Category Archives: 社会

ペット問題

最近とても気になっている問題の中にペット問題があります。フランスに住み始め、たくさんの人がいろんなペットを飼っているのですが、そこでいろんなことを考えさせられました。

とりわけパリではペットとして犬を飼う人が多く、犬に関する諸問題をよく耳にします。

その1
犬の糞問題。これは以前にも別のページ(フランス人は犬がお好き)で紹介したことも あるのですが、町のいたるところで犬の糞やら尿やらが放置状態です。アパートの入り口前、横断報道上、地下鉄内、嫌がらせでしょうかお店のショーウインドウのわずかな枠のスペースに誰かが置いた(?)のか器用な犬がいたのか・・・分かりませんが、マナーの非常に悪い飼い主がいます。

その2
放し飼い問題
。基本的にパリのメトロは本来犬を連れて入れません(小型犬は条件付で認められています)。が、ときに、大型犬を平気で乗せてくる飼い主がいます。通常大きな犬は、安全のため口をふさいでいなければいけないのですが、そういったことも無視して電車に入ってくる飼 い主さんがいます。犬は好きだけれど、ちょっと怖いときがあります。

例えば、次はフランスで起こった事件です。

パリ郊外で17ヶ月の女の子がAmerican Staffordshire terrierという種の犬にかまれ死亡。家族で親戚を訪れていたところこの悲劇が起こってしまった。アパート内に入ろうとしたところ、その犬が女の子に 飛び掛ってきた。母親は飛び掛って来るのは分かったが、子どもを助ける時間がなかったと言う。フランス政府では危険な犬の所有に対する前面禁止をサポート するとしている。 2週間の内に2度も同じ事件が起こってしまった。(参考:Euronews 2010年)

普段でも危険な光景に遭遇することがあります。例えば、ホームレスの飼っている(?)犬が放し飼いで、通りを歩いていた小型犬に噛み付 いたのを目撃したことがあります。その犬は足を攻撃されそのあと引きずるような感じでしたが命は大丈夫でした。

野良犬ではないし、すぐそばに飼い主がいるし、と思っても油断できません。くれぐれも注意しましょう。

その3
捨て犬/捨て猫問題
。これはフランスだけではないですね、日本もそう、世界中どこも同じ。かわいい!と思って飼うのだけれ ど、成長して大きくなり面倒もかかってくると捨ててしまうのでしょうか。

SPF(Bien-être animal du service public fédéral)によると、フランスでは2008年度68.947匹の犬猫が施設に保護されたそうです。この数字は2007年度の68.640と比べわず かに上昇したことになり、さらに2008年度は捨て猫が捨て犬の数を上回ったことになるそうです。これにより施設が飽和状態に陥り、ペット用の猫に対する 不妊処置を法により義務付けるよう提案している

ヴァカンス期の捨て犬/捨て猫数はさらに飛び跳ねます。とくに夏のヴァカンスでは長期休暇に出かけるためペットがどうしても問題になっ てしまいます。去年、近所のおじさんが2匹の犬を連れて近所のおばさんと話をしていました。そこに主人が加わり何を話していたのか説明してもらったとこ ろ、2匹のうち1匹はおじさんの犬だけど、もう一匹は犬友達(?公園でたまに会うような)の犬で、ヴァカンス前に預かって欲しいといわれその後ずっと連絡 がないままそのおじさんが飼っているんだとか。かなり怒ってました。その後本当の飼い主が現れたかどうかは???です。「かわいい」「家族の一員よ」といいながら飼っていたのに、ヴァカンスをとってしまうんですね・・・(悲しい話です)。

どのような犬や猫が捨てられるのか?

66% 1才から5才まで。つまりその犬や猫が大人になる年。
90% 中型~大型犬
70% 血統をもたない雑種。多くは個人宅で生まれ、知り合いにもらわれたり、責任感や心構えの薄い買い手に安く売られたりする。

 

どんな人が捨てるのか?

