Category Archives: フランス語豆知識

食後に

かれこれ何年フランスに住んでいるのか。こんなに長く住んでいっこうにフランス語に上達が見られない・・・。難しい+英語の勉強と半分半分だから・・・と言い訳してみる。

なぜこんなことを思ったかというと、長年ずーっと気になっていたフランス語があり、その意味がやっと最近わかったのです。必ずといっていいほど聞かれるセリフ、Ca a ete? サ エテ? (アクサンは省略しています)。レストランではもちろん、 どこかに招待された時などにも絶対といっていいほど食後に聞かれます。いつも適当に答えていたのですが、やっと本当の意味が分かったしだいで・・・。えー  そんなことも知らないでこの人フランスに住んでいるのと言われてしまいそうですが・・・。

気になっていればすぐに聞けばよかったのですが、必要に迫られず、やっと先日主人に質問したところなのです。

Ca a ete? サ エテ? 英語で直訳すると It was? で It was good? It was ok? と後ろに来る部分が脱落しており、問いかけているんですね。 How was it? が英語訳でしょうか。 「お料理どうでしたか?」と日本語ではなりますね。

How was it? なら Comment etait ce? コマン エテ ス?の方が私にはしっくり来るのですが・・・。

waiter

皆さんもフランスのレストランで耳を済ませてみてください。きっとこんなセリフが聞こえてくるかもしれませんよ。

フレンチジョーク

ある日、テレビでやっていた物まねショーでのネタです。

あるクイズ番組の司会者のまねをしていたのですが、そこでのクイズに、

「次の中でギリシャにある島はどれでしょう?」

A. Myconos ミコノス

B. Menopause メノポーズ

C. Tu l’as dans l’os チュ ラ ダン ロス

そして、会場大爆笑。それぞれ韻を踏んでいてなんだか分からないけれど私もおかしくて笑ってしまいました。

当然答えはAのミコノス島なのですが、回答者は悩んで悩んで Cの Tu l’as dans l’os チュ ラ ダン ロス を選択。そしてまた爆笑。

Tu l’as dans l’os は直訳すると「骨の中にそれを持っている」となりますが、実 際の意味は「お前しくじったな」とか「お前やられたな」という感じで使われるそう です。なるほど、うまいっと言いたくなります。

ちなみに Bの Menopause メノポーズ更年期と いう意味。

さて翌日、テレビゲームでゴルフをしていた主人。ボールがホールをかすってそれた際、Tu l’as dans l’os と言ったら、「Mechant メシャン(意地悪)!でも使い方はそれであっている」と言われました。

dans_l'os

でも骨の中のそれって何なんでしょうね?気になる。悔しさとか痛みとかを指しているのでしょうか。おもしろいですね。

パリジャン形容詞

パリで配布されているフリーペーパーの一つ、Direct matin plusからの記事です。電車の中で読んでいたらおもしろかったのでフランス語レッスンと一緒にご紹介します。

まず、記事の出だしは、

Entre les provinciaux et les parisiens, c’est l’amour vache.
地方出身者とパリジャンの間の手厳しい愛情

vache(ヴァシュ)の使い方がおもしろいですね。本来は「牛」という意味なのですが、ここでは (口語)「ひどい/意地悪な」という意味で使われています。普段でも耳にする言葉で、よくLa vache!と言ってますね。「ちくしょう/ひどいッ/すごい!」といった感じでしょうか。
Elle est toujours vache avec moi. 「彼女はいつも私につらく当たる」
C’est vache, il pleut. 「ついてないや、雨だ」

そして、あるアンケートによると、地方出身者から見るパリジャンというのは地方出身者に比べて次のように思われているそうです。

plus stresse (91%)  (ストレッセ) よりストレスがたまっている
moins souriant (71%) (スリアン) あまり笑顔がない
plus snob (71%) (スノブ) よりスノッブ(上流気取り)
moins sympathique (57%) (サンパティック) あまり思いやりがない
moins drole (61%) (ドゥロール) あまりおもしろくない

地方出身者とパリジャンを比べているため、plus(プリュ)=more /moins(モワン)=lessが 形容詞の前についています。
Les parisiens sont plus stresses que les provinciaux.
Les parisiens sont moins souriants que les provinciaux.

