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EUいじめ問題

いじめ問題は、日本でも大きく取り上げられている社会問題の一つですが、同じように海外においても深刻な問題として扱われています。地域社会が複雑化するにつれ子ども社会もそれに追随します。

EU全体でのいじめ問題
ヨーロッパ社会でのいじめ問題は他の国々と同様、増加傾向にあり、また一方で若年化しています。

スペインでのいじめの例

2003年の9月、スペイン北部バスク地方にある高校に新入生として当時13歳だった少年が通っていたのだが、胃腸感染によりクラスで下痢を伴う発作を起 こしてしまった。そしてこの日以来クラスからいじめの対象になってしまう。2004年の8月には、少年がサマーキャンプでハシシを友達と一緒にすっているのが見つかり、そのことで少年の両親が関係したクラスメートの両親に忠告したところ、そのことがかえっていじめを悪化させてしまった。その年の9月にはその少年の机にトイレットペーパーで飾られた《記念日》と書かれた文字が。

少年はいじめをするクラスメートの名前を挙げることを拒んでいたが、2004年9月17日についに母親に事実を伝え、その2日後関連した生徒の親に会うことになる。9月21日、トラブルに巻き込まれぬよう携帯電話を持ち少年が学校から帰ってくるはずの時間、少年は家へ向かう代わりに町を 囲む中世の石塀の頂上へと向かった。そしてそこで飛び降り自殺を図ったのです。

こういった事例がヨーロッパ各地で広がっており、自殺までいくケースはまれではあるものの、嫌がらせや暴力など広範囲化しまた悪化し続 けている。また傾向としてはその対象が若年化していることです。

スペイン 9歳から16歳の間の7%の子どもたちが深刻ないじめの被害にあっている。

フランス 学生の13%が複数のいじめ事件のターゲットにあったことがあると答えている。一方、い じめだけでなく、言葉による攻撃、けんか、盗みなど学校における暴力事件の数も72,000件(2002-03年)から81,000(2004年)へと増 加している。

ドイツ 暴力的いじめにあったと答える生徒のパーセンテージが一世代のうちに倍増している。 1970年代に5%だったのが、今日では10%となっている。ドイツ人元教師は、「実質的に子ども達の切れる境界線が低くなり、より突発的に暴力へ訴える。」と述べている。

イギリス 1862人のイギリス人の親のうち、21%が自分達の子どもが過去一年においていじめを 受けたことがあると答えている。またそのうち57%は言葉によるいじめ、27%が暴力によるいじめ問い結果も出ている。

いじめの原因として、家庭環境の影響は大きい。調査では、子どもの数が減り、一人っ子が増えるにつれて、家庭内で人間関係を学ぶことが困難になってきていると指摘されている。兄弟が多ければ、その中で上下関係やけんかをすることによって痛みを知ったり何が悪いのかと言うことを自然に生活の中から学べるのだが、一人っ子であることによりその訓練が省かれてしまうのだ。そしていきなり大きな学校という社会へ送り出され、直面する問題に対して解決方法がなくいじめへ走ってしまうという。

例えば、兄弟間でテレビの奪い合いがあるとする。どちらかがあきらめないと解決しない問題である。きっとけんかが始まるであろう。でも その後けんかをしたところで解決するものではないと気付くはず。そしてそこへ親が入り、テレビを順番に見るという妥協案を提示することにより、その問題は 解決されるでしょう。このように子どもは多くの解決方法を家庭で身に付けていく。

それが一人っ子の場合では機会が少なくなってしまうと言うのです。そして学校などで、自分の欲しいものを他人が持っていたり、自分より 頭のいい子がクラスにいたりすると、そのストレスをどう発散していいのか分からなくなってしまうのです。そして子どもの脳というのは感情に訴えやすく暴力 へと走っていしまうのだそうです。

