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40

数字の「40」、フランス語ではquarante(カラーントゥ)と言いますが、フランス語は面白いもので「約 40」という意味の単語も持っているんです。それが quarantaine (カランテンヌ)。

例えば、「約40人の人」と言いたい時は、une quarantine de personnes と表現します。

そしてもう一つ面白い意味があり、このquarantaineで「検疫期間」「隔離」という意味を 表すことができます。

例えば、「彼を隔離・仲間はずれにする」は、On le met en quarantine.

この単語は英語のquarantine(クォランティーン)とまったく同じですね。英語でも意味は「隔離、検疫」という意味を持っています。そこでなるほどと思ったのは、この単語が40という数字から来ていること。この単語の由来とは昔検疫期間が40日だったことから来ているのです。お もしろいですね。フランス語を知り、英語を知るでした。

枕の故障

まずフランス語で「枕」はoreiller(オレイエ)と言いますが、これは「耳」oreille(オ レイユ)から来ています。日本人だと、枕と言うと頭を休めるというイメージがあるような気がしますが、フランス人は横を向いて寝る人が多いのかしら。うー ん、確かに私もいつも耳を下にして寝ているかも。

そこで、面白い表現を発見。それが「枕の故障」panne d’oreiller (パンヌ ドレイエ)です。「枕の故障」と聞いてどんなことを想像されるでしょうか。答えは「寝過ごしによる遅刻」です。枕というより、その人自体が故障 しているんじゃないのと思ってしまいますが、こんなことを言ってフランス人は言い訳しているのでしょうか。

sleeping

ちなみに、

faire la grasse matinee (フェール ラ グラス マティネ)とは「ゆっくりと朝寝坊する」と言う意味があります。直訳は「たっぷりの朝をする」。grasseま たはgrasは「肥満した、脂肪分の多い、肉厚の」という意味でよく使われている形容詞で、そこにもうひとつ「豊富 な、肥沃な」という意味も付け加えられます。

例えば、

Elle est grasse comme un porc. 「豚のように丸々太っている」
Tu a la langue grasse. 「はっきりしない話し方をする」

そしてよく知られている単語、

foie gras 「フォア グラ」 肥大させたカモの肝臓(レバー)!

*アクサン省略

クリスマス

パリのクリスマス

日本でもよく知られているパリシャンゼリゼ通りのクリスマスイリュミネーション。凱旋門までの2.5km、総計13万5千ものランプが 並木を照らし出します。

また老舗デパートの集まるオペラではクリスマス時期になると通りが買い物客でうめつくされます。カラフルで大きな買い物袋をさげて人々は帰りを急ぎます。そして、ここにあるギャラリーラファイエットのイリュミネーションは「神戸ルミナリエ」の製作でも有名なイタリアのデザイナーが手がけて います。イタリアン・バロックスタイル。ウィンドウは、フランス人アーティストのデザインするアニメの物語スタイル。サンタクロースが東風に吹かれてスカ ンジナビア半島からサントぺテルスブルグまで、プレゼントを抱えて旅をする様子が、飛び出す絵本のように8つのウィンドウを使って描かれています。こう いったクリスマスの仕掛けは約1年かけ念入りに準備され、設置にも3週間はかかるそうです(2004年現在)。

また、こちらでは町に使われるライトの色などに制限があり、外観を損なわないよう常に気を使っているそうで、目に優しく、どこか落ち着く雰囲気が漂い、冷たい空気の中、ぼんやりと浮かび出てくるようなイルミネーションで心がほっと温まります。そしてお祭り気分がどんどん高まっていきます。

christmas in paris
シャンゼリゼ通り

noel

noel

noel

noel
プランタン、ラファイエットのクリスマスデコレーション。

また、こちらの人たちにとって、クリスマスといえば家族で過ごす大事なイベント。日本で言うお正月ですね。みんながそれぞれ家族のためにプレセントを買い、この日を祝います。スーパーではクリスマス用のツリーが売られ(ほとんどがスペインで栽培されてい るそうです)、デパートではツリーのデコレーションの特別セクションが設けられます。日本ではなぜか予約までして用意するのがクリスマスケーキですが、こちらではステーキやフォアグラ、あと13種類のデザートを食べます。

tree shop
街中の通りにもツリーがこんな風に並べられています。いい香りがしてきます。

プロヴァンスのクリスマス

さて、プロバンスではクリスマスツリ-だけでなくサントンという人形を飾る習慣もあります。その起源は1223年にあり、当時プロバンスの教会では3人の使徒を装ってクリスマスを祝っていたところ、1791年に教会が国の管理下に置かれ、一般の者が 教会でクリスマスを祝うのが禁じられてしまいます。そこで人々はまずパンの生地を使ってその使徒の人形を作りそれがやがて紙ででき、粘土ででき、そして現 在のような人形へと発展していきます。当初3人の使徒だけであったのが、時代の流れでいろんな職業の人物が現れます。多くの人物がキリストの生まれた場所 に集いやがて村ができるというお話だそうです。

