Category Archives: フランス語レッスン

ペペ・ル・ピュ

うちではカートゥーンネットワーク(cartoon netowork)というアニメ専門チャンネルで、英語/フランス語のアニメを見ています。

で、このぺージで紹介したいのはバッグス・バニー ショーに出てくるスカンクのキャラクター ペペ・ル・ ピュ(PEPE LE PEW)

体がとても臭くて、みんなに逃げられてしまう。でも、本人はなぜみんなが逃げるのか理由が分かっていない。お目当ての相手が現れると、 しつこくしつこく、どこまでも追いかけていく。自分が嫌われるなんてこれっぽっちも思っていない。そして相手を捕まえるとキス攻撃!

そう、ペペ・ル・ピュはフランスに住むスカンク。フレンチアクセントの英語で「照れてないで出てお いで」と逃げ回る雌のスカンク(本当はしっぽに白いペンキがついた猫)を追いかける。

pepe

フランス人のイメージとこのスカンクのキャラクターがなんとも言えない。うちの主人(フランス人)に、「フランス人から見て、フランス 人て、こんな感じだと思う?」と聞いたら、「ちょっと思う」と言っていました(笑)。

またこのアニメに出てくるフランス語もおもしろい。まずペペ・ル・ピュ(PEPE LE PEW)という名前。

PEPE(ぺぺ)は本来「おじいちゃん」という意味があるのですが、決してこのキャラクターはおじいちゃんではありません。 PEW(ピュ)はおそらく「臭い」という意味のpuer(ピュエ)から来ているの でしょう。「それは臭い」というとCa pue.(サ ピュ)となります。 そして、それにフランス語っぽく Le(ル)がついていいます。

アニメのストーリーの中にも、パリが出てきたりするのですが、あらゆるものにLe(ル)がついていて笑ってしまいます。

そしていつも追いかけられている雌猫のペネロッピー (PENELOPE)は、「坂」を上る時にいつも≪la pente, la pente ラパントゥ ラパントゥ≫と言って上ります。これが主人に大うけで、いつもケラケラ笑っています。なんで「坂、坂」と言って上るんだと。la pente=坂。日本語版ではどうなってるんでしょうね。やっぱり≪la pente, la pente ラパントゥ ラパントゥ≫とそのままなんでしょうか。

たまにはこんなふうにアニメで語学勉強もいいですよ。なんでもないようで結構単語が覚えられたりします。

ちなみにスカンクをフランス語で putois(ピュトワ)といいます。 puは 先と同じく「臭い」を表して、toisは「お前/きみ」のtoi(トワ)と同じ音なのでここから来ているのかな。なのでスカンクはフランス語では「臭いヤ ツ」って感じでしょうか。

*アクサンは省略してあります。

tabac タバ

La video de Sarko fait un tabac
仏大統領サルコジのビデオがタバ(たばこ?)を作った」と、こんな見出しをパリのフリーぺーパーで見か けました。きっとこれはtabac(たばこ/たばこ屋)という単語を使った何か表現なんだろうと、主人にその意味を聞 いてみました。

すると主人、「そうそう、このニュース、そのビデオ見せてあげようと思ってたんだよ。サルコジがサミットの会談で、ロシアのプーチンにお酒を勧められて、飲めないのに飲んだら、その後の記者会見でほろ酔いになっていて、そのビデオが流されてるんだよ。」と、うれしそうにそのビデオを見せ てくれました。全く乱れてはいませんが、一生懸命なのが伝わってくる記者会見の様子でした。

サルコジはジョギングしたり、このようにお酒でほろ酔いになったり、今までの大統領が使っていた堅苦しいフランス語を使うのをやめたりと、親近感のある大統領として見る人と、そうでない人も…。

で、本題のtabacですが、まず見出しの≪La video de Sarko fait un tabac≫は、やはり(たばこ/たばこ屋)という意味ではなく、faire un tabac で 「人気を得る」とか「当たる」という意味ができるそうです。ですから、正しくは「仏大統領サルコジのビデオが大当たり」 とでもなるのでしょうか。

