Category Archives: フランス語レッスン

今何時?

以前東京で英語を教えていた時のテキストに、「今何時?」というぺージがありました。

英語では
What time is it?
What is the time?
What time do you have ?

などの表現があります。でもそこで取り上げられていたのは、もう一つの表現、

Do you have the time? (今何時?)

でした。なぜかというと、これによく似た表現が存在するからです。それは、

Do you have time? (ちょっと時間ある?)

この timeの前にtheがあるかないかだけで意味が全く異なってしまうんですね。だから、レッ スンでも「道で男性にDo you have the time? と聞かれて、時間あるかなんて誘われちゃったと喜ばないように」と教訓。

そしてフランス語にもありました。フ ランス語で「今何時?」と聞く時には、

Quelle heure est-il?  (英語だと What time is it?)
Il est quelle heure?  (英語だと It is what time? ですが、実際は存在しませんね。)
Quelle heure il est?  (英語だと What time it is? ですが、実際は存在しませんね。)
Vous avez quelle heure?  (英語だと Do you have what time? ですが、実際は存在しませんね。)

Vous avez l’heure? (こちらが英語でいう、You have the time? ですね。「今何時?」)

そして

Vous avez du temps? ( こちらが英語でいう、Do you have time? 「時間ある?」)

また答えるときには、Oui, j’ai cinq heures. / Il est cinq heures. 時計を持っていない場合には Non, je n’ai pas l’heure. と言います。

watch

フランス語の場合は、l’heure du temps で違いがあらわれていますね。ちなみに、l’heure du temps の違いとは、

heure = hour, o’clock, time  時刻、~時、(決められた)時間、(活動)時間、時代
Je viendrai vous chercher a dix heures du matin. 朝の10時にあなたを迎えにきます。
C’est l’heure de partir.        出発する時間だ。
Je suis arrive avant l’heure.    時間前に到着した。
J’ai pris l’heure avec lui.      彼と約束の時間を決めた。
Il n’a pas d’heure.          彼は時間にルーズだ。
Il fait des heures supplementaires.  彼は超過勤務をする。
Il a connu des heures difficiles.  彼にはつらい時期があった。

temps = time, chance  時、時間、(自分の自由になる)時間、(特定の)時、時期、時代、好機、季節
Le temps passe vite!        時がたつのは速い。
Vous avez tout votre temps.  時間は充分ある。
Il perd son temts.         時間を無駄にしている。
Il est arrive avant le temps.   時間前に到着した。
Les temps sont bien changes.  時代は変わった。
Les temps sont durs.        厳しい時代だ。
Il y a un temps pour tout.   何事にも時機というものがある。

英語に慣れていると、逆にフランス語の感覚を身につけることが大変なときもありますね。微妙に使い方が重複していたり、違っていたり、 そこに日本語を入れようと思うとこれまた大変。

*アクサン記号は省略してあります。

ボンボン

あるサイエンス番組で飴について触れていました。温度によって砂糖が飴状になったりキャラメル状態になったり、あるいは綿菓子状になったり。いろんな化学反応を起こすというような内容でした。そうよねえと思いながらも、その飴の作られる工程でものすごい着色料が加えられるのを見てゾーっとしてしまい ました。どう見ても自然ではないあのキャンディの色。それをうれしそうに袋に詰める子ども達。

candy

そんなことを考えながら主人に 「bonbonボンボン(仏語で「キャンディ」)、全然 bon ボン(仏語で「良い」)じゃないじゃない」と言ったところ、「でも、bonbonの由来は昔、イタ リアからフランスに飴が伝わった時にみんながbon、bon/おいしいおいしいと言ったところから来てるんだよ」と。bonbon ボンボンbonボンは本当にbonボン=良い/おいしいから 来てたんですね。

アクサン記号の謎

フランス語は、読めて話せても書けない人が多いといいますが、実にルールが細かい。その中の一つがアクサン記号。日常では英語がほとんどの私にとっ て、「フランス語を書く」という作業はいつマスターされることやら。いやマスターすることはおそらくないでしょう。難しい。

そこで先日訪れたヴォルヴィコント城で見つけた絵の説明で、古いフランス語を発見。あるアクサンのルーツが隠されていたのです。

Chasteau de la Bastille du costé de la rue…

現代フランス語にすると

Château de la Bastille du côté de la rue …

(aとo の上に山型のアクサンがついています。最後の箇所はeにアクサン・グラーヴ)