74% 引越しの都合。
73% 別離/離婚あるいは結婚など。
50% アレルギーのため。
33% 攻撃的、よく吠える、あるいはしつけ不十分などの欠陥のため。

 

さらに85%の飼い主が何のためらいもなくペットを捨てる。おもちゃとして数年飼ったのち、あるいは責任がさらに重くなってきたりすると捨ててしまう。例えば飼う場所、毎日の散歩など。(以上30 millions d’amisより参考)

飼う人の無責任さもあるけれど、それが商売として成り立ってしまっている世の中もどうなんでしょうね。どんどん繁殖させられ売られていく一方、売れ残ったもの、捨てら れたものたちがどんどん施設に送られていく。

France-soir紙によると、動物でいっぱいになった施設では、まず最初にかわいい動物たちがもらわれていき、年をとった動物たちはそこで余 生を過ごすことを余儀なくされてしまうとあります。30 millions d’amisの代表者によると《年老いた犬は費用がかかるので人はなかなか引き取りたいと思わない》と説明。そこで年をとった犬を引き取ってくれる家族に 600ユーロの補助金を提供している。そのお金で新しい飼い主は獣医にかかる費用やえさ代のコストを削減できる。もし飼い主がお金だけを目的にして飼うといけないので、獣医にかかる際には直接その病院にお金を支払うこともある。こうした中、10歳以上の年をとった犬が1,500匹、新しい家族を見つけてい る。(以上France-soirより参考)

最後の最後に素晴らしい家族にめぐり合えた動物たちは幸せでしょうね。でも、この数の裏には不幸に一生を終える他の仲間たちがいるということを忘れてはなりませんが。

以上フランスで見られるペットに関するさまざまな問題を挙げてみました。繰り返しになりますが、これはフランスだけの問題ではありませ ん。同じような問題がいろんな国で見られます。そう、日本でも全く同じことが言えるのではないでしょうか。

日本の捨て犬/捨て猫問題

先日フランスのあるニュース番組で日本のどこかは分かりませんがある施設で捨て犬がガス室に送られる映像が伝えられました。「え、これが私の国?」と、正直なところ思ってしまいました。かなりショックです。知ってはいるものの、実際見るとつらいですね。

日本では、あまり捨て犬などを引き取るという習慣がないような気がします。フランスと同様にペットを飼う際の費用の面もあるし、何より も土地が少ないので飼うスペースの問題が大きいのではないのでしょうか。

それにしても忠犬ハチ公物語が生まれた国が、こんな風になってしまうなんて・・・。

環境省の調べでは2006年度には14万2000頭が捕獲収容され、そのうち11万3000頭が処分されたということです。

どうにかならないのでしょうか・・・・。

 

フランスの落書き問題

フランスにいて残念だなあと思うことの一つに落書きがあります。

歴史のある古い建物がたくさん並び観光客を魅了しているにもかかわらず、町の中に一歩踏み込むとそこにはひどい落書きが。それもものすごい場所にあるんです。

私が今まで目撃した例を挙げると、

郵便ポストや建物の壁は当たり前、お店のシャッター、トラックやワゴン車、教会の壁、高速の道路標識(内容が読めないくらい)、高速道 路のガードレール、歩道橋の側面、植物の葉なんかにまでスプレーで落書きがしてありました。TGVに乗ってマルセイユへ向かう途中などは、周りに何もないようなところに落書きがしてあったりして、よくこんな所までわざわざやって来たものだなあと逆に感心してしまったり。

自分のうちの壁に落書きされた人はたまらないだろうなあ。

そして、かなりイメージが下がってしまうだろうなあと思われる落書き場所が地下鉄です。

地下鉄内にある大きなポスターにはもちろん、壁にまで直接スプレーがかかっていることがあります。新しく改装された地下鉄駅が次の日には真っ黒にスプレーされてしまっていた時にはかなりショックでした(9番線のRanelagh駅)。真っ白できれいになったと思ったら、次の日には真っ黒で駅構内が異様な雰囲気。お客さんたちも唖然としていたのを覚えています(駅員さん達もショックだったのでしょう、翌日にはすぐ塗り直されていました)。

