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執事

あまり耳にすることがないのですが”執事”という役職があります。上流階級の家庭で使用人たちをまとめる役割を果たす身分ですね。

フランス語ではmajordome(マジョルドム)というのですが、これはすぐにmajor+domeだと起源がすぐに見抜けます。

major=majeur『主要な』、domeはラテン語のdomusドムスから来ており、『家』『家庭』を意味します。

古代ローマでは上流/中流階級の自由民はドムスという住宅に住み、さらに裕福なローマ人は郊外にヴィッラと呼ばれる邸宅を所有していました(wikipedia より)。

ドムスdomusとは『家庭の』『国内の』を意味する英語のdomesticの語源にもなります。また東京ドームのドーム(dome)も同じ起源です。イタリアのduomoといえば聖堂(神様の家)ですよね。

ちょっと難しいですが、ラテン語ルーツでそのままフランス語に使われているpro domoという言葉もあります。こちらは『自分の家のために』『自己のために』という意味を持ちます。

そしてmajorといえば、日本語でも”メジャー”というカタカナ英語で浸透している言葉ですが、『より大きい』『より優れた』『より重要な』という意味を持っています。こちらも元々はラテン語のmajor/maiorから来ており、mayor(メイヤー)『市長』という英語で残っています。フランス語ではmaire(メーr)です。

majordome=『家の管理を取り仕切る長』ということですね。

もう一つおまけの豆知識!

英語にもmajor-domoという単語があるのですが、一般的に『執事』にはbutlerという言葉が使われます。

こちらは古フランス語boteillier、”ワイン担当者”、からきています。つまり英語のbottle(ボトル)やフランス語のbouteille(ブーテイユ)のルーツです。ご主人様にワインを運んでくる人が執事になったということですね。

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英語それとも仏語?・・・

英語とフランス語・・・似て似つかぬこの二つの言語。時にかなり悩まされることがあります。

それは同じ形をした単語なのに意味が全く違うこと! ものすごくややこしく、使いにくい・・・。

例えば:

英語のprejudiceは『偏見

フランス語のpréjudiceは『損害/不利益

英語のdeceptionは動詞deceive『騙す』の名詞なので、『欺くこと/欺瞞

フランス語のdéceptionは動詞décevoir『落胆させる』の名詞なので、『失望/落胆

全然違うッ!

またある日、主人が犬に向かって、

A la niche,  à la niche !   ア ラ ニッシュ ア ラ ニッシュと。

niche nicheって、英語だと『適所、適所』なんだけど・・・と私。

英語のnicheはニッチと発音し意味は『適したところ/適所

フランス語のnicheニッシュは『犬小屋

そうです、主人は犬に向かってハウス、ハウスと言っていたのです。

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なんとなくは想像つくのですが。使い慣れるまでは訓練ですね。

nicheは動詞のnicher『巣を作る』からきており、名詞にnid『巣』があります。また壁に作りつけたくぼみ台のことをニッチというそうです。イメージとしてはぴったり適した場所という感じがしてきます。鳥の巣もうまい具合に適所に作ってありますよね。

vogel-0068

その鳥の名は

<<Donner des noms d’oiseau >>

鳥の名を与える・・・その意味とは、『侮辱する』

donner=与える
nom=名前
oiseau=鳥

鳥の名前が侮辱に使われるということですが、どういったものがあるのか気になったので調べてみました。

buse’ ノスリ → ばか

butor’ サンカノゴイ → がさつ者

autruche’ ダチョウ → 現実逃避者、事なかれ主義者

la vieille ‘chouette’ (年のいった)フクロウ → 気難しいばあさん

poule‘ mouillée  (濡れた) めんどり → 臆病者

voleur comme une ‘pie‘ カササギ(のような泥棒) → 盗み癖がある

vieux ‘perroquet‘ (年のいった)オウム → 同じことを何度も繰り返し言う人

espèce de’ faisan’ キジ → 悪徳商人、詐欺師

pigeons’ ハト → 騙されやすい人、いいカモ

tête de ‘linotte ‘ ムネアカヒワ(の頭) → おっちょこちょい

oie‘  ガチョウ → 間抜け

vilain ‘merle‘ (醜い)ツグミ → 嫌な奴

dinde‘ 七面鳥の雌 → うぬぼれの強い女

canard‘ boiteux (足を引きずる)カモ → 落ちこぼれ

corbeau‘ カラス → 強欲な人

イメージがつきやすいものとつきにくいものがありますね。

私のお気に入りの鳥は、

rouge-gorge’ ヨーロッパコマドリ

名前の通り、’rouge-gorge’ 赤いのどです。そしてこの鳥はがっしり筋肉がついている割に小さくて軽やかな羽ばたきをすることで知られています。

サッカーやラグビーの試合に行ったら、こんな言葉を発しているサポーターがいるかもしれませんよ。

« coup de pied de rouge-gorge !»

体格のいい選手がへぼなシュートをした時、『なんだその小鳥のシュートは』という感じでしょうか。はい、私も確かに耳にしました。おもしろかったです・・・本当にチョロチョロっとボールが転がってゴールに届かない・・・。うますぎるその表現と感心しました。

出不精

久しぶりに一日休みになると外に出ず家でゆっくりとしたい。2、3日ずっと家にいても平気なくらいだと言ったところ、主人に,

Tu es casanière. (チュ エ カザニエR)

と、言われました・・・。

おっ、なんか聞いたことない単語!と、ワクワクしながら辞書を引いてみました。すると、ありました、『出不精の人』・・・。

悪い意味なのかと聞いたところ、そうとは限らないとのこと。単純に家にいるのが好きな人という意味だそうです。

casaはラテン語で『家』を表すことばで、スペイン語やイタリア語にも見られますよね。

Quiet_house

昔アメリカで見たある映画の中で”mi casa es su casa”(ミカサスカサ)というセリフを耳にしたことがあります。英語を勉強したいと思っているのに、このセリフは英語じゃないとすごく気になった記憶があります。すぐに調べてそれはスペイン語だと分かったのですが、casaが家を表すんだと学習した瞬間でした。訳すと『私の家はあなたの家です』。つまりくつろいでくださいという意味。英語で言うとMake yourself at home. フランス語だとFaites comme chevous!

チョウチョと蛾

チョウチョと蛾は別物?

英語ではチョウチョはbutterfly、蛾はmothというので区別していますね。

さて、フランス語では?

フランス語ではチョウチョと蛾の区別がない・・・。区別するとしたら、チョウチョはpapillon de jour(昼間のチョウ)、蛾はpapillon de nuit(夜のチョウ)と言うそうです。確かに同じ仲間だけど、蛾とチョウチョでは見た目がちょっと違うのでpapillon de nuitと言われても言葉とイメージがマッチしにくいですね。

Minute, papillon!  ちょっと待って!

ひらひらと飛び回るチョウチョ、追いかけてもすぐ飛び去ってしまう。そんなイメージから来ているのでしょう。これは覚えやすい。

さてここでもう一つフランス語豆知識!

よく展示会などで設置される仮説の建物をパビリオンと言いますよね。フランス語ではpavillon(パヴィヨン)と言うのですが、この言葉はpapillon(チョチョウ)から来ているのです!

その昔、野営用にテントが使用されるようになり、その姿が野原に羽を広げてとまるチョウに似ていることからpavillon=テントとなりました。そしてそのテントという意味から発展して、現在では郊外に立つ一戸建ての家をpavillonと呼んだり、また上に書いたように展示会などのパビリオンとなりました。

どうでしょう、チョウチョがとまっているようでしょうか?