以上 ヨーロッパTIMEより参考
訳 aki

日本にいるとなかなか国外の事例を耳にすることがありませんが、いじめという問題は世界的問題でもあります。便利になる社会である一方、その犠牲になって しまうのはまだ良し悪しの判断ができない子どもたちだと思います。大人の都合だけで社会を変えてしまうのは無責任であるし、今の子ども達は次の世代の親でもある。この連鎖が続いていくとしたら、きっと心のない人間でこの世の中いっぱいになってしまうでしょう。また学校の先生や親だけでなく、社会の中にいる人全員が参加して考えなければならない問題だとも思います。

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ハッピースラッピング

フランス校内暴力

フランス少数民族

ヨーロッパの中の少数民族

まずはヨーロッパ全体から少数民族についての問題をご紹介していきます。

ヨーロッパ内では、EUの拡大過程において、その国境というものが形を消そうとしています。そのためそこで影を失くしそうになっている大陸固有の少数民族たちは彼らの伝統的文化やアイデンティティを保護するよう訴え始めてきたのです。

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イギリスは西南部に位置する町Corwall(コーンウォール)は、10世紀ごろAthelstanという独裁王によって何世紀もの苦痛ののちイギリスの一部とされました。しかしながら地元歴史展覧会では、この歴史を“Athelstan”という恩人的君主が土着の民族Cornishの人々をイギリスの一部になるようにと好意的な態度を持って説得にあたったと伝えていま す。そこで、Cornish文化の保護と権利を訴える一人Angarrackさんは活動グル-プを結成。イギリス内に存在する少数民族としてCornishを認めてもらい、またその文化や言語保護のための資金を国から援助してもらおうとキャンペーンをすすめています。「イギリスの国家カリキュ ラムはケルト人の歴史(Cornishはその一部)を組み込もうとしない。なぜなら、イギリス人が新しい民族だという概念を国民に埋め込みたくないから だ。」と彼は言う。

traditional horn

ロンドンのテロ事件後、他国からの移民問題が取り沙汰され、国家アイデンティティを問うマルチカルチャーリズムが大陸で叫ばれるように なった一方、今回はヨーロッパ国内にもともと定着していた古い少数民族たちの文化継承概念とそれを支配する大きな国家概念との間で闘争が発生したことに注 目がおかれます。

ヨーロッパ中部、東部では共産主義が倒れ、それまで圧迫されいた少数民族がEU拡大にのってその失われつつあったプライドやルーツを再確認しようとしています。

traditional costume

さらに、主流から遠ざけられていた少数民族は彼らの多様性を国家の中で強調し、祝いまた商業化していこうと前進しています。The Sami(サミ民族)はノルディック地域に住むトナカイ使いの民族で、フィンランド、ノルウェイ、スウェーデンにおいて言葉や文化的問題を独自に解決でき るという権利を与えられた議会を持っています。またドイツのSchleswig-Holstein州では、自らをNorth Frisians(北フリジアン)だとみなしている50,000人のうち20%が2,000年前にこの地域に定住した移民民族の子孫で、いまだ西ドイツ言 語の方言を使っています。

こうした民族が歴史の表へと進出してきた背景には文化的なものだけでなく経済的利益も考えられます。例えば旅行客は自分の国では味わえ ない、民族ダンスやクラフト製品、また新しい味の発見などを経験してみたいものです。特に地方特産物は将来の経済効果が高く望まれます。

こういった民族の再認識の到来は異分子として踏み潰されるどころか、さまざまな方法でEUから奨励されています。例えば先に挙げたCorwallでは、その文化遺産、芸術、あるいはさらなる発展を追求するための手助けとして援助手当が国から支給されています。

しかしながら全ての少数民族グループが彼らのアイデンティティを顕著にし、政治的に権力を得ることに成功しているわけではありません。 スロバキアの350,000人のRoma(ロマ民族)のうち150,000人は差別隔離された地方の少数民族居住地区や都心のスラム街に住まわされています。2003年の国連報告では、中欧・東欧に暮らすRomaの生活状況について、ヨーロッパというよりもむしろサハラアフリカに次ぐようなものであると発表しました。この状況はゆっくりとしか変化しようとしていません。2004年ようやくハンガリーのLivia Haroka(30)さんがはじめてRoma民族からEU議会に選ばれたところです。それとは対照的に、The Basques(バスク)は彼らの文化を持続的に生き生きと保ってきました。スペインバスク族は独自の地方政府を持ち、2003年にはその地域で出版される書物の45%がバスク語によるものでした。

