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フランスの教育

フランスの学校教育
フランスの教育に関するニュースや知人からの話などを聞いてつくづく思うことは、フランスには「競争」というものが無いということです。文化や考え方の違いによって教育の捉え方なども全く異なってくるのだと改めて感じました。

さて、フランスの教育に関する現状ですが、フランスの学校では「競争」どころか、生徒に対してランクや成績をつけることは公平ではないと捉えられていて、能力別にするべきだという意見もあったそうですが、すぐにストライキにあい却下されてしまったそうです。

「競争」が無いので生徒たちはストレスがたまらない。その上、週5日の授業のうち水曜は午前中で終わり。一年で見れば、数ヶ月の夏休 み、クリスマス、スキー休みがそれぞれ数週間、さらに何かしらの祝日があり、またストライキが起こると学校も閉まってしまう場合もある。この国には塾も予備校もないし、休みは完全に休みなのです。

でも休みが多いということは、学校の授業の進度が遅いということもありえます。フランスに住む日本人家族から聞いた話なのですが、フランスで子供のために学校を選ぶ際、フランスのある現地小学校を見学しに行かれたのですが、その時の授業内容が日本のその学年に比べ数年遅れだったということです(日本が詰め込みすぎという考えもできますが…)。

《2006年度更新記事》

フランスに吹き込めるか新しい考え

2006年度、フランスに新しい考えが生まれようとしています。 シラク大統領の後、次期大統領として人気を増してきているニコラ・サルコジ氏。先日テレビ演説がありました

フランス語ができないので主人に要約してもらったことを書くと、サルコジーさんは、フランスの教育は、一新されなければいけないと主張。学校では子供たちに想像力だとか自由なんて教える前に、数学を勉強させるべきだ。そして教師を尊敬する態度を身に付けさせなければいけない。アメリカでは授業の前に国家を歌わせている。フランスでも取り入れるべきだ。昔は何もしなくても何でも手に入った時代であったが今は違う。この国では、もっと働きたい、もっと成功したいと思っても、法で労働時間が週35時間と決まっていて、それ以上働いても手当ても出ない。私が選ばれても、政府が何でも守ってくれるなんて思わないほうがいい、などなど。

その後、主人が、「フランスの子供の多くは学校、学業というものに対して重要視をしていない。学校での出来事で、クラス全員がテストで0点を取 る。それに対してとる教師の対応が問題。生徒が勉強しなかったことを責めるのではなく、難しかったからだと、誰でも解ける簡単なテストでやり直しを させて、みんなが100点を取れるようにアレンジする。大学入試にあたるヴァカロレアも同じ。その年の学生の能力に合わせて難易度が変るようになっている。そんなシステムだと、中学生になっても 計算できなかったり、字が書けなくても当然の事だ。」 と。(2006)

《2007年度更新記事》

こちらは夏のヴァカンス時期によくフランスで売り出される子ども達の復習用教材についての記事です。ちょっと興味深かったので紹介します。


ヴァカンス中の宿題の出しすぎはダメ

夏のヴァカンスによく見かける学習ノートがよく売れている。全体の売り上げは3パーセントにもかかわらず、幼稚園生向けの教材が18.5パーセント伸びている。

こういった結果に対して、専門家達は不審そうな表情をする。「この現象は親の不安による商業的投資を示している。」と教育労働組合幹事。また「親というものは常に就学前に子どもに学習させようとする傾向にある」と幼児教育心理学のある教授は述べる。

その教授によると、親と子どもが接する時間を持つほうが効果的であるということだ。「子どもの認識力や情緒の発展は遊びを持って伸びるものである。滑り台で遊んだり、砂場で他の子と共感しあう方がよっぽどそんな教材を使うより建設的である」と、さらに児童心理学者は言う。「子ども達に嫌な思いをさせる必要は無い。彼らの自由にさせてやりなさい」ということだ。 —-フリーマガジンMetro(2007)より—-

また多くのフランス人は若い子のフランス語がひどいと嘆いています。昔は学校でフランス語が正しく書けるまで練習させられていたけれど、最近は何でも子ども側に立って物事が進み、そのせいで学力が下がっているとか。うちの主人もよく研修で来る学生の文書を確認したりするのですが、読めたものではないと言っています。単語の使い方を知らない、文法を知らない、文の書き方を知らない、何を書いていいか分からない、 中には丸写しで提出するような学生もいるそうです。どこの国も同じような傾向をしていますね。

