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近道

世の中で一番おもしろい本は辞書である。高校のときからいまだ同じ英語の辞書を使っているのですが、それでも次から次と知らない単語が出てくる。 ぺージは黒く汚れていくけれど、内容はいつも新しい。英語はこんなに好きなんだけどなあ。

フランス語はなかなかついてこない。そして、ここで踏ん張らなければと、フランス語を覚えるのに頭を働かせる今日この頃です。

そんな中、「あ、そっかあ」と発見のあった単語が、ここのタイトルにしたraccourci(ラク ルシ)「近道」という単語。このraccourciは以前からなかなか覚えられずにいて、「ラクルスだっけ、どっちだっけ」といつも口から出てきませんでした。ところが、自分の作っているフランス語の単語帳を見直していたら、raccourcir(ラ クルシール)「短くする、縮める」という単語が。こんな単語いつ書いたんだろうと思いながら、頭の中で「あ、これは」とひらめきが。

「あ、そっかあ。raccourciってこのraccourcirから来ているのかあ。距離が短くなって近道ね。」 ものすごい感動が私の中で。そしてこの感動がいつも言語を学ぶことから私をはなさないのです。

例文
raccourci(ラクルシ)「近道」「省略」

Je prends un raccourci. (ジュ プラン アン ラクルシ) 「私は近道をする」
Le roman est la vie en raccourci. (ル ロマン エ ラ ヴィ アン ラクルシ)「小説は人生の縮図である」

raccourcir(ラクルシール)「短くする、縮める」

Il va raccourcir ses vacances d’une semaine.
(イル ヴァ ラクルシ セ ヴァカンス デュンヌ スメーヌ)「彼は一週間休暇を短縮する」

Elle veut raccourcir sa jupe de trois centimetres.
(エル ヴ ラクスシ サ ジュップ ドゥ トロワ サンチメトゥル)「彼女はスカートを3センチ短くしたい」

Ca raccourcit de passer par la.  (サ ラクルシ ドゥ パッセ パール ラ) 「そこを通っていけば、近道になりますよ」

Ce chandail a racourci au lavage. (ス シャンダイュ ア ラクルシ オゥ ラヴァジュ)「このセーターは、洗濯で縮んでしまった」

En automme, les jours raccourcissent.  (アン オートム レ ジュール らクルシース)「秋には日が短くなる」

(アクサン省略)

こんな小さな発見。言語を学ぶのに近道はありませんね。コツコツと。

フランスの色

フランスと聞いて何色を思い浮かべますか。日本が日の丸のように、フランスもトリコロールの国旗をイメージしますよね。トリコロールとは3つの色という意味で、青・白・赤を指します。

french flag国旗
赤と青はフランス革命軍が、帽子に付けた帽章の色に由来し、それぞれ、青が自由、赤が博愛を示しています。白はブルボン朝の象徴、白ゆりに由来し平等を。 おもしろいのは、この国旗の色の比率。昔は青30:白33:赤37だったそうです。これは、白という色が人間の目には明るく映り大きく見えるということを 考えてのことだったそうです。現在では海軍を除き、3色とも同じ幅に定められています。

フランスの国旗は、また、革命運動の象徴でもあり、のちにルーマニア、チャド、イタリア、メキシコなどが革命後そのデザインを継承していきます。
ポスト
ポストは日本では赤、そしてここフランスは黄色。アメリカでは青でした。

japanese mailbox french mailbox american mailbox
左より、日本、フランス、アメリカのポストです。

信号
上の写真を見て信号を思い出しました。日本人は「赤・黄・青」と言いますよね。でもフランスでは「緑・オレンジ・赤」。確かに緑と言われれば緑のような、 でもオレンジは…。

まず、最初の信号機を設置した国はイギリス。この信号機の色は国際的に決められています。そう、ウィーンにある「国際照明委員会」によって正式に決められている信号の色は「赤・黄・」。

英語のウィキペディアの説明を見てみると、信号機のa red light(赤信号)はその色合いにオレンジが、そして a green light(緑信号)には青が色盲者のために加えられていると。 そしてa yellow light(黄色)はan amber light(琥珀色)と呼ばれることもあると。

うちの主人(フランス人)も、黄信号のことをorangeオレンジかambre琥珀色と確か言っていました。

traffic light

また、なぜ赤は「止まれ」なのかというと、西洋では赤という色は悪魔の色で、「戦火」「災害」「懲罰」を象徴しており、黄色は「注意が ある」という象徴で使われています。黄色は明るい色で、視認性が優れているとされ一番注意を引く色としてみなされています。そして緑(青)は「平和」「希 望」という意味から使われたんだそうです。