ではどうしてこのような少数民族を重要視しなければならないのでしょうか。それは文化的多様性それ自体はとてもよいことであるからで す。少数民族はヨーロッパの文化遺産の部分を成しており、もし文化の多様性が生き残れなければ全てを失うことになってしまう。さらには、疎外感を感じている少数民族の若者達はしばし自らのルーツを求める際に過激に走る傾向がある。コーカサスから、バルカン、バスク地方にわたる複数の民族が暮らす地域では暴力と不安定という歴史を続けてきました。文化の多様性を押しつぶすのではなく認識することで彼らのアイデンティティを過激な運動から遠ざけることができる のです。

フランス、ブルトン民族

大西洋に突き出た西フランスの半島、Brittany(ブリタニー)にあるLorien(ローリ エン)という小さな港町で毎年恒例のInterceltic Festival(ケルト祭り)が行われます。この祭りは1971年に始まり、ケルト文化(特にBrittany ケルトやThe Bretonsに関する全てのもの)を祝いに集まってくれる人々に音楽、芸術、クラフト、料理などを振舞うのです。祭りに現われた人々は、まず伝統工芸品 などを販売するバザ-をいろいろ見て回ります。Kouignamannと呼ばれるバターケーキ、Chouchenと いうハチミツがベースとなったアルコール飲料など本物のケルト料理が楽しめます。そしてケルト調で近代音楽を演奏するSoldat Louisというバンドや、ケルトの伝統民族音楽を演奏するTropheeというバンドの演奏が聴けます。このイベントは10日間におよび、ただ楽しむための祭りではなく、参加した人にとってはさらに文化的独立宣言という大きな意味を持っています。あるBrittany出身の若者は、「フランスでは何かと調和を掲げるが、すべての人々がそれを望んでいるわけではない。私は自分をフランス人だと思うがその前にBreton民族であるとまず考えている。」と言う。

breton musician

La Republique Fransaise(フランス共和制)における強調はしばし国の原住民文化の圧縮を意味してきたフランスにおいて、これは過激な発言である。しかし移民の連続的な波が押し寄せてきたのです。まずはヨ-ロッパの他の地域から、そして最近においては旧北アフリカ植民地やアジアの国々から。そしてこの波は単一文化や言語、信条を全ての人々に課すことができないのだということをフランス国民に気付かせるのです。

The Bretonは時に激しく彼らの言語を保護しようとし、彼らの古代伝統を完全に近代的に変化させていきました。Tri YannのようなBretonバンドは過去30年においてフランスにおけるケルト音楽を人気化させ、作曲家Yann Tiersenは映画アメリのサウンドトラックを作り、その年フランス中で大ブレイクしました。

Brittanyは5世紀以来重要なケルト文化を継承し、1532年にその地域がフランスの州となってからはパリによる支配に抵抗してきました。何年もの間、Bretonsは田舎者としてばかにされ何かと活動の制限をかけられました。1970年には、独立を求め暴動になることもありました。

Breton人はその言語を、The Diwanというスクールシステムの設立によって伝え続けています。年に2,500人以上の生徒がこのThe Diwan学校で、フランス語と並んでBreton語を学びます。また他の公立学校においても学生は第2言語としてBreton語を学んでいます。こう いった教育方針のおかげで現在フランスでは257,000人の人々がBreton語を話します。この数字は50年代の100万人よりかなり少ないのですが言語を維持させていくのには十分な数だと考えられています。

2004年、パリ市内に初めてThe Diwan学校が建てられました。しかし彼らの文化が人気になるにつれて、Breton人自体がその成功の犠牲者になってしまうかもしれないという懸念が発生しつつあります。もし誰もが、Bretonの服を着て、Bretonの音楽を聞くだけで、Breton人になれたら、このBretonという言葉が本当に本来の意味を成すのかどうか。こういった不安は残るものの、Bretonアイデンティティは時代とともに変化し続け、豊かになっていくでしょう。そして他の少数民族を抱えるヨーロッパ諸国と同様、フランスもまた変化し続けることだろうと願います。