この山型アクサン記号はアクサン・スィルコンフレクスと呼ばれるもので、そこにはsが隠れているのです。古いフランス語はラテン語に近 く、いつも音のないがスペルの中に入っていたそうです。そこでそれを省略し、このアクサンが生まれたそうです。おも しろいですよね。

例えば、カタカナで日本語にも取り入れられている「フェスティバル(祝祭の意)」は英語で書くとfestival。 そのルーツをたどっていくとfesteがあり、そしてそのsが省略されフランス語のfêteが 出来上がります。

フランス人でも間違える

フランス語は文法が分かっていても発音ができなかったりと日本人には困難の多い言語です(少なくとも、私にとっては)。先日マクドナルドでエスプ レッソを頼み、お砂糖が欲しかったので sucre s’il vous plait「シュク(ル) シル ヴ プレ」と言ったところ、店員さんが「ショコラ?」と。私のシュク(ル)はシュガーのシュになっていたのです。それがショに聞こえたのかな。主人にそのことを話したら、「シュじゃなくてスュ。でもそれにしても通じなくはないはずだよ。何でショコラに聞こえるんだ?フランス語のできないフランス人も多いからね」と。

主人の話によると、フランス語のできないフランス人は特に最近になり目立ち、そのひどさがものすごいんだそうです。例えば、アクサンのつけ方を知らないので、それによってaとアクサン付きaの使い分けができなかったりする。もちろん動詞の語尾変化なども書けないことがあります。あるいはまた単語そのもの自体を知らないこともあるそう(語彙不足)。

そして先日、あるフランス人のフランス語能力のレベルにかなりショックを受けて主人が帰ってきました。職場でコンピューターを設置する ためにamenager(アメナジェ)「(部屋/家)を整備する、改修する」という単語を使っていたらしいのですが、どうしても意味が通じず、よく聞いてみるとそのフランス人はamenager(アメナジェ)をemmenager(アンメナジェ)「(新居に)入居する」と思っていたそうです。そうそのフラ ンス人はamenager(アメナジェ)という単語を知らなかったのです。これは辞書にも学習必要度の高い単語として星マークがついています。フランス人にとったらなんでもない単語なのでしょう(私はまだ勉強してませんでしたが…)。

また、職場トレーニングで来ている若者のレポートなどもチェックするそうなのですが、これがまたかなりひどいらしく主人は嘆いていまし た。ミススペルはもちろん、文章に動詞が抜けていたりと…。

フランスも今の日本と同様、一昔前までは厳しい教育を受けてきたそうですが、現在は緩みすぎて能力が低下しているそうです。フランス語 のライティングにしろ、主人の両親いわく昔はきっちり間違いなく書けるまで練習させられたものが、今ではほとんど時間をかけない。悲しいことですよね。私 もたまには日本語の本を読まなければ…。漢字を忘れてしまいます。でも今の学生さんは外科を「がいか」、意図を「いず」ですからね。頑張りましょう。

house

amenager(アメナジェ)「(部屋/家)を整備する、改修する」

amenager sa nouvelle maison 「新居を整備する」つまり家具などを取り付けること。

emmenager(アンメナジェ)「(新居に)入居する」

emmenager dans un nouvel apartement 「新しいアパートに入居する」

ちなみにdemenager(デメナジェ)は「旧宅を引き払う」 です。

つまり、demenager(デメナジェ)した後に、emmenager(アンメナジェ)して、amenager(アメナジェ)するん ですね。覚えておきましょう。

*アクサンは省略してあります。

くすぐりにやって来る

テレビで体操の世界選手権を見ていた時のことです。ある選手が競技を終えスコアが出た後に、解説者が“Il vient le chatouiller.” (イル ヴィアン ル シャトゥイエ) と言ったのです。訳すと「彼は(別の)彼をくすぐりにやって来る」です。なぜ”くすぐる”なのか、またいつもの好奇心で辞書を引いたのですが、そんな言い回しは載っていませんでした。

gymnast

そこでうちの生きたフランス語辞書に質問してみることに。するとうちの主人は、「これは口語だから、辞書には載ってないかもね。くすぐ りにやってくるとはつまり前をリードする選手に追いつきそうだということ。」

面白い表現ですよね。

chatouiller シャトゥイエ 「くすぐる」

Ca me chatouille. サ ム シャトゥイュ  「くすぐったい」
Ca chatouille la curiosite. サ シャトゥイュ ラ キュリオシテ   「好奇心をそそる」

どうでしょう、好奇心をそそられたでしょうか。いろんなことに興味を持って追求してみましょう。

*アクサンは省略してあります。