その続きの記事を見ると、

【百万人以上のインターネット利用者がサミットでの記者会見ビデオをダウンロードした。それはベルギーで流されたニュースで、その中でプレゼンテーターがフランス大統領がお酒を飲んでいたとほのめかした。そのジャーナリストはしかるべき筋に謝罪するためにブリュッセルにあるフランス大使館に連絡を取ったと、ベルギー放送局が明かしている。】(フリーぺーパー Metro)

そう、そのちょっと酔っ払った大統領を見ようと多くの人がそのビデオにアクセスし、大当たりfaire un tabacとなったというわけです。

drinking
フランス人だからといって
みんながお酒を飲めるというわけではないんですよ。
うちの主人もアルコールは飲めません。
ちなみにコーヒーも。
うちではもっぱらお茶です。

で、なぜtabacなのか。私の疑問への追及は続きます。主人もよく分からないというので、辞書で 調べてみました。すると、なんということでしょう。そこには2種類のtabacがあったのです。

tabac(1):たばこ/たばこ屋  Je vais au tabac. 「たばこ屋へ行く」
tabac(2):<話し言葉>(無抵抗な人に対する)殴打

そしてこの(2)の意味でいくつか熟語が作られています。

coup de tabac   (激しく短い)嵐 / <話し言葉>困難、危険
passer ~ a tabac <話し言葉> ~をひどく殴る
faire un tabac   <話し言葉> 「スターや劇などが」人気を得る、当たる

またtabasser<話し言葉>「(人)を殴りつける」という動詞もありました。

うそつきは泥棒の始まり

うそつきは泥棒の始まり」、うそばかりつくと、やがていいことと悪いことの区別がつかなくなって、泥棒までするようになってしまうということ。

フランス語では、

Qui vole un oeuf vole un boeuf. (キ ヴォル アン ウフ  ヴォル アン ブフ)

と、言うそうです。直訳すると「卵を盗むものは牛をも盗む」。卵くらいならいいかと思っていると、やがて牛まで盗むようになってしまう ということです。

* voler/~を盗む oeuf/卵 boeuf/牛

chickencow

フランス語ってなんとなく語呂がいいですよね。似たようなものに、

Songes, mensonges. (ソンジュ マンソンジュ)

こちらは「夢は幻」という言い回し。 *songe/夢、夢想、空想(文語)、mensonge/うそ、虚偽、妄想、幻

ちなみに英語ではダイレクトに、

He that will lie will steal.

と言います。「うそをつくものは盗みを働く」。

魚が好き

語学を勉強していて、<これはよく知っている>とか<これは簡単>と思って意外と見逃していることが多い。英語でもフランス語でも。そしてそんな部分を発見するのがとてもおもしろい。

ある日、「私は魚が好きだ」と表現がしたかったので、J’aime les poissons.と言ったところ、こんな発見がありました。

・STEP1
aimer の動詞を使う際、その目的語にくる名詞には一般的に定冠詞(le,la,les)をつけます。ルールとしては、可 算名詞(数えられる名詞)には複数定冠詞 les非可算名詞(数えられない名詞)には単数の定冠詞 le,laが使用されます。
J’aime les chats. (私は猫が好きです)
J’aime le cafe.  (私はコーヒーが好きです)
J’aime la musique. (私は音楽が好きです)

数えられる名詞の場合、もし目の前に複数の猫がいれば J’aime les chats. ということもあります。でも次のような名詞の場合、意味に違いが出てくるので注意が必要。
・STEP2
「私は魚が好き」
と言う場合、

J’aime le poisson.
(1) poissonは非可算名詞として扱われ「食肉用の魚」ということをあらわしています。ですから、好きは好きでも「食べる」のが好きという意味になります。
(2) あるいは、目の前に一匹の魚がいて、「それをペットとして飼いたい」と思って発言されるかもしれません。

J’aime les poisson.
一方こちらは可算名詞として扱われ「ペットとして飼うのが好きだ」という意味を表しています。
fish

・STEP3
「魚」という単語
は使い方が本当に面倒くさい単語です。フランス語でも英語でも。

【フランス語の場合】
(1) 魚の群れを多数が集まったものとしてdes poisson、集合体とみて du poissonと言うことができます。
Il y a des poissons/du poisson dans ce lac. (この湖には魚がいる)
Je prend des poissons/du poisson. (魚をとる)