2005.8.29 ヨーロッパTIMEより
訳:AKI

まだ私が日本にいる頃は、フランスに少数民族が存在するなんて全く知りませんでした。長い西洋の歴史においても多くの人々がさまざまな道を歩んできたのだなあと思う一方、グローバル化の一途をたどる世の中でこういった小さな民族の声がなかなか届かないというの は、文化の面から悲しいことだなあとも感じます。

フランスではとくにバスク地方のニュースを耳にします。スペインとフランスの国境辺りに位置するこの地域で 独立を訴えて争いが起こっているのです。一見平和そうなこの地方で、銃などの武器が隠されていたのが発見されたなどというニュースを聞くと驚いてしま います。また同じく独立を訴えているコルシカ島やサヴォワ地方など、問題は尽きません。サヴォワ地方をドライブ中には、フランス国旗ではなくサヴォワ国旗を見かけたり、「サヴォワ独立」という落書きなどもありました。

一まとめにフランスと見てしまいますが、中をよくのぞいてみるとこのように独立を望んでいる地域があるということを知ると、またこの国の見方が変わってくるのではないでしょうか。日本がそうであるように、フランスにもいろんな地方の特色があり、その違いが特出 して独立心にまで至っているのでしょう。

またこういった問題はフランスだけには限りません。ヨーロッパの国々をはじめ、世界中で見られる問題ではな いでしょうか。なかなか届かない声に耳を傾けてみると、見えなかった世界が見えてくるようです。

フランスの人種問題

フランスに現在住む私は、もちろんフランス人にとっては異人種の一人。今まで日本に暮らし自分がマジョリティだったころは、人種という言葉にそれほど関心がなかったように思います。とりわけ日本という国は単一民族で、人種というものが問題になることは少ないですからね。しかし海外に出ると否応なしに日本という国がどれほどユニークな国であるか感じさせられます。

フランスへの定住移民
フランスの合法的移民数が1999~2002年に36%増。この背景には97年から5年間に及ぶ左派政権によって行われた不法移民の合法化の動きがあり、 今や来仏する移民の主要目的は家族呼び寄せなどの「家族形成」だという。(この報告書は社会問題省の人口・移民局が作成したものである。)

フィガロ紙で明かされた概要によると、国際移民局、内務省、仏難民・無国籍者保護事務局の統計に基づき調査した結果、2002年に定住目的で1年以上の滞在許可証を取得した外国人は前年比16%増の156万人を記録。98年の11万5千人と比べると驚異的な伸びで、特に欧州経済圏外の出身者が増加している。

この「家族呼び寄せ」カテゴリーの来仏者は99年の5万人から02年には8万人にのぼり、03年も続いた。しかし移民法改正により、新規移民法の定住化条件が厳しくされたことから、今後の移民増は微妙な情勢。

graph

人種問題
このように国内にさまざまな人種が集まることにより、文化・習慣などのトラブルが起こる。移民してやって来る者の多くは貧しい階級出身で教育がしっかりされていない。そのため犯罪を引き起こしやすい。また宗教の違いから起こる差別は一国だけでなく世界全体を取り巻く問題となる。

ユダヤ人とムスリム
その中でも一番の問題が、ユダヤとムスリムである。 ここに最近あった事件記事を挙げます。

2004年7月9日、マリーという23歳の女性が、パリ郊外の電車内で6人のアラブ人と黒人に襲撃されたと通報。調べによると、6人グループはこの女性をユダヤ人だと思い込み、女性の髪や体をナイフで傷つけ、体に旧ナチスドイツの党章、卍のマークを刻み込んだということだ。さらには 13ヶ月になる彼女の赤ん坊までもターゲットに。その間乗客といえば知らぬ顔。