《2009年度更新記事》

サルコジ大統領となってから、いろんな改革を謳ってきていますがそれほど効果の出たものはいくつあることか・・・・・なかなか新しいことを 取り入れることは困難です。特にフランスは保守的な考え方の人が多い。何かあるとストライキ。

教育の場でも同じです。サルコジ政権のもと、教育改革に取り組んでいるのがダルコス教育相。その内容とは、

  • 教育予算の大幅カット
  • 教師をはじめとする教育労働者の数を大幅削減
  • 職業高校で得られる資格の削減、職業教育年限の短縮など
  • これらを通じて、教育の民営化攻撃を激化させる

フランスは、アメリカ、イギリスに比べ民営化や規制緩和が非常に遅れています。当然今まで教師として地位を保証されていた人たちは猛反対。それも学生を巻き込んでのストライキ。競争のないフランス社会、「弱い人を助けよう」精神はいいのですが、そればかりで進歩がない。助けられるのが当然だと思い自分から改善しようとしない人が増えます。大変な状況だと思います。(フランスの職場と雇用も参考に)。どこの国でも同じですね。

先日見たヴァカロレアについての特集番組では、それをよく表していました。

その番組では、まず、近年学生の学力低下が問題視されており、ヴァカロレアの難易度もそのレベルに合わせ年々簡単になっているとある関係者が嘆いていました。日本のセンター試験は確かマークシートで機械が採点するのに対して、ヴァカロレアは人間が採点します。すると、採点する教師によっ てスコアに開きがでてきます。問題に対して的を得ない回答であっても、何か書いてあればスコアを与えるように上司から指導を受けているという教師がいました。そうしなければ、その教科がヴァカロレアから削除されてしまい、自分たちの立場が危なくなってしまうからだと言っていました(もちろん顔にはモザイ クがかかっていましたが)。教えることでスコアをあげようというのではなく、スコアを改竄することで何とかしようとしているんですね。

知人から聞く話では、レベルの低い子たちの点数が悪くなってしまうから、ヴァカロレアでどんなに良い回答でも高いスコアを与えない教師 がいるという。ヴァカロレアのスコアというのは、採点する教師によってこんな風に影響されてしまうんですね。

そして大学で法律を教えている友達は、「どうやってヴァカロレアに受かったんだろうかと思われるような生徒がいる」と嘆いていました。 日本で言うと、大学で高校の復習をさせなければならない状況と似てますね。

日本もそうですが、フランスも教育改革がこのように重要な問題点として扱われています。

《2010年度更新記事》

フランスのある大学の教授のお話です。

『フランスの大学では学生の能力が年々低下しており、またそれに合わせヴァカロレアの難易度も落ちてきている。大学生になっても高校生で学習するレベルの知識が入っておらず、大学に高校の教師を呼んで授業の補修を行っているケースもある。文章がかけない、計算ができない、また論理的に考えられないのである。競争できるのは医学部くらいのものである』。

やはり日本の大学とフランスの大学、同じですね。高校のレベルにも達していないのになぜ大学にいけるのか。勉学を志すならば一生懸命勉強するだろうし、その気がないのに大学に行くって・・・?

チャンネル2のニュースでも、大学生の学力低下について同じような内容のニュースを伝えていました。例えば、フランス語のスペリングや文法などの問題、あるいは語彙力の欠如など、改善が必要だと。しかし、おもしろいもので必ず違った考えをする人が世の中にはいます。この件に関して「もし学生の学力が低下しているのならば、フランス語のスペリングや文法を簡略化する必要がある」と・・・専門の方が・・・。

またきになる記事があれば追加していきたいと思います。

続く

 

フランス環境問題(農薬編)

農業の国フランス。広大な土地を利用してさまざまな野菜や穀物が作られています。そしてスーパーに並べられる野菜はどれもピカピカ。こういった大量生産の裏に農薬技術が隠れていることはどこの国でも同じですよね。最近はBIO(ビオ/無農薬)の製品も見かけるようになりましたが、気に過ぎるのもどう かと思ってしまいますし。ですから私達は、マルシェで見つけた新鮮な野菜を売る店でなるべくたくさん野菜を買うようにして(これが本当においしいし、季節 によって出る野菜も違う)、そしてスーパーで買ってきたものは丁寧に洗うようにしています。


