Category Archives: フランス語レッスン

信号無視

信号無視は当たり前の国、それがフランス。小さな子からおじいちゃんおばあちゃんまで、「みんなじゃなくても渡るのは怖くない」、そんな風潮のある社会。教会の前でシスターまでもが信号無視です。お坊さんは信号ちゃんと守るのかなあ…なんて。

日本語ではその漢字の通り、信号無視は、「信号を無視する」と表現しています。でもフランス語はちょっとおもしろい。

まず信号はfeu(フゥ)といい、もともとは「火」を表す単語です。例えば、
Il n’y a pas de fumee san feu.(イル ニ パ ドゥ フュメ サン フゥ)は 「火のないところに煙は立たぬ」ということわざ。

un feu vert (アン フゥ ヴェール) = 青信号
un feu orange (アン フゥ オランジュ) = 黄信号
un feu rouge (アン フゥ ルージュ) = 赤信号

traffic light

で、信号無視とは

bruler le feu(ブリュレ ル フゥ)と言って、つまり「火を焦がしてしまう」と言う 表現になるんです。フランスは焦がしちゃう人がたくさんいるということですねえ。brulerは日本人もよく知ってい るクリームブリュレのブリュレ。クリームが焦がしてあるんですよね。

他にもこんなおもしろい表現が、

donner le feu vert a ~ (ドネ ル フゥ ヴェール ア~) : ~に ゴーサインを出す。青信号を与えるということですね。
Il ne fait pas long fue. (イル ヌ フェ ロン フゥ) : 長くもつ火が作れない、つまり「彼は長続きしない」ということ。

fire
*フランス語のアクサン記号は省略してあります。

目からウロコ

「目からウロコが落ちる」ということわざ皆さんもよくご存知ですよね。「あることをきっかけに、物事の真相が急に分かるようになった」という意味で使われています。でもこの言葉どこから来たと思いますか。中国の故事とか日本の起源たと思っていませんか。私もそう思っていました。

先日辞書を使ってフランス語の勉強していた時、偶然この「目からウロコ」というフランス語表現を見つけ、「へー、フランス語でも同じ表 現をするんだ。」と思っていたら、意外な事を発見。この「目からウロコ」は実は聖書から来ているんです。ですから、私たち日本人が西洋の表現を借りている ということになりますね。

Les ecailles lui sont tombees des yeux. (レゼカーィ ユ リュイ ソン トンベ デジュ)
*ecaille= ウロコ tomber= 落ちる yeux=目

新約聖書の中に、キリスト教を迫害していたサウロが突然、天の光によって目が見えなくなってしまうという話があります。その後、キリス トの啓示を受けてやってきたキリストの弟子アナニアに出会い目が再び見えるようになるのですが、その時にサウロの目からウロコのようなものが落ちたと 記してあります。そしてサウロは改心し、パウロとしてキリスト教の重要な伝道者となり、この言葉も同時に広く伝わっていくことになります。

【こぼれ話】
パウロで「あっ」と思い出したのですが、この春に行った地中海に浮かぶ国マルタはこのパウロと深い結びつきがあります。紀元前1世紀にマルタに漂着したパウロはそこで布教活動を始めます。そしてそこでもまたある奇跡が。地中海を航海中、暴風雨に遭い、偶然マルタという島にたどり着いたパウロですが、そこで 毒蛇にかまれてしまうハプニングにみまわれます。しかし、かまれた後、何も起こらず平気でいたことから、マルタの人々は本当に神聖な人物なのだと信じキリスト教へと改心していったということです。

マルタにある聖パウロ教会に展示してあった、パウロと毒蛇の物語を伝える絵。

そしてその地下には聖パウロの洞窟が。漂着したパウロが隠れ住んでいたとされています。またこの洞窟の石壁に触れるとパワーがもらえる という言い伝えも。当時はキリスト教が迫害されていた時代でもあり、多くの信者がこういった地下に墓地や居住スぺース(カタンコンベ)を作り隠れながら生活をしていました。

右上は、キリスト教最古の絵と信じられている壁画だそうです。暗闇の中で一心にキリスト教を信じ続けたんでしょうね。地下の中は迷路の ように入り組んでいて、出口に戻れなくなりそうなくらいでした。

