Category Archives: フランス語レッスン

ビニール

ある日、電車に乗っていたときのこと。目の前にある広告をボ-ッと眺めていたらふと「どういう意味?」と思ったことがありました。

それは、中古品を扱うお店の広告。何でも買い取りますよというような内容。

Tous vos livres

BD, DVD, CD, Video, Vinyle ….

最初の「どんな本でも」まで読んで、次のBDは??? で、DVD、CD、Video、次のVinyle「ビニール」って?

BD=Bande dessinee (バンドゥ デッシネ)は漫画のことでした。バンドというと「テープ/帯/包帯」といった意味を持っており、こま割りになっている漫画のことを言っているみたいですね。

そして

Vinyle(ビニール)がどうしても想像つかない。そこで主人に聞いてみました。するとそれは「レコード」のことでした。確かにビニール。レコードをビニールと見る考え方が少し新鮮に感じてしまいました。

日本人はスーパーでもらえる袋を「ビニール袋」と言ますが、英語では plastic bag (プラスチックバッグ)と言います。よく直訳してしまってvinyl bag (ヴィニル バッグ)と言ってしまうと おかしくなってしまいます。フランス語も同様 sac en plastique (サッカン プラスティック)と呼び、やはりプラスチック。たぶん日本語でプラスチックと言うと硬いものを想像してしまうんですよね。

一人三役

外国語の単語を覚えるのは本当に発見や驚きがあって楽しいものです。気づくと一日中辞書を読んでいたりと…(覚えているかどうかは別ですが)。

そしてある日、フランス語を勉強中にこんな文章を発見。警察とマダムのやり取りです。マダムの旦那が泥棒に襲われ、警察に説明しています。

Le policier: On ne lui a rien vole? 「何か盗まれたものは?」
Mdame L: Si, sa serviette. 「はい、彼のセルヴィエットゥで す。」
Le policier: Et, que contenait cette serviette?  「そのセルヴィエットゥの中には何が入っていましたか?」

servietteは、普段の生活でよく使う単語で、「ナプキン」 という意味があります。レストランやカフェなどで “Serviette, s’il vous plait”. とよく耳にしますね。

あるいはまた、「タオル」 という意味も持ち、バスタオルはserviette de bain (セルヴィエットゥ ドゥ バン)と言います。

なんとなく2つの共通点として薄い布で何かをふき取るようなものというイメージがあります。初めて知った時は、この2つを同じ単語でま とめてしまうのには抵抗がありましたが。

さて、本文に戻ってこのマダムの言う旦那のセルヴィエットゥって???

意味を見ると、そこには「書類かばん」とありました。文章から多分そんなものではないかと予測はつ いていましたが、この意外な意味にちょっとビックリ。どうやってイメージをつなげようか。

briefcase

そこでservietteという単語の原点に戻ってみることに。この単語はservir「~ に食事を出す」「(客)に対応する」「~に仕える」あるいは「~に役に立つ」から来ています。日本語でもサービスということばを使いますよね。そう、もともとは「何かに仕えたり役立ったりする」という意味なのです。

servietteは食事時や手を洗った際に役立ち、また書類などを整理して持ち運ぶという際にも役立っているのでしょう。

一人三役の単語は本当に役に立つ単語でした。

*アクサンは省略してあります。

短時間

「ちょっと待って」と日本語でいう「ちょっと」は,

英語では Just a moment.  / Just a second.

フランス語では Une seconde.  / Une minute.  / Cinq minutes.  / Quelques minutes.

Cinq minutes(5分)までかかったら「ちょっと」じゃないんじゃないかと思うのですが、フランス語ではこう表現するそうです。そしてこのフランス語の minute(時間単位の分)という単語の使い方がとてもおもしろい。

clock

このminute自体で「短時間」というニュアンスを持っており、

例えば
entrecote minute アントゥルコットゥ ミニュットゥ = ミニッツステーキ
cocotte minute ココットゥ ミニュットゥ = 圧力鍋

≪Cle-minute≫ クレ ミニュットゥ というサインは ≪合鍵すぐ作ります≫
≪Talon-minute≫ タロン ミニュットゥ ≪靴すぐに修理します≫
*cle 鍵、 talon 靴のかかと部分/ヒール