santon

また南仏の方では、クリスマスのお祭りが11月4日から始まります。この日はカトリックのカレンダーでいうSaint-Barbeの日。人々は小さなお皿に苔をのせ、その中に小麦の種をまきます。20日後そこから緑の芽が出てきます。この芽は繁栄の象徴として、*Creche(ク レシュ)の中に飾られたり、クリスマスの夜のテーブルに置かれたりします。

santon

santon in metro

*Creche:幼児イエスが入れられた秣桶。あるいはクリスマスに飾られるキリスト誕生の馬小屋 の模型

santon in church

santon in metro
左は教会の中に飾られたサントン、右はマルセイユの地下鉄の中に飾られていた13種類の食べ物。

またプロヴァンスでは、人々はクリスマスの食後のデザートに思い思いのものを用意しますが、大切な伝統習慣があります。クリスマ スの夜、そこには13種類のデザートがなくてはなりません。それはキリストと彼の12人の使徒を表わしています。まず、4種類のデザートとして、干しブ ドウ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、そして乾燥させたイチジクの実が用意されます。さらにそれに付け加えて、ナツメヤシの実、胡桃の実、黒と白のヌガーと呼ばれるお菓子が準備されます。また果物は、オレンジや、日本でいうみかん、りんご、なし、そしてマスカットがテーブルに並び、また忘れてはならないのが、フルーツジャム、マルメロの実のお菓子、そしてCalissons(カリソン)と呼ばれるアーモンドでできたお菓子など。さらにさらに、La pomp(ラ ポンプ)というオリーヴオイルを使ったパンがテーブルの上にボーンと置かれます。

la pompe
La pomp(ラ・ポンプ)

nougar
ヌガー

noisette pomp
くるみ、栗、アーモンドなどなど。次から次へとテーブルに並べられます。

クリスマス前後の様子としては、クリスマスイヴの朝にはサントンを売る出店が通りに並び、人々は毎年その人形のコレクションを増やしにやってきます。いろんなサイズのものがあり見て歩くだけでもクリスマス気分が高まります。夜になると教会へ向かう人の姿があちこちで見られ、子供たちがイエスへ宛てた手紙を読んだり、また近くに座っている人と握手をして「平和をまずは近隣から」と祈ったり、さ らには儀式の最後に神父からパンの一片をもらいそれを食べます。パンはイエスの肉体を象徴し、彼が人々にそれを分け与えるということを意味しています。

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サントン人形を売るお店、

nougar shop

nougar shop
ヌガー屋さん。白ヌガーはやわらかく食べやすいのですが、黒ヌガーは歯のいい人向け・・・。かなり甘いですよ。

church marseille

inside church
そしてこちらが、クリスマスの教会の中の様子。子ども達が衣装に着替えて登場します。

inside church

inside church
牧師さんの説教を聴き、クリスマスが何のためにあり、何をすべきなのかを教わります。クリスマスとは、お互いに分かち合い助け合うことをもう一度確認する日。だから、この日にはみんなでプレゼントを持ち寄り、交換し、分け合うことを感謝するのです。日本とクリスマスと違って、本当に神聖です。本来はこうあるべきなんだなあと。

神聖な空気のあとには、うちに戻りクリスマスの豪華な食事をとります。そして深夜12時が来るのを上で紹介したような13種類のデザー トを食べながら待ち、その時間が来るとイエスの人形をクレシュ(馬小屋)の中心に置いて祝います。そして待ちに待ったプレゼントの交換をしてクリスマスの一 日が終わります。

cuisine with peach
メインディッシュの「桃と子羊の肉」。

fois gras
フォワグラ。おいしいー。毎年、おなかが破裂しそうなくらい食べます。

canape


カナッペ。今年も私のリクエストで。

cake
クリスマスケーキとは呼ばず、デザートのケーキです。

fire

present
暖炉の前で12時が来るのを今か今かと待ちます。そして12時。家族からこんなにたくさんのギフトをもらいました。そしてまた来年はどんなギフトにしようかと迷うのです。
(以上写真:2005/2006)

マルセイユ(プロヴァンス)

プロヴァンスの歴史:

