しよう!』『テロに屈するな』と国民の感情を沸きたてています。

でも冷静な判断をするフランス人もちゃんといらっしゃいます。こちらも Figaroから見つけた記事です。

『パリでの行進で人々の感情も最高潮になった・・・が、そのあとは? 批判を受けるのを承知で言うが、みんなで行進したって何にもならない。早急になにか強力な対策が採用されない限りは。』

『よく考えてみれば、日曜日のパリデモ行進に参加したフランス、あるいはヨーロッパを代表する政治家たちは、このテロに対して皆責任がある。大量の移民を受け入れ不安定な社会情勢を生み出し、それに対して対策を取ってこなかった。デモ行進はそんな政府やメディアによって作られた。』

学校では生徒たちの対応に困る教師たちも。生徒の中にはよく考えている子供たちがおり、宗教や、言論の自由について、また被害にあった出版社の風刺につてい、あるいはなぜ学校で黙祷しなければいけないのかなど、子供なりにテレビなどの報道に疑問を持つ子もいるようです。毎日どこかで起こっている殺人事件。その人たちのためには黙祷しないのに、なぜこの日は黙祷しなさいと言われるのか。

このような小さな記事はきっと日本へは伝わらない部分だと思い、大々的に報道されているニュースと敢えて反対のニュースをまとめてみました。記事や報道を見ていると一方通行に感じるのですが(みんながcharlieと叫んでいるかのよう)、コメントなどを読んでいるとさまざまな意見が見つかります。『テロに屈しない、団結しよう』はいいのだけれど、で、どうするの? ということになる。なぜテロが起こるのか、起こったのかという深い部分をもっと取り上げるべきだと思うのですが。

フランスの矛盾

パリで起こったテロ事件・・・
年末から書いていた日記の嫌な予感がこんな形で起こるとは思ってもいませんでしたが、本当にフランスは、いやヨーロッパは大きな問題を抱えていると思います。

フィガロにあったある記事を読んだのですが、今回あったテロに賛同する人間が一人や二人ではないということ。 フェイスブック上でカラシニコフの写真とシャルリー・エブドで起こったテロを称賛する言葉が見つかり、ストラスブールに住む30歳の男性が職務質問され裁判所に出廷する予定ですが、他にも3721件もの同様のメッセージが確認されたということです。

またフランスでは公の場でテロに賛同するような行為をした場合、禁錮5年あるいは75,000ユーロの罰金に処せられ、さらにネットなどで行われた場合は禁錮7年、罰金100,000ユーロまで引き上げられるそうです(2014年11月に法律が厳しくなりました)。

この記事で感じたこと二点:

その一、テロは政府の主張によると『一部のイスラム過激派』の仕業ということですが、現実にはその行為を称賛する人間が多数存在しており、今は違ってもいつ過激化するか分からない・・・。どう違いを見分けるのでしょうか。そんなこと考えているうちに彼らはテロ訓練を受けて今回のように攻撃してくるのでは。

二つ目はテロを称賛すると罰せられること。当然といえば当然なのですが、でも裏を返せば彼らにとったらそれも『言論の自由』と主張できてしまうのではないかと・・・。多大な被害の出た福島を揶揄して笑い飛ばしたフランス人ジャーナリストはそれを『言論の自由』と言い切りました。結局都合のいいように、それは自由となったり冒涜となったり・・・よくわからないものだなあと。

矛盾ばかりの世の中ですね・・・。