これに対しシラク大統領は、「反ユダヤ人の理由のない攻撃である」と非難し、犯罪者に対して厳しい措置をと訴えた。

しかしながら、この事件は解明されることなく、7月13日までに当事者であるマリーが「全ては彼女自身がでっち上げたうそであった」ということを告白し、多くの国民を驚かせた。

ここで注目したいのは、国民をはじめ、国家のトップでもある大統領の反応の大きさである。このことは、人々がこのような事件が起こりう るということを知っているのだということを裏付けている。今日のフランスは、こういった反ユダヤなどの人種差別が日常の中に浸透してしまっているのです。 フランス人権協議委員会は、2004年度上半期においてすでに766件の反ユダヤなどの人種差別に関する脅迫や襲撃があったと報告している。これは去年一 年間で起こった817件とほぼ同じ。2004年に起きたケースのほとんどはユダヤ人がターゲットとされているが、アラブ人に対する差別犯罪も膨れ上がって きている。2003年では164件であったのが、2004年の上半期にはもうすでに256件の事件が起こっている。

統計によると、2000年以来、フランスの約650,000人のユダヤ人コミュニティがその主な襲撃の標的となっており、以前は近代ナチスがその決行者であったが、現在はそのほとんどがフランスの荒れた郊外に住む恵まれない環境のアラブ系の若者たちに取って代わっている。フランス警察情報機関から漏れた最近の機密情報によれば、200万人以上のフランス人がこういったスラム化した300の郊外に住み、社会の主流から切り離され、暴力や宗教過激主義に包囲されてしまっている。こういった問題の背景には、パレスチナ問題やイラク戦争があり、若者たちの怒りをユダヤ人に向けさせてしまっているのだ。

現在のところこういった事件の背後に組織立ったものは見られませんが、ユダヤ人リーダーたちは、「フランス政府が反ユダヤを非難しないために、フランスには5万人ものムスリムがいるにもかかわらず、多くの襲撃がユダヤ人に向けられるのだ。」それに対しムスリムリーダーたちも、「反ユダヤ 感情の裏にアラブ人があげられること自体人種差別のあらわれだ。」と反論している。

demo

しかしながら、現在反ユダヤが問われるとき、ムスリムが疑われるのは免れない。フランスでは蔓延する《イスラム嫌い》のため、責任が全てムスリムコミュニティへと運ばれてしまうのだ。

ユダヤ人以外の人々にしても、日々の偏見だけでなく、明らかな差別へと変化している。それらは報告されないでだけで、共通の人種差別であるといえる。

シナゴーグやモスクなどは放火され、ムスリム・ユダヤ人の墓地は近代ナチスの冒涜の場所と化している。

grafitti on tombstones

一方フランス側は、宗教や文化の違いは公の場所では禁止されるべきだと訴えている。ムスリム女性のスカーフもその例の一つになるだろう。学校という公の場で宗教の主張をするべきではない。そこは平等に与えられた宗教越えた場であるからだ。

以上TIME紙より参考

 

パリの中の文化衝突

EUの税金事情

ヨーロッパの税金

ヨーロッパの人々は世界で一番高い税金を払っている!

まず各国の2002年におけるGDPパーセンテージとしての税歳入をみてみましょう。

スウェーデン 50.6%
デンマーク 49.4
ベルギー 46.2
フィンランド 45.9
フランス 44.2
オーストリア 44.1
ノルウェー 43.1
イタリア 41.1
オランダ 39.3
チェコ共和国 39.2
ハンガリー 37.7
アイスランド 36.7
ドイツ 36.2
イギリス 35.9
スペイン 35.6
ギリシャ 34.8
ポーランド 34.3
ポルトガル 34
スロヴァキア 33.8
スイス 31.3
アイルランド 28

 

european map showing tax percentage ク リックすると拡大します。

*アメリカ  28.9%
*EU15 40.5%
*日本 27.3%

*2001年度の統計

高い税金を払うと….
まず、充実した福祉サービスが受けられる他、健康保険、安い公共交通機関、町の清掃、さらにはヨーロッパでは教育機関になどが私立をのぞき無料。大学がなんと無料。初めて聞いたときはそんなことが可能なのかと驚きましたが。さらに学生の間は国から家賃の手当てがもらえ、さらにはファストフードレストランなどでは学生証を提示するとおまけがつくという。いたりにつくせり。医療費も日本と比べるともちろん安い。ほとんどが保険で支払われるので、なんでもない小さ なことでもお医者さんに見てもらう。