さらに、パリジャンの欠陥はそれでは終わりません。

plus aggressif(アグレッシフ) より攻撃的
moins epanoui(エパヌイ) あまり明るくない
moins accueillant(アクエイヤン) あまり愛想がよくない
plus chauvin (ショヴァン) より排外的
plus nombriliste(ノンブリリストゥ) より自己中心的

うーん、ネガティヴボキャブラリーのオンパレード。でも勉強になる・・・。

まずepanouir(エパヌイール)とは「(花)が咲く」という動詞で、それが顔の表情「晴れ晴 れとした」と言う表現にも使われています。
Il a un visage epanoui. 「彼は晴れ晴れとした表情をしている」

accueillir(アクイール)は「~を歓迎する、出迎える」という意味。そこからaccueillant(ア クエイヤン)の意味は「人を快く迎える、もてなしの良い」となります。

chauvin(ショヴァン)はchauvinisme(ショ ヴィニズム)「愛国主義/排外主義」からきていますね。

そして最後に、私も知らなかった単語nombriliste(ノンブリリストゥ)。nombril(ノ ンブリル)といえば「へそ」、それと何か関係があるのか?辞書で調べるのにどんな意味なんだろうとワクワクしてしまいました。nombrilは 「へそ」という意味のほかに「中心」という意味も持っていました。なるほど体の中心にあるから。そこでこんな表現を発見。

se prendre pour le nombril du monde 「自分を世界の中心だととらえる」
se regarder le nombril 「自分のへそを見る」 つまり 「自分にしか興味がない」

なるほど、そこから「自己中心」という意味が来ているんですね。

そしてさらに記事は進みます。

かなり否定的な形容詞でパリジャンを形容したあとに、フォローもちゃんとしなければなりません。パリジャンのプラスイメージは次のような形容詞です。

plus travailleur(トラヴァイユー) より働き者
plus informe(アンフォルメ) より知識がある
plus chic(シック) よりシックである
plus cultive(キュルティべ) より教養がある
plus fetard(フェタール) よりお祭り好き
plus branche (ブランシェ) より流行に敏感

以上80%が回答

travailler(トラヴァイエ)は「働く/勉強する」。そこからきたtravailleur(ト ラヴァイユー)は「働き者、勤勉、勉強家」。

informer (アンフォルメ)「知らせる」。英語読みでinformation(イ ンフォーメーション)と読んだ方が意味がピンときますね。そこからinforme(アンフォルメ)は「情報に通じた/ 知識のある」という意味を持ちます。

日本語にも入ってきているcultureカルチャー(フランス語読みはキュルチュール)という単 語。「文化」という意味のほかに「教養」、さらには「耕作/栽培」「養殖」という意味も持っています。 動詞のcultiver(カ ルティヴェ)は「耕す/栽培する」「教養を身につける」。

fetardもおもしろい単語ですね。 fete(フェット) というのが「祝日/お祭り」という意味でよく知られています。英語で言うfestivalフェスティヴァル。

branche(ブランシェ)は、動詞のbrancher(ブ ランシェ)からきています。brancher(ブランシェ)はもともと「プラグを差し込む」という意味があります。そ こから「~に向ける/導く」「~の興味を引く/関心を引く」という意味が続きます。

例えば、Je branche la lampe sur la prise. 「ランプをコンセントにつなぐ」

そして、そこから、形容詞のbranche(ブランシェ)「電源が入っている」「事情に通じてい る」「今風の、流行の」という意味がでてきます。

C’est un restaurant branche ici. 「今流行のレストランです」

確かに、都会にいれば情報はたくさんあるはず。当たり前といえば当たり前かもしれませんが・・・。でもこういったプラス意見のおかげで何とかパリ ジャンもうまく乗り切っていけるのだそうな。68%のフランス人が良い意見をパリジャンに対して持っていることになるそうです。

C’est l’amour vache. 微妙な愛情ですね。

*アクサンは省略してあります。

断食を破る

確か中学校の英語のテキストだったと思いますが、英語のbreakfast(朝食)の由来は break(破る)+ fast(断食)、つまり「断食を破り最初に口にする食事が朝食」だと知りました。多分昔の人の一日というのは日が昇って暮れるまでで、夜には食事を取ら ない、つまりそれを断食と考えて夜が明けた後の最初の食事が朝食となったのでしょうか。

