Category Archives: フランス語レッスン

フランスらしいフランス語

フランス語には、とても便利な単語がたくさん存在します。日本語では複数の単語で説明するような形で表現するところを一言で済ましてしまうことができるのです。特に料理に使う単語。さすがフランスと思ってしまいます。(その反対の場合もありますが)

beurrer (ブレ) 「~にバターをぬる」
*beurre du pan パンにバターを塗る。

carameliser (カラメリゼ) 「~をカラメルにする/カラメルをかける」

poivrer (ポワヴレ) 「~にコショウを加える/<話>に辛らつさを加える」

vinaigrer (ヴィネグレ) 「~酢で味をつける」

saler (サレ) 「~に塩味をつける」
* Salez et poivrez 塩コショウする。
またもう一つ「~に(法外な値段を)吹っかける」 という意味も。
*saler la note 法外な値段をつける。 * saler le client 客からぼったくる。

pimenter (ピマンテ) 「~に唐辛子で味をつける/<話>にピリッとした味を添える、趣向を凝らす」

sucrer (スクレ) 「~に砂糖を入れる」
* sucrer son cafe コーヒーに砂糖を入れる。

graisser (グレセ) 「~に油を引く」
*graisser la poele フライパンに油をひく。

gratiner (グラティネ) 「~をグラタン状にする」

assaisonner (アゼゾネ) 「~に味をつける、調味する」
* assaisonner la viande au poivre  肉にコショウで味付けする。

そして、 私の好きな表現の一つ、

saucer (ソーセ) 「<皿>のソースをぬぐいとる」
*saucer son assiette avec du pain 皿に残ったソースをパンでぬぐう 。フランスって感じですよね。

sauce sauce sauce sauce

やっぱりフランス料理saucer したくなるほどおいしい。

*アクサンは省略してあります。

ナポレオンの惨敗

1769年、コルシカ島アジャクシオに生まれたナポレンオン・ボナパルト。フランス第一帝政の皇帝となり、「余の辞書に不可能の文字は無い」と名言を残しました。

数々の戦いに勝利し、国民の英雄となっていったナポレオンは、またクレープ占いにはまっていたそうです。フランスで2月2日はChandeleurと呼ばれ、この日クレープを焼くとき、左手にコインを握り、右手で高くクレープを放り投げうまくフライパンで受け止められれば幸運が訪れるということです。

1812 年2月2日、ナポレオンはこのクレープ占いに挑戦。しかし5枚目に失敗してしまったそうです。そしてその年、彼はロシア遠征に失敗し、退却する際「余の5 枚目のクレープだ」と呟いたそうです。

歴史の背景は次のような感じです。フランスが大陸封鎖令を出し、大陸とイギリスの貿易を断絶させようとしたのですが、当時「世界の工 場」と言われていたイギリスからの物産が受け取れなくなったことでかえって大陸の経済は困窮してしまいました。そのためロシアが封鎖令を破ってイギリスと の貿易を再開します。そこで行なわれたのがナポレオンのロシア遠征。

フランスは同盟国から60万という数の軍隊を徴兵で集めロシアに侵入していきましたが、飢えと寒さで次々と兵士が脱落。最初の案ではBerezina(ベ レジーナ)という川が、その時期凍っているはずなので、その上を渡って帰路につく予定でしたが、実際はそうはいきませんでした。

そして数十万のフランス兵士がロシアで亡くなり、無事に帰ってこられた者はたったの5千人だったそうです。

そこから生まれたフランス語が、その川の名前Berezina(ベレジーナ)。意味は「完全な失敗、惨敗」だそうです。ナポレオンが残したもう一つの遺産ですね。

C’est la berezina!
(セ ラ ベレジーナ)