一つのことばにも歴史ありです。こんな事実を知ったあなたも私も「目からウロコ」ですね。

キュロット

キュロット、以前はよく聞いたこの言葉、最近はあまり聞かないですね。ズボンのように分かれているスカート。もともとこのキュロットという言葉はフ ランス語で由来がちゃんとあるんです。

フランス語ではculotte(キュロトゥ) といい、「半ズボン」という意味がまず最初に現れますが、もともとはお尻の部分を隠すものという意味で、それは話し言葉であるcul(キュ) という言葉を見るとヒントが隠されています。cul(キュ)とは、「尻、けつ」または「(瓶などの)底」という意味 を持っており、下品な言葉として使われるので気をつけてくださいね。さらに最近の傾向としては、このculotte(キュ ロトゥ)という言葉は、「半ズボン」という意味は廃れてきて、それよりも「下着のパンツ」特に女性用のショーツだとかに使われているそうです。うちの主人にも「キュロトゥ」って何と聞くと一番にパンツと言っていました。

culotte
これが私たち日本人の思うキュロット。でもフランスではこれが今は下着に。

ではキュロットの歴史について少し。

フランス革命時代(1789年~1804)、職人や労働者を示す言葉としてsans-culotte(サ ン・キュロット)が使われていました。これは「キュロットをはかない人」という意味です。sansとは「~なしで」と いう意味。当時貴族の間で流行っていたキュロット(半ズボン)でしたが、庶民のファッションではなかったため、貴族が庶民を馬鹿にしてsans-culotte「キュ ロットをはかないやつら」と呼んでいたそうです。これに対して、労働者は不公平な身分制度に反対する意味を込めて、自分たちを同じように呼んでいました。 彼らは重税に苦しんでいましたが、参政権は持っていませんでした。そういった背景もあり、フランス革命はサン・キュロットにも支持されていました。バス ティーユ牢獄を襲撃した7月14日事件など初期の革命は彼らによって主導されていました。彼らが起こした運動が議会に圧力をかけ、革命にも影響を与えまし たが、1790年代後半になると徐々に衰退し、ブルジョワにその地位を奪われてしまいます。参政権を持たなかったこと、ブルジョワ主導の国民議会によって 革命の趣向が決められていったことが、本来の民衆革命から、ブルジョワ革命へと変わり、サン・キュロットの勢力が衰退していった原因になってしまっ た。(以上Wikipediaより)

このようにに、キュロットにも歴史ありです。

さらにculotte(キュロトゥ)を使ったおもしろい表現をひとつ。

Elle porte la culotte. (エル ポルトゥ ラ キュロトゥ) 「彼女は キュロットをはいている」から転じて「彼女は亭主を尻に敷いている」という意味になります。彼女が主導権を持っているという感じですね。でもフランス語でも日本語でも「尻」が使われているのはおもしろい発見です。

また英語でも、キュロットculottes(複数扱いで、後ろにアクセント)と存在します。意味も 「女性用のズボン式スカート、キュロット」とあります。でもこのフランス語の「亭主を尻に敷く」という表現を見つけたときに ピーンときたのです。英語にもあったあったと。でもその単語はculottesではなかったはず。なんだったっけー。 夜眠れないくらい気になってしまって、調べました。辞書で一度目にしたのは確か。でも思い出せない。1時間ほどがんばった末、主人に助けを。「インターネット使えばいいじゃない」と。気になりすぎてそんなすばらしい解決方法を忘れていました。眠かったし。そしてフランス語でculotteと 入力。すると英語訳が2つ出てきました。culottesともう一つそうbreeches! この単語を探していたんです!!

breeches(ブリッチズ)、意味は「(乗馬用・宮廷用の)半ズボン」と「(口語)ズボン、半 ズボン」です。そして同じく、She is wearing the breeches. というと「夫を尻に敷く」という意味になるのです。