上がり続ける税率
しかしながら、税金はここ30年の間に急激に上がり、多くの人々が嘆いています。サービスは向上しないのに、どうしてより高い税金を払わなければいけないの かと。

あるフランスのアンチ・タックスグループが”税解放の日”を祝う新聞広告を出しました。『2004年度7月16日までのフランス人がつくり出 した所得(半年以上)は、全て政府へ支払われる計算である。』多くの経済学者、財政アナリスト、さらには政治家でさえこのままではいけないと訴えています。

こういった運動はヨーロッパ全土にみられ、オーストリアは法人税を34%から25%に下げることを承認。2005年度より施行。またベ ルギーでは去年法人税を40%から34%にカットしました。ちなみにエストニアにある企業は国内に再投資する利益については税金0。さらにドイツでも今年わず かながら所得税の値下げ。

フランスでは多くの企業家たちがこういった高額の税金から逃れるため国外へと移住。ボルドーにあるビジネススクールの教授はこう いった企業家の流出により1千億ユーロの価値が失われたことになると見積もっている。

EU統合による新たな問題点
EUの新しいメンバーである多くの東欧諸国は西欧諸国よりも低い税率。企業に対する実質税率は平均21.3%で、旧メン バー平均の29.4%を下回る。その結果、EU政府にとって税政策が大きな課題となっているそうです。例えば、フランス、ドイツなどの国々は”調和”を大切にと他の税率の低い国々も彼らのように高い税率へ引き上げるようにと主張しているのですが、EU本部では大多数の賛成を受けていない。

アイルランドの自慢
ここでアイルランドについて。この国の自慢は過去15年間において個人所得税を35%から20%へ下げたこと。 また法人税なども値下げ。アイルランドの税金は過去7年間で24.5%と18%ポイントも下がった。このことは、例えば100ユーロ稼ぐと、平均的アイ リッシュ人は家へ75.50ユ-ロもって帰ることができる。一方ベルギーでは、同じ稼ぎでも45.50ユーロしか持ち帰れない。さらにこの低税率のお かげでアイルランドでは、失業率が5%以下にまで改善されました。

しかしながら他国がこの政策を適応するのかどうか・・・。多くは90年代のこの驚くべき経済成長をEUの助成金のおかげだとしている。さらに は、現在の状況として、この経済成長は速度をゆるめ、財政赤字を引き起こしている。しかしながらアイルランドの教訓はその低い税率だけではなく、そのシン プルな税金の種類にもある。20年前この国には6つの異なる所得税のカテゴリーがあったのだが、現在は2種類だけである。

労働と消費
ヨーロッパのもう一つの不満は、労働と消費に高い税がかけられること。その率はアメリカよりもはるかに高い。そのことが EU政府の国民の消費力、雇用、開発の活性化という目標と相反してしまう。例えば、最近ベルギーでは科学研究者をかかえる企業に対する社会保障負担を 半減するという案を認可。またフランスでは、小さな会社”Young Innovative Enterprise” という新しいカテゴリーを設けた。設立より3年間は完全に免税され、その後2年間は50%の割引が与えられる。

税金の無駄遣い
2003年フランス司法省は非行少年用の少年院を数件増加した。その中でも、ノルマンディーにある大きな公園とプールつき の18世紀の城を使ったのである。そこでは8人の非行少年を監督するのに27人の人々が雇われている。フランス人の税の年平均支払額は170万ユーロ。そ れに加え、城に対して61万ユーロ。フランス政府は、年間約1千億ユーロの無駄遣いをしていることになる。これは高いように見えるが、実際1980年以来 30%ほどフランス公共サービスが膨れ上がってきているのは確かだ。フランス人4.3人のうち1人が政府のために働いていることになり、政府のお給料は国 家財政の43%にもなる。財政省ニコラス・サルコジは公務員を減らすことが一番の解決法だと言い、すでに5000人の税検査官を解雇する計画を発表してい る。