あんまりいい意味じゃなけれど。

*アクサンは省略してあります。

テニスの語源

英語の辞書をパラパラッと読んでいたら(趣味なんです)、偶然テニスの語源についての箇所を見つけました。それによるとテニスというのはフランスが起源で、フランス語のtenir(トゥニール)の命令形tenez(トゥネ)から 来ているということです。

tenir(トゥニール)「つかむ、保つ」などの意味を持っ ており、また命令形tenez(トゥネ)は相手に何か物を差し出す時に「ほら、さあ、そら」といった感じで使われます。ですから、テニスというのは、サーブを打つ人が相手にtenez(トゥネ)「ほら、いくよ」と呼びかけたことから始まるんですね。

もちろんこの命令形tenez(トゥネ)は日常会話でもよく使います。
Tenez, voila votre billet. 「ほら、あなたの切符よ」とか、
何か人に物をあげる時にはtiens, tiens(ティアン、 ティアン)と、友達通しなら tiens(ティアン)を使って。

因みに、テニスは8世紀のフランスではラ・ソーユ (La Soule)と呼ばれ、それが後に貴族の遊戯となって発展し16世紀にはジュ・ド・ポーム (Jeu de paume/手を使った遊び)と呼ばれていました。

そしてもう一つおもしろい話は、テニスのポイントの数え方。高校時代私もテニスをしていましたが、その得点の数え方がおもしろいなあと 思っていました。なんで0-15-30-40なんだろうと。

昔は得点を時計を使ってあらわしていて、60分を4つに割り、15-30-45-60で1セットと数えていました。そう英語やフランス 語にはhalf/demi(1/2) やquater/quatre(1/4) という概念が存在しますよね。そしてさらに45が40に変化して現在のカウントの仕方になったそうです。

そしてカウントの「0」は、「ゼロ」とは言わず「ラヴ」と言います。これは有名な話で、ゼロ「0」というのは「卵」の形に似ているの で、フランス語の卵 l’oeuf (ルフ)と呼ぶようになったのです。中学校の英語の教科書で読んだのかなあ(記憶 があります)。そしてこれがイギリスに伝わりルフという音がラヴと聞き違えられ、そのまま広まってしまったのです。

tennis
(写真をクリックすると拡大)
ベルサイユ宮殿内にある昔のテニスコート(ジュ・ド・ポーム)
当時はまだラケットがなく手のひらでボールを打っていました。
paume=手のひら 英語で言うpalm(パーム)。

tennis
そしてその部屋の奥に飾られている絵。
「テニスコート」の誓い
世界史で勉強しましたね。
ここで行なわれたのでテニスコートだったんですね。
ちょっと感動してしまいました。

「テニスコート」の誓いとは:フランス革命勃発直前の出来事。議決 方法をめぐって紛糾した三部会に対し、第一・第二身分議員が議場を閉鎖しようとしたため、1789年6月20日、多数派の第三身分議員が中心になって、 ヴェルサイユ宮殿のテニスコートに集まり、憲法制定まで解散しないことを誓い合った。ミラボーやアベ・シェイエスが指導した。テニスコートの誓いとも呼ば れる。(ウィキペディアより)


こちら現在のテニスコート。
Stade Roland-Garros(ロランギャロス)

プチコーナーはどこ?

うちの主人のおばあちゃんは、とてもかわいらしいおばあちゃんで、いつも私のために庭のエスカルゴ退治をしてくれます。そんなおばあちゃんが、いつ もpetit coin, petit coin (プチコワン、プチコワン)と言ってどこかへ行くので、どういう意味があるんだろうとずっと思っていました。

petit (プチ)は「小さい」、coin(コワン)は「角、隅、曲がり角、コーナー、片隅」などなど。

家の中にある「プチコーナー」とは…、そう「おトイレ」でした。確かに小さな片隅にあるその部屋は「プチコワン」という響きがピッ タリでとてもかわいらしい。

toilet

他にもcoin-cuisine 「キッチンコーナー」、coin-repas「食事用コーナー」というふうに使われます。

どっちのパ

「ことば」というのはいろんな法則やルールがあり、時にそれは不規則であることがっても、やっぱりおもしろい。文字を目で見て、耳で聞き、いろんな 感覚を使って吸収することは大事なことだと思います。もちろん自分の母国語も含め、普段使っていることばを違った角度から見てみるととても興味深い発見が あります。