こちらはマルシェで買ったトマト。つやがって甘い。

それに、農薬というのは野菜から直接体内へ侵入するばかりではありません。このページではフランス、特にパリ周辺に見る農薬による環境 問題について紹介したいと思います。

【農薬による大気汚染】
Airparifによって発表された研究によると、パリ上空の大気圏は約30種類の除草剤、殺虫剤そして除菌剤によって汚染されているということです。

殺虫剤がパリの人口密集地に雨に混ざって降ってくるということは以前から確認されていたことだが、Airparifの発行する月刊誌の中で新たに首都圏の空中にも殺虫剤が混ざっていることが明らかにされた。それも農業地域と同じくらいの濃度の数値が割り出され、さらに合計約30種類の分子が5箇所の採取地域から確認された(Pari, Les Halles ; Bois-Herpin(Essone) ; Gennevillier (Haut-de-Seine) ; Challes et Coulommiers (Seine-et-Parne)。

2006年の3月から6月、農作業で一番大事な時期において、農薬汚染に関する調査キャンペーンが行なわれた。その調査結果のグラフか ら、大気中の殺虫剤濃度のピークと農作業のスケジュールとが完璧に一致することが分かった。4月上旬には殺虫剤(pesticides病原菌を殺す)が、 少しして別の種類の殺虫剤(insecticides虫を殺す)、そして除菌剤(fongicidesカビを殺す)の順と続く。これらのサンプル採取は空 気を吸引しフィルターに通すセンサー機器を使って実行されました。

Airparifは、首都中心と周辺の耕作地域との間にはほとんど違いがないと認めています。パリ郊外Bois-Herpinで最大 29種類の殺虫剤が、それに対し、Hall(パリ中心)の駅では19種類の殺虫剤が確認されました。間違いなく、都心エリアの方が濃度は薄まりますが、汚 染は現実に起こっています。Ile-de-France(パリの所在する県)で毎年3,200トンの殺虫剤が使われており、耕地1へクタールにつき 2,1kgに合致。フランスは世界第3番目の農薬使用国である。

ある殺虫剤研究者は、≪パリ中心の大気中に農薬が飛んでいるのは驚きではない≫と強調します。パリ人口密集地は広大な農業地帯に囲まれており、いくつかの地域は風が吹いてくる方向にある。そうした地域からさまざまなガスや化学物質を運ばれてくる可能性がある。実際、農薬散布時期には25 パーセントから70パーセントの物質が大気中に気化しガスとなる。それらの大きさは「ナノ」メートルで表され、そしてそれらのガスは肺の中に侵入し、簡単に血液中に通過する。

また、都市エリアでは、造園のため、特にバラ栽培のために使用される薬剤物質が確認されており、その物質はパリ周辺においては見つかっ ていない。しかしながら、これにはほんの10パーセントの有害物質しか含まれていない。≪対象を間違えたり、非農薬用途についての問題を持ち出してはいけない≫と。汚染は何よりも農薬が原因となっているのだ。

殺虫剤はそれぞれに特徴を持っている。あるものは揮発性が強く、使用された時にだけしか大気中に現れないものもあり、アブラナやヒマワ リの栽培に使用される除草剤のように、一年中空気中に潜んでいるものがある。

以前Orlean(オルレアン)で同じような調査が行なわれたが、今回Airparifによって殺虫剤の引き起こす衛生問題が新たに提 示された。水の中にも、食品の中にも、そしてまた毎日人々が吸っているものにも考慮しなければならなくなるだろう。まだまだ調査されなければならない殺虫 剤のリスクというのは評価がし難いものである。Airparifの研究調査はla Drass d’Ile-de-France のPlan Cancer(癌研究)の一環として、また Essone とval-d’Oise県、そして Ile-de-France Environnement 研究所などの支援を受けて実行された。

以上 2007年6月フィガロ紙より / 訳 aki

air

どこの大都市も、大気汚染は頭の痛い問題ですね。こんな所に農薬が飛んでいるなんて驚きです。食べるものだけに注意していても、普段 吸っている空気自体汚染されているんですから大変なことです。でも、健康のために農薬をやめたとしても、きっと今の世の中自給自足できなくなってしまうのでは。どこで流れがくるってしまったんでしょうね。

自分個人の生活スケールではなく、自分の国、あるいは世界スケールで、物事を考えて行動しなければならないですね。「BIO(無農薬) 野菜を買って食べてれば健康でいられる」という考えではなく、どうしたら汚染問題が解消されるかということにも頭を使わなくては。