駅のホームだけではありません。電車そのものの落書きもひどいです。シートにも、ドアにも、ガラスには傷を入れて落書きが。そして最近 は電車の側面の大々的な落書きが目立ちます。かなりショッキングなので、待っている人たちも目が点になっていたりします。観光客の人にもイメージが悪そうな気がしますし。

そこで、パリメトロの落書きについてのある記事を見つけました。

3人の男性(19~22歳)が公共物破損の容疑で取り調べにかけられたそうです。その男性達とは、昼間はウェイター、営業サラリーマン などをしていて、夜になると≪Jonks ≫、≪Sokle≫、≪ Skyz≫という名前を使って地下鉄や車両に落書きをしていたといいます。記事によるとまた、彼らは2005年の2月から2007年の12月の間にRATPとSNCFの組織網において243のスプレーの落書きをしたという(180 000ユーロの損害に当たる)。


(フリーマガジン20Minutesより)

こういった落書きの犯人というのは若い人だけではなく、50代などの年配の人も多いんだそうです。こういった人たちにとって落書きは一 種のチャレンジで、人が近づけないようなところに落書きをするということで自分に挑戦するんだそうです(だからありえないような所に落書きがあるんです ね)。ある市の公務員の方の話によると、その市では年々落書きの数が増え対応に困っており、その相手が自分と同じ位の歳であることにまたあきれてしまうと いうことです。

物を大事にしましょう。

パリの地下社会

古い歴史のある建物がここ狭しと並ぶパリ。多くの観光客で常に賑わっています。ところが、そんなパリにもう一つの隠された社会が存在するという。

地下社会
パリの地下には、ローマ時代に街を建設するために石を運び出してできたトンネルが通っており、1700年代からは一部を遺 骨埋葬所として利用しています。

こういった地下内で活動をする社会というのは数十年くらいは存在しているということですが、大きく注目を集め出したのが2004年のことです。

その夏、警察がシャイヨの丘の下(18m)で、400平方メートルもある地下映画館を発見。小さく仕切られた部屋がフランス映画博物館 数メートル下で見つかったのです。

この地下映画館を所有するグループは、自らを『La Mexicaine de perforation』と呼び、地下で映画鑑賞会を開き、毎回の上映に15人から30人が集まっていたといいます。そして、フランス電力EDFは、その 後、電力不正使用として訴えますが、この闇の組織は「捜すな」という貼り紙を残して消えてしまったという。 (以上 Figaroより)

また、The Paris Timesという英字雑誌でも一度大きく特集されていたこともありました。そこには、パリの地下空間での探検がブームになっているという。夜になると、マ ンホールなど秘密の入り口から地下社会へ侵入し、パリの裏側を探検するのだとか。

trocadero
パリ トロカデロ
シャイヨ宮

こちらはその地下の秘密映画館が見つかった年(2004年)のBBCの記事を訳してみました。

—— 完全な設備を有した地下映画館がパリにある博物館の下で発見された。——

フランスの首都パリには何百マイルも続くトンネルが地下を走っており、それらはもともとこの街を造るための石をローマ人が掘り出す際に 残されたものである。

そしてその地下映画館はパリ16区トロカデロの真下で見つかった。1700年代に、中世の墓地が一杯になってしまったのを機に、パリは このトンネルを死者の骨を埋葬するために使い始めます。

そして、今日、新しい利用方法が発見されることに。

パリの地下で何が起こっているのか調べるためには一つの手段しかありません。その地下墓地に降りてみるのです。Rochereauの Place Denfertにある地下墓地に続く唯一公的に認められた入り口を通って。

いったん地下の中に入ると、そこは湿っていて薄気味悪く、そして閉塞感を感じる。石壁が周りを取り囲み圧迫感を与え、また滴り落ちる天 井は頭上ほんの数インチのところにまで迫っているのです。

こんな場所に楽しみに夜やってくるなんて信じがたいことだ。まして、ここからさらに300kmも離れた場所に映画館を開くなんて。しか し、こういった場所を好む人々が集まるグループが存在し、夜になるとマンホールや秘密の通路を通ってここへやって来るのです。

