Category Archives: フランス語豆知識

テニスと電話

全仏オ-プン(ロランギャロス)が始まり、うちでは毎日テレビに釘付け。この後はサッカーワールドカップもやって来ます。買ったばかりの新しいテレビの前で毎日エキサイトしています。

さて今日は、テニスでナダル(スペイン)とヒューイット(オーストラリア)の試合がありました。うちの主人はよく友達からヒューイット に似ていると言われ、なんとなくヒューイットをうちでは応援していました。1セット目、なかなか調子の出ないヒューイット。チャンスと思われるような場面 でなかなか決められずにいると、解説者が “un peu telephoné” (アン プー テレフォネ)と連発。なぜ、telephoné(テレフォネ)なんだろう。テニスと電話、どんな関係があるのだろうと、主人に質問したところ、”un peu telephoné”とは、「先が読みやすい、分かりやすい」という意味の口語らしく、ヒューイットのボールのコースは周りから「多分ここに落ちるだろうと思ったところにいつも落ちてしまっている」ということを表現していたそうです。なるほどーと、少し感動。

teniss

ちくしょう

フランス語でよく耳にする言葉の一つがこの”merde”「メルドゥ」。どんなときに聞くかというと、何か物を 忘れたとき、なくしたとき、失敗したとき、いやなことが起きた時。そう日本語で言う「ちくしょう」という、少し品に欠ける言葉です。話し言葉で、〔怒り、 苛立ち、憤慨〕を表し、ちぇ、くそー、ちくしょうと訳されます。さらに、どこでよく聞くかというと、メトロで電車に乗れなかった時、そして通りで犬の糞を 踏んでしまった時。パリではそこらじゅうできっとこのmerde「メルドゥ」のオンパレードでしょう。

ところが先日、主人のお父さんからのeメールに、いきなりこの merde「メルドゥ」という言葉が添えられて送られてきました。そのメールには「母の日のギフトを送ってきたけれど、母の日は再来週だぞ」というような ことが書いてあり、多分そのことについてmerde「メルドゥ」と書いたのかなあと思っていました。ところが主人にそのメッセージを見せたところ、母の日のことではなく、主人の仕事に対してだったことが判明。最近、新しいオファーがあり、3社からOKをもらい、一番条件のいい所へ転職が決まったのです。お給料も肩書きも上がって万々歳。でも、なぜmerde「メルドゥ」なの??

この単語にはもうひとつの使われ方があり、いいことがあった時や、誰かの幸運を願う時によく聞かれるのです。例えば、これからテストを 受ける友達に一言merde「メルドゥ」と。主人いわく、道で犬の糞を踏むとラッキーな事があるという迷信から、その時に発せられるmerde「メルドゥ」がラッキーな事にも使われるようになったのではと。でも、もともとはよくない意味の言葉なので使い方に注意が要りますね。

歩道と車道

メトロの中でこんな詩を見つけたのでご紹介。

Un trottoir et une chausee ensemble promenaient

Mais le trottoir torp fatigue a la sortie de la cite

Laissera partir la chausee

(アクサン省略)

walking man

なるほどーと、電車の中でうなずく私。
訳すと、「歩道と車道が一緒に散歩していたのだが、歩道が町の境目でくたびれてしまったので、車道にそこからは一人でどうぞと行かせてやった。」
町の中では歩道は車道と共に敷かれているけれど、町を抜けると歩道は切れてしまいます。それをこんな風に表現しているんですね。想像力が豊か。

ちなみにtrottoir (トゥロトワール)とは歩道のこと。そしてchausee(ショ セ)とは車道のこと。パリへ来られたことのある方なら Chausee d’Antin La Fayetteというメトロの駅を利用されたことがあるかもしれませんね。そうラファイエットやプランタンなどのデパートが立っている通りの名前です。

電車の中でいつもこんな詩や広告を読みながらフランス語を勉強するのもおもしろいですよ。

ねずみの穴

フランス語で「穴」はtrou トゥル 「ねずみ」はsourisスリと言います。私が覚えるのに大変だったのは「微笑む」という意味のsourire スリールとねずみのsourisスリ。フランス語ではRの音は消えそうに聞こえるのですごく混乱する。どっちだったっけ…と。

bat

さて話は変わって、先日部屋の片づけをしていた時のこと。物を置く場所がないから、「きっとcubby hole(カビーホール)が必要だね」と英語で言ったところ、「どういう意味だ」と聞かれ、「物を置くための小さいスペース」と答えました。すると彼は  「un trou de sourisアン トゥル ドゥ スリのことだ」と。訳すと「ねずみの穴」となります。ねずみの穴は本当に小さい穴を指し、一方カビ-ホ-ルのCubbyは「小グマ」holeは同じく「穴」を表し、ねずみの穴よりは大きい本当の物置サイズを意味 します。うちにはきっと小グマサイズが必要だと思います。

ちなみに、chauve-souris ショーヴスリと言うと「はげたねずみ」でコウモリになります。なんとなくおかしい。

mice

不思議な動詞vouloir

私が数年前パリのある語学学校に通っていたときの出来事です。クラスには日本人が数名、他に韓国人、ドイツ人、スウェーデン人、 ルーマニア人、ロシア人がいたと思います。ある授業で店員とお客さんの会話のやり取りをする練習をさせられました。

そこで私のパートナーになったのはドイツ人の男性。彼が店員さんで、私がお客さんの役だったと思います。一組ずつみんなの前でロールプ レーしていくのですが、ここで苦い経験が。今思うととても悔しい経験です。

はっきりと何を言ったかは覚えていないのですが、あらすじを言うと、私が色か何かでアドバイスをお願いしたのだと思います。日本語で「~ してくれませんか」というニュアンスの質問でした。

フランス語の文法は独学で一応勉強して行ったので、私はこの場合「Voulez-vous~?」と いう表現が依頼を表すのだと知っていました。英語でいう「Will you~?」です。ですから自信を持ってこの表現を使って相手にある依頼をしたのです。多分「違うのを見せてくれませんか?」とか何か。

するとクラスのヨーロッパ人たちが爆笑したのです。「なんでVoulez-vous~をそんな状況に使うんだ。」と。

このVoulez-vouのVoulezはVouloirという単語の変化したもので、もとの意味は「欲しい」とか「~したい」という 意味なんです。当然文脈から判断して「Voulez-vous~?」というのは「あなたは~したいで すか」ともなりうるのです。

例えば、Voulez-vous me telephoner ce soir? は、訳すと「今晩私に電話してくれませんか。」と訳すのが自然であって、使い方を知らない人だと「今晩私にあなたは電話したいですか。」と読 み取ってしまうのです。そうするととてもおかしな状況が生じてくるのがわかるでしょう。

そう、その時クラスメートは、その使い方が分からず後者の意味をとったのです。私は説明しようとしたのですが、つたないフランス語 だったので笑い声の方が大きくて聞いてもらえませんでした。(日本人のクラスメートは多分何が起こっているかもわからなかったと思いますが….。)  今でも思い出すととても悔しい。間違ってないのに。皆さんも気をつけてくださいね。どうしてこんなに意味が変わるのか本当に不思議な動詞です。