キュロットでこんなに頭を使うなんて。でもこれが私の語学の楽しみなのです。

culotte culotte
これが乗馬用キュロットもしくはブリッチズ。乗馬をされている方なら詳しいはずですよね。

鳩サブレ

サブレといえば鳩サブレ。いろんなサブレがあります。ある日サブレについてこんな発見が…。

話はある祝日のランチに始まります。

久しぶりに主人と同じ日に休暇が重なり、シャンゼリゼでもぶらぶらしようと外出。お昼は軽く済ませるため、QUICKというファースト フードレストランへ。そこで新メニューらしきものを発見。カレー味のトルティーヤ。おいしそうだったので2人とも同じものを注文して席に着く。そのトル ティーヤ、持ち運びができるようにうまくパッケージに入っていて、そのパッケージをいろいろ読んでいたら、開け口のところにこんなセンテンスを発見。

TIREZ, DEROULEZ, SAVOUREZ (ティレ、デルレ、サヴレ)

savourer

TIRERとは「引っ張る」とか「引っ張って開ける」、DEROULERは「広げ る」という意味で、なんとなく言いたいことが分かります。「そこの部分を引っ張って開けてください」といった感じですね。でも最後のSAVOURERと いうのがよく分からなかったので、主人に質問。

「Gouter(グゥテ)は何かの味を見たり、試食(飲)したりすることで、Savourer(サヴレ)はそれより もっと上で、その味を楽しんだり、賞味したりすること。」という説明でした。

まずGouter(グゥテ)から。そう日本でも聞きなれた、Gout(グ)は 「味」という意味ですね。Gourmet(グルメ)はもうそのまま「グルメ」もしくは「食通・美食家」。そこから派生 した Groumand(e)「グルマン」というと「食いしん坊」という意味になります。

またおもしろいのはフランス語でも英語でも「センスがいいね」というのにこの味というのを使います。
仏語:Tu a du gout. 英語:You have good taste.
間違っても、「センスがいいね」という意味で You have good sense. などと言わないように気をつけてください。
また Je prends mon gouter. というと、「おやつを食べる」 という意味になります。

ではSavourer(サヴレ)の方はというと、この単語の意味を知った時「なるほどー、そういえ ば英語にsavorというのがあったなあ」と。あまり使ったことのない単語ですが、「~の風味がある」とか「~の香り がする」、そして「~を賞味する・~の香りを楽しむ」という意味があります。gouter:tasteは味を試してみ る、 savourer:savor はその味を楽しむといった感じでしょうか。

そこで、さらにピンときたことがあり主人に、「あー、だからクッキーのことをサブレって言うんだ。よく味わって食べるように。」と言っ たところ、思わぬ発見が。主人の説明によると、クッキーのサブレとはまったく関係がないということ。クッキーのサブレはsable(最 後のeにアクサンがつきサブレと読みます)と書き、sable(サーブル)「砂」 からきているそうです。多分あのクッキーを食べた時、砂のようにぼろぼろ崩れるところから来ているのでしょう。

長ーい前書きでしたが、なんだかすっきりした気分になりませんか。

キャベツの中

日本から戻ってきた私たちのところにマルセイユの友達からチャットのメールメッセージが入っていました。時差ぼけの頭の中、そのフランス語を読んで いたら、なんとなく 「日本から戻った? 酒を飲んだ?」というような内容のことが書いてあることが解明。でもそのメッセージの最後にある Tu es dans les choux?(チュ エ ダン レ シュ)がどうしても分からない。何でキャベツの中なんだろうと。  《Tu es =あなた dans =中に les choux=キャベツ》

どういう意味か、辞書を調べても載っていない。そこで主人の登場。生きているフランス語辞書です。

Tu es dans les choux? 頭の中で自分がキャベツの中にいるのを想像してみてください。それは「寝ている」という意味なんだそうです。なんてかわいらしい表現をするんだろうと感動。

そう、その友達は、「日本でたくさん酒を飲んで今眠ってんの?」と言っていたそうです。

ちなみに、キャベツ=chou(シュ)といえば、日本でもおなじみのシューク リーム。これは英語ではないですよね。フランス語で正確に言うと chou a la creme(シュ ア ラ クレム)と言い、英語では cream puff (クリームパフ)かな。英語と思って「シュークリームを食べる」と言うと、「くつ磨きのクリームを食べる」と聞き間違えられるので気をつけてください。