【秘密の場所】

この地下組織を設立した芸術家や写真家の一人にPatrick Alkという人物がいる。地下映画館の発見はパリ全体の地下組織のほんの一部にしかならないよと彼は言う。

「その映画館を造ったグループは、数多くあるグループの一つだ。」と。

「1980年代に全てが始まり、我々は500、いやおそらく1000人ほどの数だったと思う。芸術家として自分達を表現するためにみん なパリの下へともぐりこんで行ったんだ。」

「我々はそこでいろんな活動をした。ダンスフェスティバル、劇場、芸術展示会など。パリの下で自由な王国を造り上げたんだ。そしてそれ らの場所はかたく閉ざされ、秘密の場所なんだ。」

少なくとも、パリ警察が訓練中にその映画館を偶然発見するまでは。その場所というのは、フィルム博物館を含んだトロカデロ一帯の真下。 カメラでその場所は監視され、誰かが侵入してくると番犬の声を録音したテープが流れるという仕組みになっている。中はウィスキーのボトルと、1950年代 と60年代の白黒映画のコピー。警察が戻ってみると、そこには「我々を捜すな」というメモが残されていたという。

【警察とおにごっこ】

しかし現代のセキュリティ時代において、警察はこういった地下活動家達を潜在的な脅威と捉えているのだろうか。Patrick Alkはnoと答える。

「我々はパリ警察によって脅威とは捉えられてはいない。なぜなら警察はある種のコントロールとしてある人間をここへ置いておきたいの だ。もしここに悪人が入り込んできたら、我々がそれについて情報を流せるからね。」

「我々とならば、鬼ごっこみたいなものだから。警察との関係はそんなに悪くはないよ。」

パリ警察はというと、全く同じ考えではないようだ。彼らの一番の心配は安全である。警察はパリ市民や観光客へ、迷子になったり、トンネ ル内の洪水や崩壊という危険性があるので禁じられた場所へは立ち入らないようと告げている。1993年、ある夜遊びに来た訪問者がこの地下内で迷子になっ たことがる。もう戻ってこないと思った仲間達が彼の写真を額に入れて飾ったこともある。

しかし、そんなことがあっても、彼らは地下でのお祭り騒ぎを計画し続けるのである。そしてその奇妙な熱狂的映画愛好者達については、電 力不正使用の罪で捕らえようとしたのだが、結局その訴えも取り下げられてしまった。そしておそらく地下で電力を使用していた者達はパリの下のどこかでさら に閉ざされた秘密の場所を探し出していることだろう。

以上、BBCより
訳 aki

そして、2007年の出来事。

pantheon
パンテオン

秘密組織
『Les Untergrunther』という組織が、パンテオンの複数の鍵を入手し、そこで一年以上も居住を構えていたというニュースが伝えられた。 (Figaro 2007年8月)

パリは5区にあるバーで、組織の一人にインタビューをすることになった。煙で充満した一番奥の部屋で、その男性は若い女性と一緒にテー ブルについていた。「彼女は、Lansoという名前で、我々組織のリーダーである。身元を明かすようなことは絶対にしゃべらない。」と、彼が告げる。短く 剃った頭、青く澄んだ目、色あせたジーンズの上に黒のTシャツ、Lazar Kunstmannは 『Les Untergrunther』について語り始める。

彼のポリシーは? 「行政機関に見捨てられた、あるいは、維持する手段のない世襲財産の目に見えない部分を修復すること。我々は、お役 所でさへ知らない場所にも関与する。」と、Lazarが述べる。

数ヶ月前、パンテオンの鍵を8人のメンバーが手に入れ、一年以上もそこにこっそり住み着いていたということで噂の中心となった。部屋や 図書館、そしてバーまでをも整備し、建物の上層部で快適に過ごしていたそうだ。

丸天井に架かる古い大時計は、1850年Wagnerモデルで、40年以上とまったまま。さびがつくほど放置されていた。「もし我々が その時計を救いたいと思うのなら今しかない、と思い、我々はそこへ侵入した。」と、Lazarは語る。彼らがその時計を修理するのに何百時間もかかるだろ うと推測される。