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フランス環境問題(大気汚染)
フランス環境問題(大気汚染対策)
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フランス環境問題(地下鉄編)

フランス環境問題(地下鉄編)

パリの地下鉄メトロを初めて利用したときの感想は薄暗いなあという感じでした。ごみが線路上にたくさん落ちているし、壁に貼られたポスターはずたずたに破られ、ホームレスの人の何とも言えない臭いがしてきたのを覚えています。

このぺージでは、そんなメトロで起こっている問題、そして対策などをご紹介していきます。

【メトロ内の大気汚染】
最近読んだ新聞記事に興味深い記事が載っていたのでご紹介します。

metro

あるドキュメンタリー番組で、メトロ内の微小粒子による高い大気汚染率が非難されていたのですが、RATP(メトロ)は初めてそれを説 明し、問題はないと安心させる姿を見せました。

RATPの地下交通機関の空気の質について集めたデータの調査結果では、直径が2.5から10ミクロメートルの微小粒子が空気中に浮遊 するとのことでした。

しかし実際、Canal+(カナルプリュス/テレビ会社)のジャーナリストチームが入手した機密文書には、RATPによって調査された 微小粒子の数値はかなり高い汚染度を表していたそうです。

メトロ内の微小粒子のほとんどが、レールがすれる際に排出、あるいはまた車両のブレーキシステムに問題があるとされており、それらの微 粒子を列車が空気中に舞い上げているのです。そして乗客や従業員の身体にその微粒子を浴びせることに。

CSHPF(le Conseil superieur d’higiene publique de France/フランス公共衛高等議会)は、2001年に、メトロ内1立方メートル当たりの微粒子量を最大347ミリミクロメートルとし、平均的にこの値 が守られることを奨励。RATPによると、RER(パリ市内近郊を走る線)の一区間においてのみその数値を超えていたということだ。しかし、ジャーナリストらによると、時間によっていくつかの地下鉄駅内で数値を超えることを指摘。たとえば、Chatelet-Les Halles(シャトレ レザル駅)では午後5時から7時の間において1200ミクロメートル以上の数値を示し、また RERのGare de Lyon(リヨン駅)では2400ミクロメートルまで数値が上がった。

≪あくまで規格数値は存在しない。我々の目標はCSHPFの奨励を達成することだ≫と、RATPの責任者は強調する。レールの近代化、 電気ブレーキの普及、ならびに清掃電車や3台の電車掃除機が汚染物質排出を縮小のために導入されたが、その結果は大きなものではなかった。

≪医療追跡調査においても何も臨床的証拠は見つけられない≫と、RATPの専属医師は述べる。RATPによって実行された健康死亡調査によっても同じ結果である。

肺に深く浸透し、微小粒子は毎年348,00の早期死亡をヨーロッパで引き起こしている。EUではすでに戸外における微小粒子率を1立 方当たり50ミクロメートルと上限を設けている。将来的には閉ざされた空間においても規定が定められることだろう。≪新鮮な空気を吸うことは健康であるた めに欠かせない条件である≫と世界保健機構もはっきり述べている。

会見の終わりに、RATPは公衆とうまくコミュニケーションがとれなかったと認めた。2008年には、全ての交通機関において利用者がどのような有害物質にさらされているのかという報告をまとめる予定だ。

以上 フィガロ紙 2007年6月
訳/aki

【メトロとエコロジー】

2007年5月25日より、メトロ14番線において乗客らにゴミの区別を勧める対策が始まった。実際この14番線の全スペースに今後リサイクル用の黄色い集積所が設けられる。リサイクル用には新聞、プラスティック、油脂などで汚れていない紙、あるいは電車の切符などが回収される。

毎年7、000トンのゴミがRATPの全ラインから集められ、そのうちの半分はリサイクルのできるゴミが占めている。

乗客を対象にしたアンケートでは、このようなRATPによるイニシアティヴは95パーセントの人々によって支持され、97パーセントの人々が環境によい行いだと評価している。

RATPは今後Ile-de-France RERの駅にこのシステムを取り込む予定。そしてメトロの駅にも補足的に追加していく。

以上 フリーマガジン A NOUS PARIS
訳/ aki

いつも利用しているメトロ。本当にゴミやたばこの吸殻が多い。リサイクルについても、うちではプラスチック などの容器は洗って選別していますが、アパートの集積所に集められるゴミはごった混ぜ(がっかりさせられることが多い)。このメトロのリサイクル袋が活躍 してくれることを願います。メトロ内がきれいになるといいですね。