さらに、フランスには実に法外な税金が存在する。財産に対する税金で、おそらく世界で一番広範囲のものといえる。フランソワ・ミッテラ ンにより1988年に現在の形で施行され、72万ユーロ以上の財産のあるものに対して税金がかけられる。その対象となるものは、株や証券、銀行口座、不動 産、さらには個人的所有物でさえ適応される。約300,000人のフランス市民と在住者がこの政策の犠牲にある。そしてこのことが、才能ある人物をフラン スから追い出しているのだ。多くのフランス人は、金持ちはたくさん払うべきだと考えているのだが、そういったお金の余裕のある人々がビジネスを生み出し富 を呼んでいるとは気づかないようだ。

以上TIME紙より参考

EUの肥満問題

フランス人と聞いてあまり肥満という文字は浮かばないかもしれませんが、パリの中にもマクドナルドがあちこちと…。電車に乗っていたりしても大きな人が乗ってきて席を占領されたりすることも少なくありません。まずはここにおもしろいデータを見つけたのでご紹介します。

世界肥満度トップ26(男性)

国名 肥満度 平均寿命 マクドナルド店舗数 人口100万人あたりの店舗数
1 ギリシャ 29.0 75.2 48 4.5
2 アメリカ 27.7 74.3 12.804 45.6
3 チェコ 22.0 72.1 60 5.8
4 イギリス 21.0 75.7 1.115 18.7
5 アイルランド 20.0 74.4 62 16.0
6 フィンランド 20.0 74.4 93 17.9
7 アイスランド 19.0 77.6 3 10.7
8 オーストラリア 18.5 76.4 701 35.9
9 スロバキア 18.0 69.8 10 1.8
10 ドイツ 18.0 75.2 1.091 13.1
11 ハンガリー 18.0 67.7 76 7.5
12 デンマーク 15.0 74.2 99 18.4
13 ニュージーランド 15.0 75.8 149 38.1
14 メキシコ 14.9 70.4 205 2.0
15 ベルギー 14.0 75.7 64 6.2
16 ポルトガル 14.0 72.6 91 9.0
17 ノルウェー 13.0 76.0 55 12.2
18 オーストリア 12.0 75.4 148 18.1
19 フランス 12.0 75.2 857 14.3
20 カナダ 11.8 76.7 1.154 36.2
21 オランダ 11.0 75.6 2.5 12.8
22 スウェーデン 10.0 77.6 227 25.6
23 スペイン 10.0 75.9 276 6.9
24 イタリア 9.5 75.5 290 5.0
25 スイス 6.0 75.9 119 16.3
26 日本 1.9 77.9 3.589 28.3

IOTF, Overweight and Obese – latest figures from IOTF(2002年デ-タ)

欧米人に比べ日本人がいかに健康的か、この数字を見れば分かると思います。しかしながらマクドナルドの店数でいえば世界2位、人口 100万人単位では5位についています。確かに日本では数歩歩けばファーストフードのお店にぶつかるといっても大げさではないかもしれません。食べ物が西洋化するにつれて肥満問題もこれから拡大深刻化していくのでしょう。

さて、アメリカでは、成人の3分の2が太っているとされ、そのうちの2分の1が肥満とされています。6歳から19歳までの子どもについては15%(6人に1人)が太っており、さらに15%がその症候群だということです。さらにおもしろいデータとしてアメリカにいる犬や猫も25%が体重 オーバーだそうです。

一方EUでは、男性の10%~20%が、そして女性の10%~25%が肥満です。子どもはというと18%が肥満もしくは太っていると診断されます。肥満の問題が深刻化する中、EUの医療費の8%(420億ユ-ロ)が肥満に関連する病気の治療に費やされているそうです。

fat man

France : フランス人口の約32%が体重オバー、そして11%が肥満。 さらに6歳から9歳の間の18%の子どもが太っており、3.8%が肥満。この数字は1960年における調査の4倍にあたります(2004)。

updated***2006年度の調査によると、 フランスでは2千万人の人々が太っているとされ、そのうち6百万人が肥満。肥満は1997年の8.2%から全人口の12.4%と増加。さらに、10年でフ ランス人は平均2.1キロの体重増加、3.4センチのウエストラインの増加をしたという計算になります。