教会、地下、公共施設、ビルの屋上、都市探索賛同者は入りにくい場所に冒険心を駆り立てられる。パリの網の目のような地下や入り組んだ公共の建物が、彼らに絶好の場所を提供しているのだ。

そしてそこには約12のグループが存在するという。彼らは常に控えめで口がかたく、何よりもパラノイアである。インターネットもなく、 仕切られた場所での活動、電気を介さないコミュニケーション手段、偽名を使うこと…などなど、混沌としたものが存在し、理解に苦しむ。警察もこの課題 に取り組みの姿勢を見せ、テロなどの発展につながらないよう祈っている。

「大体、7人から15人くらいの構成メンバーでグループは存在している。ある者は看護婦、建築家、ジャーナリスト、あるいは小学校教員。そしてどのグループにも、警報システムの専門家か錠前製造の専門家がいる。」 Lazar自身もジャーナリストである。

以上、Figaroより参考
訳 aki

自分の暮らしている地面の下に別の社会が存在するなんてちょっと不気味な感じがしますが、パリっていろんな ところに通路やスペースがあって、そんなこともありえるかなあとも思ったりします。うちのアパートの建物内にも、何の部屋か分からないドアがあったり、 昔、タイトルは覚えていませんが、地下鉄内に人が住んでいるというフランス映画を見たことがあります。それにしても、ただの好奇心から犯罪へつながることはとても危険なことです。家を飛び出した少年達がこういった場所で共同生活をしているというニュースも聞きます。

パリと地面を挟んで反対側に存在する世界、そして町の意外な死角に潜む謎の社会。何かの映画やドラマで出てきそうな話ですが、本当の話です。

観光大国と犯罪

観光大国フランス
世界で最も人気な観光国フランス。毎年8千万人前後の観光客が訪れるそうです。夏の観光シーズンともなると、パリ市内はフランス語よりも英語などの外国語のほうがよく聞かれ、「フランス人はどこ」というような感じです。ちなみに日本は毎年約5百万人あまりしか外国人の訪問者数がなく、フランスの18分の1 という低さです。

旅行目的地世界上位5カ国(2001年度)
1位 フランス
2位 スペイン
3位 アメリカ
4位 イタリア
5位 中国

世界観光統計(2001年度)

国際観光客到着数(1,000人単位) 国際観光収入(100万米ドル)
アジア
中国TF
33、167
17,792
タイTF
10,133
6,731
韓国VF
5,147
6,283
日本TF
4,772
3,301
インドTF
2,537
3,042
イランTF
1,402
1,122
ヨーロッパ
フランスTF
76,508
29,979
スペインTF
49,519
32,873
イタリアTF
39,055
25,787
イギリスVF
22,833
16,263
ロシアVF
21,169(2000年)
ドイツTCE
17,861
17,225
南北アメリカ
アメリカTF
45,490
72,295
カナダTF
19,697
10,774
ブラジルTF
4,773
3,701
中東
サウジアラビア
6,295(2000年)
3,420
エジプトTF
4,357
3,800
アラブ首長国連邦THS
3,907(2000年)
1,012(2000年)
アフリカ
南アフリカVF
5,908
11,746
チュニジアTF
5,387
2,707(2000年)
モロッコTF
4,223
1,605

出典: 世界観光機関(WTO)

TF: 国境での国際観光客到着数(日帰り旅行客を除く)
VF: 国境での国際旅行客到着数(観光客と日帰り旅行客を含む)
THS: ホテルおよび同様の施設での国際観光客到着数
TCE: 団体観光施設での国際観光客到着数

パリ市内観光
このようにフランスは世界有数の人気観光国。しかし、その反面、「外国人観光客に冷たい国」という評判も根強い。AFPの記事(2006年)によると、

無愛想なタクシー運転手、仏頂面のウェイター、分かりにくい道路標識。観光客にとっての「不親切さ」にことかかないといわれているフランスは、昨年2005年、観光客数760万人という目標を達成できなかった。
「確かにフランスは観光客数では世界一の国だ。だが、観光客にとっての『もてなし満足度』という点では世界最悪の国であることはほぼ間違いない」と語るの はRegional Committee for Tourism in Ile-de-France(北フランス地域観光委員会)理事長のJean-Pierre Blatt氏。