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フランス人女性

『フランス人女性』

フランスへ来て感じたことはたくさんありますが、その中の一つにあげられるのが、女性の喫煙者の多さです。どうして通りで女性が堂々と歩きタバコができるのか、どうしてべビーカーを押しながらタバコが吸えるのか不思議で仕方がないのですが、お昼時にでもなるとオフィスの外にたむろって女性がタバコで一服というのが現実。

そんな不健康そうなフランス人女性ですが、出生率はとても高い。先日読んだEUROPE TIMEのエッセイに「少子化にあるヨーロッパ社会の中で、フランスは今出生率が上昇中」とありました。

まずはフランス人女性の出生率について。

EUROPE TIMEよると、この傾向はフランス人の誇れるべきことであり、女性が仕事と家庭を両立できる社会の表れであるのだと。これから税金を国に払ってくれる人間が増えていいことだという声も。この社会では男性が簡単に育児休暇をとったり、ベビーシッターの制度もしっかりしていて、女性だけが苦労することはないように思われます。大体週35時間労働、それに時間通り働いているなんて考えられませんし、また子供がいたほうが国からの援助がもらえて何かと有利なので、結婚はしないけれど子供だけは作っておこうと考える人も多いはずだと。
2006年、フランスはアイルランドを追い越してEUでもっとも多産の国家となった。出生率は女性1人に対し2人の子供

1981年以降のどの年よりも多産の830,900の赤ん坊を去年フランス女性は産んだことになる。

出生率はフランスネイティヴよりも移民者の間のほうが高い。しかし後者の平均1.8の出生率でさえ、お隣ドイツ、スペインよりもはるかに超えている。

ドイツ、スペイン、イタリアではプロナショナリスト政策がファシズムと結びついたが、フランスでは女性が仕事をしそして同時に子供も持てるように社会の基礎設備を置いて子育て支援にに力を入れた。

結婚をしなくとも社会的な地位を法律的に認めているが、2006年に生まれた赤ん坊の実に約半分の母親が未婚である。(以上EUROPE TIMEより)

さてフランス人女性の出生率増加とともに、フランス人女性の喫煙率もすごいです。

あるフランスのニュースでは、妊娠中に喫煙を続けていた女性が出産後、その赤ん坊がなかなか泣き止まないので医者に連れて行ったとこ ろ、生まれながらにその子がニコチン依存症になっていたことが判明。泣き止まないその子どもにタバコの煙を向けたら泣きやんだそうです。

french kids

どうしてフランス人女性の喫煙者はこんなに多いんでしょうか。

2002年大人の喫煙率

男性 女性
フランス 40 30
イギリス 29 25
イタリア 32 18
アメリカ 25 21
中国 67 4
日本 43 10

Sources: Mackay, Judith / Eriksen, Michael (2002) The Tobacco Atlas. Gneva, The world Health Organization.

上のチャートは、全人口に対してのパーセンテージで表してあります。中国の例も驚きですが、ここで注目したいのはフランス人の喫煙率です。ドイツと並んで先進国では最高クラス。フランス人女性はイギリスやアメ リカの男性よりもよくタバコを吸っていることになりますね。日本人男性も吸いすぎに気をつけてください。

タバコの価格

prices
タバコの値段も禁煙に踏み切る要因の一つになりそうですね。(読売新聞 2006年)

『フランスで喫煙規制開始』

少しフランス人女性のテーマからは離れますが、フランスでの喫煙規制について少し。

フランス国内をのぞくと、フランスでは、12歳以上の3人に1人、20~25歳では2人に1人が喫煙者とされています。毎年 70,000人がタバコが原因と見られる病気や間接喫煙などで死亡しています。しかし、このような状況においても、多くの学生、政治家からの反対で禁煙制 度が思うように進みませんでした。ある政治家は「フランス人はすべてのことを禁止されるのにうんざりしている」と。

そしてそんな中、2007年2月、フランスでもようやく公共の場での喫煙が原則禁止になりました。駅、空港、職場、学校、映画館、病院 などでの喫煙が禁止になった他、喫煙客の多いレストランやカフェでは年末までの猶予期間が与えられています。また刑務所では、独房では喫煙可能だが、共同 作業所や休憩所では禁煙だそうです。