では、どうして日本で緑が青になったかというと、古代日本には色彩を表す固有の語を持たず、赤・黒・白・青の四つ、明暗濃淡で考えていたからです。赤は明るい色、そして青は淡い色調を意味し、また日本人は緑を青の一部と考えていたようです。日本に信号が設置された当初は確かに日本人も 「緑信号」としていたものが、当時の新聞で「青は進め」と発表されてしまってから、「青信号」と言うのが一般的になったそうです。

この色に関する考え方は私たちの文化をよく表しています。例えば日本を代表する単色文化では、人々 は同じ発想を持ち、同じ行動をし、表現が概念的で、一つの言葉の中にさまざまな意味を含むようになります。また、言語の単数、複数表現がとても曖昧。それ に対し、複色文化では、多様な発想、行動、「これが私のカラーよ」と、個人主義的。表現は断定的で、YES NOをはっきり言う。言語では複数単数を明確にする。

日本の「青」でもう一つ。「まだまだ青いな」と言って、「幼い、若い、あるいは未熟」であることを表現しますよね。フランス語では、緑 はvert(べール)。人に使うと、特に老人などが「若々しい」とか「元気な」と言う意味になります。「未熟」という意味ではTu as un blanc-bec(白いくちばし)。また英語でも、緑を使って、He is green in experience.「(経験など)が浅い」 とか「世間知らず」という意味になります。

太陽と月
こちらは以前日記でも紹介しました。フランス人と日本人の次の会話を読んでみて下さい。

フランス人:「えっ、月って黄色? 白じゃないの?」

日本人:「えー、月は黄色だよ。」

フランス人:「黄色いのは太陽の方だよ。」

日本人:「えー、太陽は赤だよ。」「太陽の絵は何色で塗るの?」

フランス人:「黄色かオレンジ。」

日本人:「えー、赤だよ。」

太陽の色と言えばやはり、アメリカにいる時に、子ども達が黄色で塗っていました。確かに現実の太陽って赤くはない。どちらかといえば黄色とかオレンジ。ではどうして日本人は赤なんでしょう。多分、火=赤という概念がインプットされているのでしょう。黄色オ レンジも赤の一部。

でも月は、黄色? 月は太陽の光が反射して黄色に見えてるだけで、実際の月の色は肌のような褐色なんだ そうです。確かに宇宙の映像とかに出てくる月って黄色ではありませんよね。白っぽく見えたりします。黄色い方がなんとなくきれいな感じもしますが、西洋人は現実的です。

moon

ちなみに月といえば、日本ではうさぎがもちつき。

東洋では月は陰の象徴で、女性と関連すると考えられていました。故に月経と呼ばれたり、竹取物語ではかぐや姫が月へと帰っていきました。

一方、西洋では、太陽と並んで神秘的な意味を思っています。月が人間を狂わせるという考えがあり、英語 のlunaticとは「気が狂っている」という意味を表します。また狼男は満月に変身したり、魔女は黒ミサを開くという伝えもあります。また、西洋では、 月の模様をカニの姿にとらえます。ちなみに英語のcancerはかに座で、病気の癌もcancer。がん細胞がちょうどカニの甲羅のように見えることから 来ているんだそうです。(ちょっとカニつながりで。余談でした。)

肌の色
色鉛筆のセットの中にあった日本人のいう「肌色」というのは、日本人の肌の色。世界にはいろんな民族が暮らし、肌の色も千差万別。日本にいる時と同じ感覚 でその言葉を使ったとしたら、差別だと言われてしまうかもしれません。

うちの主人に、「自分の肌の色は何色って説明するの?」と質問したところ、「ピンクが一般的。現実的にはべージュと言うかも。」と。アメリカにいる時も、子供たちは塗り絵で「ピーチカラー」と言っていたと思います。日本で顔の絵をピンクに塗ると違和感がありますが、英語にはin the pink of healthといって、とても健康的だということを表現したり、フランス語にもavoir la pecheで「元気いっぱい」 という意味が存在します(直訳すると桃を持っているという意味です)。そういえば西洋人って、白人というよりピンクっぽいのかも。

参考:Wikipedia

オーデコロン

オーデコロン、それは長い間、私の頭の中では一つの固まった単語だと思っていました。

ところがある日、主人が髭剃りの後につけるクリームがなくなったと言うので、「次オーデコロンとか買ってみたら。」と何気に知ってる単語で答えてみたところ、「オードゥコローニュ?よくそんな単語知ってるね。僕には高級すぎるよ。」と。

そう、オーデコロンはフランス語でEau de Cologne(オードゥコローニュ)と言うのです。

*eau(オー)=「水」という意味のほかに「化粧水」「薬用水」という意味があり、そしてコロン はフランス語のCologne(コローニュ)の略。コローニュとは、ローマにより植民市として建設されたドイツはライ ン川中流に位置する古市ケルンのフランス語読みです。ちなみにケルンとはラテン語の「植民市」という語源を持っています。