Je pars a la minute. 「私はすぐ出発す る」
Je suis a la minute.  「私は急いでいる」

そして、よくアパートや建物の中にある自動消灯スイッチ。人が通ったあと数分後に自動的に消えるあの電気。あれをフランス語で minuterie(ミニュトゥリ)とい言います。

*アクサン記号は省略してあります。

ドアが開かない

フランスではよく古い建物などでドアが開きにくかったり、ドアコードが定期的に変わるので、それを知らずに中に入れなかったり、いろんな問題が起こります。そんな時に「ドアが開かなかったんです」とフランス語で説明するのに、

ドアが開かなかった(日)=The door didn’t open.(英)=La porte n’a pas ouvert. (仏)と頭の中でひらめくのですが、それが間違っていたことを主人に指摘されました。 *la porte=ドア、ouvrir =開く

ouvrirは「開く」という意味ですが、「ドアが開く」という出来事を表すのではなく、「このド アは開きにくい」というようにその性質を表す際に使われます。

Cette porte ouvre mal. 「このドアは開きにくい」

door  dog

では、「ドアが開く」とか「ドアが開いた」といった出来事を説明するにはどうするかというと s’ouvrir を使います。

La porte s’ouvre. 「ドアが開く」
La porte ne s’ouvre pas. 「ドアが開かない」

La porte s’est ouverte. 「ドアが開いた」
La porte ne s’est pas ouverte. 「ドアが開かなかった」

ちょっと私には厄介な単語です。

英語だったら
The door doesn’t open.
The door doesn’t open easily.
両方使えるのに…

こういった微妙なルールの違いが難しいんですよね。

サッカーの試合

マルセイユでサッカーの試合を見に行った時のこと。

マルセイユと言えばL’Olympique de Marseille、L’OM(ロエム)というチームが活躍しています。熱狂的サポーターと知られるマルセイユの人々。初めて見る試合に興奮していまし た。

しかし残念ながら、この日の試合は全くゴールが決まらず、違った意味で応援というか罵声というかものすごい雰囲気でした。

フォワードの選手が何回もゴール近くまで進むんですが、あと少しの所でこけたり、シュートが弱かったり、そんな気の抜けたプレーが続くにつれて、ファンの怒りもエスカレートしていきました。

例えば、

普段の応援の声は
Allez L’OM, allez L’OM, nous allons gagner! ア レ ロエム アレ ロエム ヌザロン ガニェ
(それ行けL’OM、それ行けL’OM、勝つぞ!)といった感じなのですが、

この日はスタジアム全体が
Allez chevres, allez chevres, nous allons gagner! ア レ シェヴル アレ シェヴル ヌザロン ガニェ
(それ行けヤギ、それ行けヤギ、俺達は勝つんだ!)と…皮肉っていました。
*chevre(ヤギ)、gagner(勝つ)

想像してください、ヤギを。なかなか前に進まない。

そして目の前に座っていた男性の飛ばす声に主人が大笑い。

シュートの決まらない選手をイメージして下さい。

jambe de guimauve !  (ジャンブ ドゥ ギモウヴ)  マシュマロの足!


これがguimauve(ギモウヴ )

guignol ! (ギニョル) 意味は「指人形芝居」「滑稽な人」 そこから 役に立たないヤツ!

danseuse ! (ダンスゥズ) 意味は「踊り子」 フィールドに立 つ選手が踊り子だと想像してみて下さい。笑ってしまいます。

tir de rouge-gorge !  (ティル ドゥ ルジュ ゴ ルジュ) tirは「シュート」、rouge-gorgeはルジュゴルジュ(赤い首)という名前の小鳥。つまり、小鳥のシュートです。


この小鳥がシュートするのを想像してみてください。

写真は仏ウィキぺディアより

サッカーの試合中に、選手よりも前に座っている男性に気が取られてしまうなんて…。でも一つ一つの表現がツボにはまってしまい、周 りの人たちは大笑いでした。なんという想像力なんだろうと。

サッカーを見に行く時には、周りに耳を傾けてみましょう。