(2) そして上で述べたように非可算名詞として扱うと「魚肉」という意味になります。
Je mange du poisson. (魚を食べる)
Je prefere le poisson a la viande.  (肉より魚のほうが好き)

【英語の場合】
(1) 可算名詞では魚が一匹でも複数でもfish はfish。形が変わりません。
I have a fish. (魚を一匹飼っている)
I have many fish. (魚をたくさん飼っている)

しかし、種類がはっきりしているような場合はfishesを使います。
I caught three small fish(es). (3匹の小さな魚を捕まえた)
I saw such fishes as cod, mackerel, and blue fish. (タラ、サバ、アジなどの魚(類)を見ました)

(2) そしてフランス語同様「食肉」用の魚は不可算名詞です。fishは、この場合数えません。
I like fish better than meat.  (私は肉より魚のほうが好きです)

fish

・STEP4
ちなみに【種類全体を表現】する際の、英語とフランス語比較してみると、

J’aime les chats. (私は猫が好きです)を英語ではさらに3種類、
1. I like cats.  2. I like a cat. 3. I like the cat.
1.が一番一般的で、英語では可算名詞の複数形をとります。2.も一般的。3.になるとちょっと格式的になってしまいます。ちょうどフランス語の定冠詞 (le,la,les)にあたる英語のtheですね。この3.のケースは一般的に工業製品や発明品、楽器などに主に使われることが多いんです。例えば、
Who was the telephone invented by? (電話は誰によって発明されましたか?)
We play the piano. (私達はピアノを弾きます)

また数えられない名詞の場合には何もつけないのが英語でのルール。
J’aime le cafe.  (私はコーヒーが好きです) は、 I like coffee.
J’aime la musique. (私は音楽が好きです)は、 I like music.

そこにもしtheをつけてしまうと「その…」という限定がかかってしまいます。
I like the coffee that he prepared. (彼の用意してくれたそ のコーヒーが好きだ)
I like the music that they creat.  (彼らの創り出すその音楽が好きだ)

と、英語のルールはフランス語と全く異なります。こういうわけで、「私は魚が好きだ」とフランス語で言う際に、英語のルールを当てはめ て複数形で言ってしまったところ、思わぬ発見があったということです。

どれくらい好き?

フランス語で「—が好き」と表現したい場合は、aimer(エメ)という動詞を使いますね。≪Je t’aime.≫(ジュ テーム)と言うと「私はあなたを愛している」になります。では、ちょっとここで「好き」のおもしろい法則をご紹介しましょう。

例えば、「私は花が好き」と言う場合、3つの言い方があります。

1. J’aime beaucoup les fleurs. (ジェム ボーク レ フルー ル)
2. J’aime les fleurs. (ジェム レ フルール)
3. J’aime bien les fleurs. (ジェム ビアン レ フルール)

そしてこの1.2.3.の順で「好き」の程度が低くなるんです。

しかし! この「好き」の対象が人で恋愛感情を示す場合、「私はあなたが好き」となると、

1. Je t’aime. (ジュ テーム)
2. Je t’aime beaucoup. (ジュ テーム ボーク)
3. Je t’aime bien. (ジュ テーム ビアン)

1.と2.が逆転してしまうんです。 主人にその差を聞くと、文脈によってはあまり差がないときもあると言っていましたが、≪Je t’aime.≫と≪Je t’aime beaucoup.≫どっちを言われた方がうれしいかと尋ねたところ、≪Je t’aime.≫だとはっきり答えていました。やっぱり≪Je t’aime.≫の方が格上です。

ですから、恋人や夫婦間では≪Je t’aime.≫もしくは≪Je t’aime beaucoup.≫が普通。≪Je t’aime bien.≫はおかしい。逆に 友達間では≪Je t’aime beaucoup.≫か≪Je t’aime bien.≫ が使われ、≪Je t’aime.≫はおかしい。「好き」にもいろいろ階級があるんですね。お間違いなく。

love