プロヴァンスには紀元前1万年に、すでに人類がソルグからアントレープ地方の岩場に居を構えていたことがわかっています。紀元前600年にはギリシャ人が入り始め、小アジアからフォカイア人が現在のマルセイユにマッサリア王国をつくり、商業の拠点となっていました。1世紀になるとローマ帝国が関わってきます。その後混乱の時代が続き、異民族が進入してきてマッサリアはフランク王国の支配下に入ります。

13世紀初頭、フランス王ルイ8世はアヴィニョンを包囲。1229年パリで条約が結ばれ、 ローヌ川右岸はフランス王領となりました。1274年には法王庁がローマからアヴィニョンに移され繁栄の時代を迎えます。

その後、プロヴァンスは戦争の絶えない時代が続きますが、現在のようにプロヴァンス地方がプロヴァンス・アルプス・コートダジュールとして成立していきます。

プロヴァンスの文化:

プロヴァンスは多くの文化遺産が残る地方です。そしてまた多くの芸術家たちがたくさんの作 品を生み出したところでもあります。ゴッホをはじめ、ピカソ、マティス、セザンヌなどが挙げられます。伝統文化に関しては鉄球を投げて目標玉に接近させる ゲーム、La Petanque(ペタンク)や闘牛のFerias(フェリア)などが有名です。また先祖代々伝わる技術で作られる各種工芸品も魅力的なものばかりです。プロヴァンス独特の織物やサントンの粘土人形(フランスのクリスマ ス参照)はプロヴァンスの名物になっています。そしてプロヴァンス地方にも方言があり、パリのフランス語とはだいぶ印象が違います。パリと比べると、その風土ともあいまってプロヴァンスの人の話し方のほうが人懐っこく暖かみがあるような印象を受けるかもしれません。

petanque

Marseille マルセイユ:

マルセイユは、紀元前600年フォカイア人によってつくられたプロヴァンス最古の都市で、 以来、海上貿易の中心地として栄えてきました。船による渡仏が当たり前だった時代、日本人が最初に到着したフランスの地もマルセイユでした。現在もフランス第一の貿易港であり、パリに次ぐ大都市です。

まず中心地となるのが LeVieux Port(旧港) です。たくさんのヨットや遊覧船などの船が停泊する港で、周辺にはたくさんのカフェやレストランが並んでおり、名物のブイヤベースが味わえます。
そこからのびる La Canebiere(カヌビエール通り)にはデパート、ホテルなどが並びマルセイユの中心となっています。また港から見て右手にある丘の上にはノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院が あり、そこから見下ろす景色は最高です。

vieux  port

cannebiere


旧港に向かって立つ教会。そして右は強大なオリーブの鉢植え。


遠くに見えるのがノートル・ダム・ド・ラ・ガルドです。毎日太陽が輝いています。ちなみにこの写真は12月クリスマス時期に撮影。停泊する船は色とりどり。地中海の雰囲気がいっぱい。


ノートル・ダム・ド・ラ・ガルド。この教会からの眺めも最高ですよ。マルセイユの町から地中海まで。

そして港から遊覧船で約20分、Chateau d’If (イフ城)は、16世紀、当時のフランス国王フランソワ1世が海を渡ってやってくる外敵か らマルセイユを守るために、砦として築かれたものですが実際役立ったことは一度もなかったそうです。このイフ城を世界的に知らしめているのは、作家アレク サンドル・デュマの小説「厳窟王」でしょう。この城は小説の主人公だけでなく、鉄仮面をはじめ、現実に数多くの政治犯や異教徒たちを幽閉、牢獄するために長年使われてきました。さらにそこから船で数分、Iles de Frioul(フリウル島)に着きます。ここは第二次世界大戦中ドイツ軍に占領されていましたが、1971年にマルセイユが買い戻したということで、特に観光ポイントがあるわけではないのですが、ここにある自然は手付かずの状態で残されています。お気に入りの場所は少し歩いたところにある小さな入り江になっているビーチです。澄んだ青い地中海とあまり人の知らない場所で静かにのんびりするのはとても気分がいいです。

frioul
観光ページ フリウル群島 も参考に。詳しくご紹介しています。

歴史に興味のある方は、旧港のすぐ近くにあるCentre Bourse(サントル ブルス)というデパートの中にあるMusee d’histoire de Marseille(マルセイユ歴史博物館 )をおすすめします。入り口階にはSavon de Marseille(オリーヴで作った石鹸)で有名なこの地域の産業の歴史を、昔の広告ポスターなどを使って紹介しています。階段を下りて地下階に行くとがらりと変わって、プロヴァンスの歴史の古さを感じさせる展示物がずらりと並んでいます。特に海上貿易の盛んだった都市ということで巨大な船の模型や、そのころの生活を表す道具などが数多く展示されています。さらに奥へ進んでいくと、プロヴァンス最古の都市を思いおこさせる住居の模型や、ミイラなどがおかれています。デパートの中にこのように立派な博物館があるなんてびっくりしてしまいます。