英語で三食をあらわすと次のようになりますね:

breakfast 朝食

lunch 昼食

dinner 夕食

そして実はもう一つ、

supper (サッパー)軽い夕食 という語が存在します。

簡単に考えると、豪華な夕飯、晩餐といえばdinnerで、それとは対照的に「軽い」夕飯がsupperだ と覚えておけばいいでしょうか。しかし辞書でさらに調べてみると、dinnerには「正餐」という意味がついてます。 「正餐」とは正式の献立による料理で、西洋料理では一日の主な食事とて意義付けられています。つまり、一日の中で一番メインの食事がdinnerで あり、それが必ずしも夕方に食べるものとは限らないということです。

すると、昼食にdinnerが来るとその夕飯はsupperも しくは文化によってはteaと呼ばれ、夕方にdinnerをとればその日の昼食はlunchと 呼ばれることになります。dinnerが昼食になったり夕食になったり、なんだかややこしいですね。でも通例はdinnerは 「夕飯」で通っていますから、あまり深く考えないように。

dinnerの派生語dine(ダイン)は「夕飯を食べる」で はなく「正餐を食べる」という意味になっています。

*ちなみに、最近よく耳にするbrunch(ブランチ)は、 breakfast(朝食)+ lunch(昼食)からなった造語ですね。

英語の説明が長くなってしまいました。ここからフランス語を見ていきましょう。フランス語で三食を表すと、

petit-dejeuner (プティ デジュネ) 朝食

dejeuner (デジュネ) 昼食

diner (ディネ) 夕食

souper (スペ) 軽い夕食

では、まずdejeunerから。この言葉は、de+jeunerから成り立っています。deは「分離・除去・否定・反対」などの意味を持つ接頭語で、jeunerはなんと「断食する」 という意味を指しています。つまり英語のbreakfast「断食を破って最初に口にする食事である」という考えと全く同じですね。では、なぜフランス語のdejeuner「断食を破って最初に口にする食事」は昼食なのでしょうか?

その答えを先日辞書を読んでいて発見しました(辞書を読むのが趣味なもので、よくマニアックと呼ばれます)。そこには、dejeunerと はやはり元来「朝食」という意味をもっていたとありました。dejeunerが朝食、dinerが 昼食(むしろ正餐と考えたほうがいいでしょう=一日で一番重い食事)、そしてsouperが夕食(soupeスープから来ている単語で、スープくらいの軽い食事)というふうに人の生活は流れていたようです。

しかし、その生活スタイルが変化し、dinerつまり正餐が昼から夕方に移ってしまいます。する と、dejeunerが昼食、dinerが夕食、souperは観劇などの後でとる夜食という意味に変わってしまい、朝食を表す語がなくなってしまいました。そこで、dejeunerpetitを 付け加えてpetit-dejeuner朝食という言葉が生み出されたということです。おもしろいですね。

ちなみにdejeunerを動詞として使うと、「昼食をとる」と「朝食をとる」という2つの意味を 抱えています。もちろんpetit-dejeunerでも「朝食をとる」という意味を持っていますが、こちらは話し言 葉となっていました。

時代によって、文化によって、生活様式が変化し、単語にも影響が見られるおもしろい例ですね。でもこのように考えると日本語が一番シン プルでいいですね。朝昼晩。時間帯を中心に考えるのが一番分かりやすい。

***アクサン記号は省略してあります***

靴下の汁

フランスといえば、通りに並んだカフェ。ここでエスプレッソを飲みながら時間をつぶす。

だいたい、こちらでは「un cafe  エン カフェ」といえば、小さなカップに入った強いコーヒー=エスプレッソが出てくるのですが、初めて頼んだときは、こんな小さいカップで飲むのー?な んだか損した気分だなあと(田舎ものの私)。そして飲んだ瞬間、その強さにビックリ。

アメリカに住んでいたときは、逆に大きなカップで出され、「え、こんなの飲みきれない」と思ったことも。さらにお代わりは自由。これが アメリカンコーヒー。

フランスのカフェ=エスプレッソに慣れてしまうと、薄いコーヒーは物足りなく感じられてしまいます。

そして、フランス人はそんな薄いコーヒーを、jus de chaussette ジュ ドゥ ショセット 靴下の汁 と呼んでいるのです。つまり、靴下を絞ってでてきた汁のようなコーヒー。想像しただけで飲む気が失せてしまいますが、それだけマズイということです。誰がこんな表現を考えたんでしょうか。。。

でも、私は夏に飲む日本のアイスコーヒーが大好きです。