England : イギリス国民の約3分の2が太っているか肥満と診断されます。このうち肥満は過去25年において40%の上昇だそうです! 学生の大半が週に2時間以下しか運動をしないという。

Germany : ドイツの男性人口の3分の2、女性人口の半分が太っているまたは肥満と診断されます。

jumping

ここから分かるのはフランスだとかイタリア、日本など世界でもその料理法が評価されている国の人々は、肥満になる傾向が低いのかな。おそらく手間ひまかけて作る料理は栄養のバランスがとれるからだと思います。ちなみにアジアの肥満度を見てみると次のようになります。貧富の差なども考慮しなければなりませんが、その数字と西洋国の数字の差に驚きます。

国名 肥満度
1 シンガポール 5.3
2 マレーシア 5.0
3 日本 1.9
4 タイ 1.7
5 フィリピン 1.7
6 中国 1.0

肥満解決には、なんといってもバランスのとれた食事と適度の運動ということは広く知られています。ここでさらに関連したおもしろい記事 をご紹介します。

次のグラフはEUにおける余暇の過ごし方を表しています。タイトルには「余暇の4時間をどう過ごしますか」と書いてあります。そしてそ の下のパーセンテージは「テレビを見ながら」と答えた成人の結果です。


Eurostat : ヨーロッパTIMEより

ハンガリー 54%
イギリス 47%
フランス 46%
ドイツ 33%
ノルウェー 32%

さらに食事療法(ダイエット)についてもう一つ。こちらも同じくヨーロッパTIMEからの記事なのですが、それによると地中海料理の多 くの果物・野菜・ナッツ・種子類・穀物・しかしながら適度の量の肉類・そしてバターの代わりにオリーブオイルが長生きの秘訣になると。ヨ―ロッパ11カ国 2,339人の老人を対象にした調査では、この地中海料理を食べている人のほうが、23%死亡率が低いということが分かったそうです。そしてより多くの人 がダイエットのためのサプリメントなどもとらないということが調べにより明らかになりました。こうした自然の食物を多く取り入れることで、消化を助けまた 消化器官の害のある微生物を減らしてくれるのだ信じられています。しかしながらこうした意見について、肥満度高、その食べ物も世界的においしくないと評判 のイギリスの研究者は疑問を投げかけているのだそうです。

確かに南仏へ行くとたくさんのフル―ツとナッツがたくさんテーブル出てきます。特にあんなにたくさんナッツを食べるなんて初めて行った時は驚きました。食事の後、パキパキ殻を割ってクルミやアーモンドを食べるんです。日本にいた時はチョコレートの中に入っているくらいの分しか食べたこと がありませんでした。また日本では少し値段の高めのオリーヴオイルも惜しみなく使えるのはうらやましい。

フランス全体で見ると、南仏は食べ物がいい。内陸部は結構チーズや肉類が多いので大きな人が多い。パリはおいしい物を見つけるのが難し い。たとえレストランでも当たりはずれが多い。またいろんな国の人が暮らすので食べ物もオイリーなものが多いのかもしれません。海から離れているので新鮮な魚など取り入れるのが難しいんだそうです。値段が高くていまいちの味。

最後にフランスの肥満は(他の国と同じように)深刻化しています。通りを歩いていても自分で自分の体重を支えるのがつらそうなくらいの人、電車で席が空いていても通路を通過できず苦しそうに立ちながら汗をいっぱいかいている人、ファッションには気を使っていてもへそ出しが腹出しになって いる女の人。たくさん見かけます。フランスでも日本料理が人気なのはこういった背景があるからでしょう。日本人も日本食のよさをもう一度見直さないと。そんな伝統的な食文化に生まれたことをありがたく感じます。