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脱帽です

最近読んだ本に忘れかけられている日本語として、「シャッポを脱ぐ」という表現が記してありました。その意味として、シャッポとは外来語で”ぼう し”という意味。ただ単に帽子を脱いで挨拶するだけでなく、ごめんなさいと謝る時もあれば、降参しましたとお辞儀する場合もあるとありました。

シャッポとは他のヨ-ロッパ言語にも存在するのかもしれませんが、フランス語でも、chapeauシャポーと言います。そしてこんな表現も。
Chapeau!! 脱帽だ! すごい!
Je tiens mon chapeau a Anne. アンに脱帽する。 (ジュ ティアン  モン シャポー ア アン)
シャッポが忘れけられている日本語なんて…それが日本語として使われていたなんて…

hat

ちなみにドイツ語・オランダ語からきた表現も書いてあったので、ドイツ語の少し分かるうちの主人で試してみました。
ドイツ語を含んだ表現: トテシャン

I : We have an expression “TOTESHAN” in Japan.  TOTE means “very” in English, and SHAN comes from German. Can you recognize the word?  「 トテ」とは日本語の「とても」 「シャン」はドイツ語から来てるんだけどわかる?

My husband : ” Beautiful !” So it means “very beutiful !!” 「美しい」 つまり「とても美しい」

そうトテシャンとは「とても美しい」とか「とても美人」という意味で使われていたそうです。私の読んだ本には「バックシャン」というのが現役で使われると書いてありましたが聞いたことありますか。バックシャンとは後姿だけ見ていると美しいという意味だそうです。前に回ってみて、だまされた気分になって口にする言葉。なんて失礼な…。

さらにおもしろい表現がオランダ語を含んだもの: 半ドン

I : How about DONTAKU? Another similar Japanese expression, HANDON, contains a Japanese word HAN that means half, and a Dutch part DON. DON comes from DONTAKU?  じゃあドイツ語のドンタクは?半ドンの半は半分の意味で、ドンがオランダ語から来てるんだけど。そのドンはドンタクが由来らしいんだけど?

My husband : That means Sunday! or could be a holiday.  それは「日曜日」もしくは「休日」かな。

つまり半ドンとは、半分休日の土曜日を指した言葉だったらしい。そういえば小学校の時は土曜日もお昼まで昔はあったなあ…。それが いつの間にか消えてしまって…この言葉も使われなくなったのかなあ。「博多どんたく」のドンタク、これも「博多の休日」ということになります。ドイツ 語オランダ語を知っていたうちの主人もそうだけれど、そんな外国語をを知っていた昔の日本人にも脱帽です。

bunny in a  hat

取らぬタヌキ

まだ何事も始めていないのに、大きな利益が得られると計算することを「取らぬタヌキの皮算用」と日本語のことわざにはあります。

英語では、Don’t count your chickens before they are hatched.「卵 がかえらないうちにひよこを数えるな」 とあります。

じゃ、フランス語は?と、先日主人に質問。フランス語にもありました。同じような表現が。

フランス語では、Ne pas vendre la peau de l’ours avant de l’avoir tue. 「クマをまだ殺さないうちにクマの皮を売るな。」 だそうです。

同じ意味を表しているのに、その計算されるものが、日本人はタヌキの皮、アメリカ人はひよこ(ニワトリ)の数、フランス人はクマの皮な んて少しおもしろいですよね。なんとなくそこにある文化や価値観というものが伝わってきそうです。日本人は小柄だからタヌキの皮くらいで足りても、大柄な フランス人にはクマの皮が必要だったのかなあなんて。

racoon dog

ちなみに、

peau (人間の)皮膚、(動物の)皮、(果実野菜の柔らかい)皮。faire peau neuve と言うと「新しい皮膚または皮を作る」でそこから「外見や生き方を一新する」という意味が生まれます。また n’avoir que la peau sur les os と言うと文字通り「骨と皮ばかりにやせている(骨の上に皮しか持って ない)」という意味になります。
ours ウルス クマ。人付き合いの悪い人と言う意味もあるそうです。ちなみにOurson(ウルソン)というとクマのプーさん、 oursin(ウルサン)というとウニ。発音が難しい。