違反者には68ユーロ、日本円で現在1万600円の罰金が課され、また取締りの権限が、警察の他、交通機関職員、医療関係者、公務員にも与えれています。またこれを機に、政府はタバコ代替物の購入費など1人年間50ユーロ(約7800円)までの補助を行うことを明らかにしました。

現在においては、フランス人の態度も変化し、フランス人の大多数がこの規制に賛成。30パーセントの男性、23パーセントの女性がいまだ毎日喫煙している(その半分が一日に10本以上の喫煙)が、毎年600,000人が禁煙しようとしている。政府は広告や100万ユーロの予算を使ってこ の数値を二倍にすることを願っている。(以上参考:産経新聞、The Paris Times)

フランス語vs英語

フランスでは、全て政府で取り扱われる書類などはもちろんのこと、ビジネス文書、レストランメニュー、広告などにおいてフランス語を使用するとい う法律が決められている。しかしながら最近になってこういったフランス語擁護者たちは英語の強力な脅威に立ち向かわなければならなくなってきた。

フランス国内において英語教育をフランスの学校で義務づけるようにしようという提案が持ち上がったのだが、これに対して反対の声が予想通り炸裂した。それどころかフランス語支持者達はフランス語をEUの公式な言語に採用するよう声名を出したり、シラク現大統領でさえこれに加担している。 Nothing would be worse for humanity than to move toward a situation where we speak only one language.つまり、「人道にとって一言語しか話さないような状況に近づいていくということは何よりもあってはならないことである」と彼は言っている。みんな英語以外に他の言語も使おうと。これは、70年間のフランス植民地の結果現在もなお約100万人もの人がフランス語を話すヴェトナム訪問の際に発した言葉です。フランス人はいったい文化の多様性を保護しようとしているのか、それとも自分達の影響力あるいは支配力を誇示しようとしているのだろうか。言葉と行動に矛盾が多い。

第一言語として約3億8千万の人々が英語を使用し、第二言語としては2億5千万人を超える。一方フランス語はというと、それぞれ1億人と6千万人程度である。毎年フランスはフランス語を国際的に促進するため10億ドルの予算を費やしているにもかかわらず、その話者の数から見ると世界で11番目のランクにしかならない。

ユネスコ、インターポール、欧州裁判所など国際的機関においては公式言語としていまだフランス語の力は存続しているが、他の分野、例え ば、国際外交、ビジネスなどでは英語が圧倒的に支配してしまっている。特にコンピューターウェッブサイトの52%がほぼ英語使用なのに対し、フランス語はたったの4.4%。さらに欧州全体(英国をのぞいて)でも、92%の学生達は外国語として英語を学ぶことを選ぶ。ちなみにフランス語をとる学生は33%、 ドイツ語が13%。さらにフランスの多国籍企業などでも職場で使用する言語として英語を採用している所もある。

長い間フランスでは自国の言語、文化を世界に広めることがこの国の政策の重要な部分であったのに、グローバル化によってその影響力が弱 められてしまった。多くのアメリカの映画や音楽が国内に浸透し若者の心をひきつけ、フランスを越えて活躍しようと望むものにとっては必要不可欠の言語であるという位置づけがなされている。そんな中フランス指導者達は英語を採用するよりむしろ現実を否定して公然と非難を繰り返す。そのため、8歳以上子ども達 に対して英語を必須にしようという政府の提案にしても教育機関や教師達が耳を傾けないのである。

そんな報告があった後日、3人のフランス人の役人がブリュッセルでフランス語をEUの公式言語にしてくれとバトルを始めた。フランス語は他の言語と違って、意訳の違いの危険性が少ないからだと言う。

以上TIME誌より参考

英語にもフランス語にも関係のない私から見ると、ヨーロッパでライバルの英語が拡大していくのを見るのはフランス人にとって耐えられな いことなのでしょう。でも今のビジネスコンピューターの時代にフランス語の影響力はとても英語に勝てるものではないと。フランスにいても使っている電化製 品はほとんど外国製(その点日本語が共通語になってもいいくらいなのに…)。文化社会「フランスの税金」でも述べたように、この国でビジネスで成功するということはまず難しい。みんな能力のある人は海外へ出て行ってしまう。まず言語や文化を無理に提供するより、もっと外に影響力を持 てる中身を作らないといけないと思う。魅力のあるものになれば自然とその言葉も必要とされてくるのでは。

poster
フランス人も英会話に通います。97%の人が結果を出せるんだそうです!