フランス人の不親切さは深刻な問題として捉えられていることが分かります。

観光競争力
またこんなおもしろいデータもみつけました。世界経済フォーラムが発表した「観光競争力ランキング」。これは、観光者数の数を計るのではなく、観光のための安全性、衛生、空港設備、公共設備、また観光保護政策などを重視し指標を打ち出すもの。2007年度の結果は以下の通り。調査対象国1124カ国。

「旅行・観光業の競争力レポート」2007年版のランキング

1 スイス
2 オーストリア
3 ドイツ
4 アイスランド
5 アメリカ
6 香港
7 カナダ
8 シンガポール
9 ルクセンブルク
10 イギリス
12 フランス
13 スペイン
25 日本
33 イタリア
42 韓国
43 タイ
60 インドネシア
71 中国

このようにフランスは外国人観光客を魅了する観光大国である一方、その競争力についての評価ではランクを下げてしまいます。ちょっと意外な結果です。

バイリンガルフレンチ警官
そこで見つけたのがこんな記事。

20ヶ国語を話す総勢125人の警官が外国人観光客のために配置される。あこがれていたパリに到着した観光客達が、悪夢の道へと陥れら れ、そして毎年何千人もの人々がパリの交番に駆け込んでくるのである。ビザ、パスポートの紛失、クレジットカードや小切手、現金の盗難。不安な気持ちが観 光客をパニックに導く。

そんな被害にあった彼らが知らぬ土地で絶望感を感じぬよう、警視庁が個人を受け入れる対策措置を設けた。20ヶ国語(英語、スペイン 語、イタリア語、ドイツ語、アラブ語、日本語、中国語など)そして手話を習得した警官125名をパリ全20区に配置。パトロール中には特定のバッジを身に つけ、困っている観光客の助けへと向かう。

まずは、被害者の質問に答え、一番近くの交番へと導く。そしてそこでこれらの警官は、仲間の警官と被害者の間に入り仲介役を果たす。

さらに、2004年から交番と警官隊の施設が外国人被害者の受け入れ口システムを整えている。

特に被害が多く起こっているエッフェル塔、トロカデロ、シャンゼリゼ、モンマルトルような場所は、治安部隊の協力で補強がなされてい る。またRERやメトロは犯罪者にとって最適な環境であり、観光客にとっては危険である。こういった場所での監視体制は増加しており、軽犯罪などの不正行 為取り締まりに力を入れている。

以上参考:フィガロ
訳 aki

日本人の被害
そんな中、おそらく一番被害を受けやすいのが日本人なのではないでしょうか。お金を持っていそうで、お人よし、安全な国から来ているので身近にある危険に鈍感。

犯罪被害件数は渡航者の多い北米やオセアニアに比べて、アジア、欧州の比率がかなり高いそうです。全体の74パーセントがこの二つの地 域が占めます。

特に欧州では、スリ、置き引き、引ったくりなどの手口が多く、スリに限っては世界のなんと62パーセント、アジアの2倍強という高さで す。(旅の基本情報 /治安を参考)

参考:外務省海外安全ホームページ

本当にヨーロッパというかパリはスリが多い。幸いまだ私はあったことがありませんが(たぶんお金をもってそうに見えないので、狙われな いのかな)、観光客が多いからスリも発生しやすいですよね。観光大国と謳われるフランスも、ふたを開 けてみるといろんな問題がたくさん。皆さんも気をつけてください。

フランス環境問題(大気汚染対策)

【大気汚染】
世界中どこの大都市に住んでいようとも感じるのは新鮮な空気を吸いたいということ。東京にいた時には、アパートの窓に高速道路からの「すす」がたまっていたり、ロスアンジェルスにいた時にはよく飛行機の窓から灰色がかったスモッグの層を眺めていました。そしてパリ。ここもまた自動車が所狭しと走り回ってい ます。こんな狭い所にそんな車はいらないでしょうと思うような大きな車が走っていたり、通りには人間の数より駐車されている車の数のほうが多かったり。どこも同じです。