言葉が違っても、こういった共通することわざが存在すということは、どこの国でも、同じことを考える人がいるということです。 中身はみんな同じ人間。

スゥイートルーム

英語を教えていて気付くことは、よく間違って覚えてしまっているカタカナの言葉があるということです。その中の一つに、ホテルなどでよく耳にする、 〈スゥイートルーム〉という言葉。この〈スゥイートルーム〉のスゥイート、「甘い」という意味のsweetだと思っている人はいませんか。これはsuite(こちらもスゥイートと発音)という単語からきています。意味は「一続きの間」。フランス語でもsuite(スュイトゥ)は「続き、続編、結果、随員、そして(高級ホテル)の続きの部屋」という意味を持っています。

この単語を使って日常よく聞かれる表現で tout de suite(トゥ ドゥ スュイトゥ) があり、こちらは「すぐに」という意味があります。「今からうちにすぐ帰るね」と言う時は「a」をつけて、A tout de suite. と。うちではいつも電話で「A tout de suite. じゃあね」です。 またテレビなどでも、「次の番組はコマーシャルの後すぐ」と言う時にこのtout de suiteが使われます。

テニスと電話

全仏オ-プン(ロランギャロス)が始まり、うちでは毎日テレビに釘付け。この後はサッカーワールドカップもやって来ます。買ったばかりの新しいテレビの前で毎日エキサイトしています。

さて今日は、テニスでナダル(スペイン)とヒューイット(オーストラリア)の試合がありました。うちの主人はよく友達からヒューイット に似ていると言われ、なんとなくヒューイットをうちでは応援していました。1セット目、なかなか調子の出ないヒューイット。チャンスと思われるような場面 でなかなか決められずにいると、解説者が “un peu telephoné” (アン プー テレフォネ)と連発。なぜ、telephoné(テレフォネ)なんだろう。テニスと電話、どんな関係があるのだろうと、主人に質問したところ、”un peu telephoné”とは、「先が読みやすい、分かりやすい」という意味の口語らしく、ヒューイットのボールのコースは周りから「多分ここに落ちるだろうと思ったところにいつも落ちてしまっている」ということを表現していたそうです。なるほどーと、少し感動。

teniss

ちくしょう

フランス語でよく耳にする言葉の一つがこの”merde”「メルドゥ」。どんなときに聞くかというと、何か物を 忘れたとき、なくしたとき、失敗したとき、いやなことが起きた時。そう日本語で言う「ちくしょう」という、少し品に欠ける言葉です。話し言葉で、〔怒り、 苛立ち、憤慨〕を表し、ちぇ、くそー、ちくしょうと訳されます。さらに、どこでよく聞くかというと、メトロで電車に乗れなかった時、そして通りで犬の糞を 踏んでしまった時。パリではそこらじゅうできっとこのmerde「メルドゥ」のオンパレードでしょう。

ところが先日、主人のお父さんからのeメールに、いきなりこの merde「メルドゥ」という言葉が添えられて送られてきました。そのメールには「母の日のギフトを送ってきたけれど、母の日は再来週だぞ」というような ことが書いてあり、多分そのことについてmerde「メルドゥ」と書いたのかなあと思っていました。ところが主人にそのメッセージを見せたところ、母の日のことではなく、主人の仕事に対してだったことが判明。最近、新しいオファーがあり、3社からOKをもらい、一番条件のいい所へ転職が決まったのです。お給料も肩書きも上がって万々歳。でも、なぜmerde「メルドゥ」なの??

この単語にはもうひとつの使われ方があり、いいことがあった時や、誰かの幸運を願う時によく聞かれるのです。例えば、これからテストを 受ける友達に一言merde「メルドゥ」と。主人いわく、道で犬の糞を踏むとラッキーな事があるという迷信から、その時に発せられるmerde「メルドゥ」がラッキーな事にも使われるようになったのではと。でも、もともとはよくない意味の言葉なので使い方に注意が要りますね。