まず視覚と聴覚を使った「ことば」のおもしろさを少し紹介しましょう。

[同音異義語]・・・音は同じで、意味の異なる語。

例えば、日本語にはたくさんの同音異義語が存在します。「カワ」という音を聞いて何を想像するでしょうか。川?皮?革?同じ音でも、そ れぞれの漢字を目で確認すれば意味が即座に現れてきますよね。では、「オショクジケン」は、汚職事件?それともお食事券?

英語にも存在します。「ペア」と聞いて、pair(一対)? pear(梨)?pare(皮を剥く)?のどれを頭に浮かべましたか? では、「ゴリラ」は、gorilla(ゴリラ)? それともguerrilla (ゲリラ)?同じ音なんですよ。

gorilla

[同綴異音異義語]・・・綴りは同じで、音と意味が異なる語。

日本語では、「大家」という文字を目にした時、「おおや」、「たいか」、「たいけ」とも読めます。そして意味も異なりますね。
「おおや」=貸し家の持ち主。家主。
「たいか」=学問・芸術・技芸などの面で特にすぐれ、名声の高い人。巨匠。または大きな家。
「たいけ」=金持ちの家。家柄のいい家。

英語では、minuteという単語を目にした時、「ミニットゥ」(分)と「マイニュートゥ」(綿密な)という違いがあることに注目。お もしろいのはhousewifeで、これを「ハウスワイフ」と読むと(主婦)、「ハウジーフ」と読むと(針箱)となるんです。

そして本題のフランス語。最近は頑張って長めのフランス語の文章を読もうと頑張っているのですが、この同音異義語に引っかかってしまい ました。その文章とは、

≪Il s’agit d’un nouveau pas vers la reduction de la consommation d’energie.

Il s’agit de~の部分で「~することが重要だ」という意味。
la reduction de la consommation d’energieで「エネルギー消費の削減」

なんとなく言いたい事は分かったのですが、なんでここに「打消しの」pas(パ)があるのだろうと 考えてしまいました。それに前の部分に新しいという意味のnouveau、不定冠詞unもついているし。

ちなみにpas(パ)の使い方は、
Je suis fatigue. (私は疲れている)にne~pasの セットが付け加えられて、Je ne suis pas fatigue.(私は疲れていません)と否定文に変えられます。またときに、neが省略されることもあります。 C’est pas vrais.で(まさか!)

全く知らない単語なら辞書を引くのですが、pasは「打ち消し」と頭の中にインプットされていたの で、別の単語が存在するなんて考えませんでした。そこで訳せずに困っていると、主人がそれは「ステップ(step)」だよと。エー、そんな意味が…。

辞書にもありました。pas 1, pas 2と。この文章の中に使われている pas 1は「ス テップ/歩み/足音/足跡/歩幅」という意味で、上の文章は「エネルギー消費の削減に向けて新しいステップをとることが重要だ」と訳せます。関連表現にも なるほどーと思うものがたくさんありました。

steps

a pas de loup オオカミ(loup)の歩みで「忍び足で」
a pas de tortue カメ(tortue)の歩みで「ゆっくりと」
faire les cent pas 百(cent)の歩みをつくるで「行ったり来たりする/ そわそわして落ち着きがない」

そしてfaux pas(フォ パ)
fauxは「間違った、偽の」という意味があり、faux pasで「(足)のつまづき:失敗、失策」 となります。これは英語にもなっていて英語も「誤り、(エチケットに対する)失敗」という意味で使われます。あのpasっ てこのpasだったんだーと一人でちょっと感動に浸ってしまいました。前はフランス語なんて興味なかったからな あ…。

というわけで、「パ」は「パ」でも意味が違うことを学べた文章でした。まだまだ勉強が足りません。頑張ります。

*アクサンは省略してあります。