では、自動車の排気ガスがどのくらい世界各国で排出されているか見てみましょう。ここでは窒素酸化物に着目。自動車の排気ガスがもとで発生する酸化物で、光化学スモッグや酸性雨などの原因となります。その他、大気汚染物 質には硫黄酸化物(大気汚染や酸性雨などの原因となる酸化物で,石油や石炭など硫黄分が含まれる化石燃料の燃焼により発生するもの)、一酸化炭素、非メタン炭化水素が含まれます。

窒素酸化物総排出量2002年
(1,000トン)
1人当たりの排出量2002年
(kg)
日本 2,018 15.8
韓国 1,136(1999年)
トルコ 951 14.1
アメリカ 65.3
カナダ 2,459 78.4
メキシコ 1,152(1998年)
アイスランド 26 90.5
アイルランド 121 31.0
イギリス 1,587 26.3
イタリア 1,267 21.8
オランダ 430 26.6
ギリシャ 318 28.9
スイス 90 12.4
スウェーデン 242 27.1
スペイン 1,432 34.8
デンマーク 191 35.5
ドイツ 1,417 17.2
ノルウェー 213 46.9
フィンランド 211 40.5
フランス 1,350 22.7
ポルトガル 288 27.8
オーストラリア 1,691 86.0
ニュージーランド 204 51.8

出典:OECD, OECD Environmental Data Compendium 2004

世界中で懸念されている環境問題。次はパリで行なわれている主な対策方法をご紹介していきましょう。

パリのトラム
フランスパリでは、2006年12月16日に、約70年ぶりに路面電車が復活。自動車によって占領されてしまったパリの町を、クリーンな交通手段で緩和させようというねらい。もともとパリに路面電車が登場したのは19世紀。地下鉄や自動車の普及にともなって姿を消してしまっていました。パリ市内の交通渋滞 や排気ガス汚染対策として見直され、今回パリ南部に一部開通。路線には芝生も敷き詰めてあり環境にやさしい交通機関を目指します。今後はパリを囲むように 路線が延長されていく予定です。


トラムウェイパリ オフィシャルサイト

パリのレンタルサイクル
同じくパリ。2007年7月15日、パリのレンタルサイクルが始動。フランス語の自転車「veloヴェロ」と自由の「liberiteリベルテ」を掛け合 わせて「Velib’ ヴェリブ」という名前。こちらも車増加による交通渋滞を解消し、大気汚染も減らそうという環境対策の一環で、世界の主要都市で初の大規模な政策となりま す。

300メートルおきに750箇所の駐輪場が置かれ、1万600台の自転車が用意されています。2007年度末までに駐輪場の数は2倍 (1451箇所)に増やされ、自転車も2万600台に拡大される予定。自転車を利用したい人は、自転車を借り、目的地近くの駐輪所に戻せばよい。毎日24 時間常に利用可能。まずは専用カード購入から。
カード1日用  —1ユーロ
カード1週間用—5ユーロ
カート1年間用—29ユーロ
専用申し込み用紙は郵便局や役所、またインターネットなどで手に入ります。14歳から17歳の若者は親の承認が必要。

コンセプトはシンプルですが、ヴェリブは都市の戦略的思考、計算が必要とされます。それは、これらの利用料ははじめの30分のみで、次 の30分で1ユーロ、次の30分で2ユーロと順次高くなっていくのです。そして1時間30分が過ぎると、30分ごとに4ユーロが追加される計算。もちろん 30分ごとに駐輪場に戻して乗り継げばカード代以外は何もかかりません。こういった戦略はヴェリブ自転車が、あくまで短距離使用にのみ活用されることが念頭に置かれているため。自転車を返却しないとクレジットカードから150ユーロが引き落とされることもお忘れなく。