オーデコロンとは、すなわち、「ケルンの水」ということになりますね。

【オーデコロンの歴史】

さてこのオーデコロンの起源とはどういうものであったかというと、それは1700年代にまでさかのぼっていきます。1709年ドイツの ケルンでJohann Maira Farina ヨハン・マリア・ファリナによって世界最初に製造販売されました。

johann maria farina

Johann Maira Farina 1685-1766

ヨハン・マリア・ファリナはもともとイタリア出身の香水職人で、ある時、彼は「雨上がりの後のイタリアの泉の香りを持つ香水が作りた い。」と言ってケルンの地で創作に取り掛かります。当初のオーデコロンは香水としてのみ使われ、フランスのナポレオンはとくにこのファリナのオーデコロン の虜であったそうです。(現在はというと、万能香水とも呼ばれ、床まき、お絞り用、頭髪用などさまざまな形で利用されています。)

ファリナの製造法は1709年以来ずっとケルンで受け継がれてきており、されにそれは今まで明かされたことがないという。彼の Obenmarspfortenにあるお店は1709年にオープンし、今日、世界最古のフレグランス(香水)会社として存在しています。

farina's writing

一方、他のコロンは、名前だけ共通しているだけで、全く異なる匂いがします。コロン4711はこの地にちなんで付けられた名前ですが、 ファリナオーデコロンの100年も後の1804年に作られました。

1806年にはまた、Jean Marie Joseph Farina ジャン・マリ・ジョセフ・ファリナ、ヨハン・マリア・ファリナのgrandgrandnephew(なんて訳したらいいんでしょうか、曾曾孫ではなく曾曾甥)がパリに香水業をオープンさせましたが、それがRoger & Galletに発展し、コロンとオリジナルのファリナオーデコロンを区別するEau de Cologne extra vielleという権利を獲得します。そしてオーデコロン、あるいは単にコロンは現在統合して一般的な言葉になってしまっていますが、皮肉にも、コロンから来たオリジナルの方のオーデコロンはオーデコロンではなくなり、Eau de toiletteオードゥトワレとして認知されるようになってしまいました。なぜかというとオリジナルのオーデコロンは5%以上の香料が含まれており、現在でいうオーデトワレに属すことになるからです。ややこしいですね。

オー・デ・トワレ:濃度5-10%、アルコール80%、蒸留水14-15%、持続時間およそ3-4時間
オー・デ・コロン:濃度2-5%、アルコール90%以上、蒸留水5%-10%、持続時間およそ1-2時間

以上参考:wikipedia

板チョコみたいな

小さい頃から、スポーツは得意な方で、体を鍛えるのが好きなのですが、なかなか毎日続けられるスポーツというのが見つかりません。そこで毎日、腹筋 腕立てをしようと頑張っているうちに、腹筋は100回位はできるようになりました(それに比べ腕立ては10回が限界なのですが)。

sit_ups

そんなことを主人のお母さんと話していたら、”une tablette de chocolat!” (ユヌ タブレトゥ ドゥ )と。「板チョコ?」って腹筋とどういう関係があるんだ…?。そうすると、「それはおなかが筋肉で板チョコのように割れているという意味よ。」と。なるほどうまいことを言うなあと感心する私。板チョコにはほど遠いおなかですが頑張ります。

このtabletteというのは、他にも「(本箱などの)棚板」や「(薬の)錠剤」という意味も 持っています。

信号無視

信号無視は当たり前の国、それがフランス。小さな子からおじいちゃんおばあちゃんまで、「みんなじゃなくても渡るのは怖くない」、そんな風潮のある社会。教会の前でシスターまでもが信号無視です。お坊さんは信号ちゃんと守るのかなあ…なんて。

日本語ではその漢字の通り、信号無視は、「信号を無視する」と表現しています。でもフランス語はちょっとおもしろい。

まず信号はfeu(フゥ)といい、もともとは「火」を表す単語です。例えば、
Il n’y a pas de fumee san feu.(イル ニ パ ドゥ フュメ サン フゥ)は 「火のないところに煙は立たぬ」ということわざ。

un feu vert (アン フゥ ヴェール) = 青信号
un feu orange (アン フゥ オランジュ) = 黄信号
un feu rouge (アン フゥ ルージュ) = 赤信号

traffic light

で、信号無視とは

bruler le feu(ブリュレ ル フゥ)と言って、つまり「火を焦がしてしまう」と言う 表現になるんです。フランスは焦がしちゃう人がたくさんいるということですねえ。brulerは日本人もよく知ってい るクリームブリュレのブリュレ。クリームが焦がしてあるんですよね。

他にもこんなおもしろい表現が、

donner le feu vert a ~ (ドネ ル フゥ ヴェール ア~) : ~に ゴーサインを出す。青信号を与えるということですね。
Il ne fait pas long fue. (イル ヌ フェ ロン フゥ) : 長くもつ火が作れない、つまり「彼は長続きしない」ということ。

fire
*フランス語のアクサン記号は省略してあります。