museum

museum garden
こちらが博物館の入り口。デパートの中です。外には本物の遺跡が公園として残されています。デパートを建てる際に発見されたそうです。

また日本でも人気のサッカー。こちらフランスではそれ以上。特にここマルセイユ。サッカー ファンの方なら、L’OM (L’Olympique de Marseille) が有名でしょう。マルセイユの南東に位置するホームスタジアムにはグッズショップが入っていて、地元のお客さんがたくさん買いものに来ていました。スタジ アムには60,000の観衆が毎ゲーム、チームをサポートしにやってくるそうです。

l'om

zidan
こちらは旧港の正面にあるL’OM カフェです。そしてジダンもマルセイユ出身(右)。

南仏といえばまた、オリーブや魚介類などの食材も豊富ですね。マルセイユの代表的料理として、ブイヤベースはおすすめです。旧港の周りにはたくさんのレストランが並んでいるのですが、地元の人に聞いたおすすめレストランをここでご紹介しましょう。どこのお店のメニューにもブイヤベースと書いてあるけれど、はずれが多いそうなので、せっかくマルセイユへ行くの ならば本物をお試しください。

miramar
MIRAMAR まず旧港に面したレストランの並びの中にある一番有名で おいしいブイヤベースのレストラン。ホームページ

michel
MICHEL 旧港を後に車で海岸線沿いを走っていくと左手に現れます。

petit  nice
LE PETIT NICE PASSDAT さらに進んでいくと地中海に突き出た 岩の上にレストランが立っています。

rhul
Le RHUL こちらはマルセイユでもっとも有名なホテル。地中海を正面にきれいな景色が眺められます。

そして南仏といえば地中海。旧港から東に少し行くと、Le Prado(ル プラド)と呼ばれる人工のビーチがあります。夏はもちろんのこと、冬でも日光浴に人々が多く出かけます。地中海は一年 を通じて温暖な気候なのです。泳ぐには寒いかもしれませんが、冬でも充分地中海の気分が満喫できると思いますよ。遠くには上でご紹介したイフ城やフリウー ル島 が見えます。


こちらの写真は12月クリスマス時期に撮影したもの。太陽が輝きとても穏やかな天候です。


そのビーチの正面の道路中心に立つミケランジェロのダビデ像。なぜこんな所に。カモメが頭にとまっています。地中海を見下ろす丘に建つ高級住宅やマンション。


そして近くのカフェで夕日を見ながらgrenadine(グラナディン)のシロップでも。


こちらはLuminy(リュミニ)と呼ばれる森から見下ろした地中海。ハイキングコースになっています。

まだまだ見所の多いマルセイユです。フランスはパリだけではありません!ぜひ南にも足を運んでみてください。

関連ページ
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マ ルセイユのお土産
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観光案内所/Tourist office in Marseille

マルセイ ユ観光船協会/Information about excursion boats in Marseille

フランス歴 史文化財/Historical monuments in France

マルセイユ市公式ウェッブサイト/ Official Website of Marseille

センスがいいね

いい趣味や好みを持っている人に日本語では「センスがいいね」と言いますよね。このカタカナで書かれたセンス、英語になおすとsense。 そこから直訳して ”You have good sense” なんて言っていませんか。

この英語のsenseには「趣味」も「好み」も含まれていません。”You have good sense” と言うと「君は分別(判断力)がある」と訳されてしまいます。この場合You have a sense of beauty.とでも言えば「美を解する心=美的感覚=センスをもっている」となりますが。

そしてずばり日本語の「センスがいいね」に相当するのが、taste「味」を意味する単語です。 この単語には「趣味」と「好み」が含まれていますから、これを使って “You have good taste” 「いいセンスしてるね」と言うことができます。

フランス語でも同じです。フランス語で「味」というとgout(グ)ですね。

Tu a bon gout. 「センスがいいね」

Elle n’a pas aucun gout pour s’habiller. 「彼女は服装のセンスがない」

Nous avons des gouts communs. 「私たちは好みが同じ」

Chacun a ses gouts. 「人の好みはさまざま」

最後に「蓼食う虫も好き好き
【英語】  There is no accounting for tastes. 直訳すると「好みを説明 することはできない」
【フランス語】 Des gouts et couleurs on ne discute pas. 直訳すると「好みや色は議論することができない」

*アクサンは省略してあります。