ヴェリブ自転車は、やや重く22kg、毎年2万km走行に耐えられるようデザインされています。前にカゴとと小さなロックがついています。

またパリの他に、リヨンではこのようなレンタルサイクルが2005年にすでに開始されています。リヨンでは「Velo’vヴェロヴ」。

町の人の声は:

パトリシア B (フレンチアメリカン 60歳) 「ヴェリブが成功するとはそんなに思わないわ。だってフランス人って他人の持ち物を 大切にしないもの。特にそれが誰のものでもない時は。」

ピエール C (フレンチ 19歳) 「このプロジェクトは成功すると思うよ。スイスに住んでいた時に同じものがあった。便利だし、行きたい所どこにでも行けるしね。」

キャテリーヌ P (フレンチ 29歳) 「よいイニシアティヴにはなるでしょう。でも私はパリで自転車なんて乗らないわ。早死にしたくないもの。道路の交通安全が心配。」

velib' velib'
ヴェリブ オフィシャルサイト

以上The Paris Times

パリ市によると、すでに約1万人がこのヴェリブプログラムに加入。そして安全のため交通ルールの取締りにも力をそそぐ。交通規則に反するものは、歩行者、自転車利用者、二輪車運転者、あるいは自動車運転者であろうと厳しく取り締まる姿勢。赤信号発進、歩道や一方通行路、またバス専用車線 通行などは主要な違反。罰金は99ユーロ。ヴェリブ開始にともない、より一層自転車利用者に関して詳細に検討する予定。

2006年度、自転車が関わった交通事故数が577件。506人の負傷者と2人の死者。そのうち60パーセントが二輪車と自動車による ミス。バス専用車線を通る乗り物や自転車専用車線を通るバイクなどは厳しく処罰されます。罰金135ユーロ。

以上フリーペーパーMetro

パリの自動車レンタル
パリ市は、自転車レンタルの他、もう一つのオプションを準備中。それは「autopartageオートパルタージュ」、つまり車をシェア(共有)するこ と。すでに2,000人のパリジャンがこのプロジェクトに参加しています。そのプロジェクトでは、最低30分から車を借りられます。いくつかの基準に達す れば、民間のレンタル会社が市のラベルを使用できるというシステムで、自動車は24時間利用可能で、使用15分前まで予約が可能なこと、そして車はヨー ロッパの大気汚染対策項目に対応していることなどが条件。1990年代に、この車をシェアするというアイデアが成功しているスイス、ドイツ、オランダで は、6~10台分の自動車が1台のシェア自動車によって置き換えられています。

以上The Paris Times

自動車数減少傾向
2006年度のパリ市公共交通機関の総合評価で、2005年に比べMetro(地下鉄)利用が2.7パーセント、RER(パリ市内近郊線)が1.4パーセ ント、Noctilien(夜間バス)が31パーセントそれそれ上昇したことを発表。バスは工事のため2006年度には1.4パーセント減少していたが、 再度上昇傾向。自動車による移動はそれに続き3パーセント減少。二輪車は変動なし。

2007年登場の自転車は2006年度と比べ、すでに44パーセントの伸び。またアクセス可能となった地域 数も11パーセントの上昇(137,000箇所)。さらに2006年度交通事故数は2005年に比べ8パーセント増加。2007年第一四半期においては逆 に2006年度の30人の死亡者に対し、20人の死亡者数。

以上フリーペーパーMetro

ここ数年、パリの様子ががらりと変わりつつあります。トラムウェイが設置され、町のいたる所にはヴェリブの駐輪場が。そして、今まで駐車のためにとってあった道路上のスペースが削り取られ、道が細くされています。何とか自動車数を減らそうという市の取り組みが伝わってきますね。自転車の利用が一般化するのかどうかにも興味がありますが、上で述べられているように交通事故が増えないかどうかという懸念も残ります。町では結構この自転車を利用している人を見かけますが、交通量の多い場所をあの重たい自転車に乗っているのを見るとたまにヒヤッとすることも。

さまざまなプロジェクトが開始され、大きな結果を見るのはまだ先かもしれませんが、成功して大気汚染問題解決への一歩となって欲しいものです。

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