Category Archives: フランス文化社会

フランス人の名前

フランス人の名前については、フランス人の名前のページでご紹介しましたが、このページでは現在(2010年)フランスでよく付けられているファーストネームを見てみます。そこから分かることは、いかにイスラムがフランス文化へと浸透してきているか。

La Provence 2010年1月18日付
2009年マルセイユで生まれた子供につけられたファーストネーム、Mohammed(モハメド)と Adam(アダム)が男の子の名前トップ、 Emma(エマ)、 Lina(リナ)が女の子につけられる名前トップ。

さらに2007年、l’INSEEによって製作された資料によると、93県Seine-Saint-DenisにおいてMohamedという名前が常に一番を占めていることが分かる。実際この名前はYanis、Enzo、Lucas、Thomas、Alexandre、Theo、Kevin、Nicolas、Adamといった名前を抜いてトップに来る。これは数年続いており、2002年にはすでにEnzo、Lucas、Yanis、Rayan、Theo、Thomas、Alexandre、Hugo、Maximeを抑えて首位に立っている。

Telestar 2010年10月2日付
フランスにおける組み合わせになった男の子に付けられるファーストネームのトップがMohamed-Amine。30年近くトップにあったJean-Baptisteが2番手。5番手にはMohamed-Ali。しかしMohamedとその47の組み合わせがPierre、Louis、Paulといった300にわたる組み合わせ可能なファーストネームを今にも押しのけることはない。女の子に付けられる名前の4番手にFatima-Zahra。

また、イタリアのミランやベルギーのブリュッセルにおいても、Mohamedという名前が拡大しているそうです。とても興味深い傾向です。日本でこんな現象が起こったとしたら・・・どうなるんでしょう。

al-Kanzより参考

関連ページ パリの中の文化衝突

フランス環境問題(大気汚染)

先日主人と森にピクニックに出かけ新鮮な空気をたくさん吸ってきましたが、パリに戻ってきたとたんほこりっぽい空気にがっかり。私もそのほこりを生み出している原因の一人なのですが、やはり人の集まるところは環境が悪くなりますね。

では実際フランスの空気はどのくらい汚染が進んでいるのか。緑もたくさんあって他の産業国などと比べればきれいな方ではないかと思うのですが。そこで調べてみたところ以下のような記事を見つけました(訳しながら要約してみます)。

2009年度のフランスの空気の質に関する調査報告が発表されたが、結果は2008年度の報告と比べ改善が見られなかった。

実施された調査によると、主要汚染物質の増加が確認され、2005年まで減少傾向にあった窒素酸化物(呼吸器官などに害を及ぼすガス)が2008年と2009年の間に微増。オゾン汚染も同様に増加、特にフランス南東地域において。また地方の農村のような町ではPM10(浮遊粒子状物質)の増加がみられた。原因としては、2009年のとりわけ厳しい冬のため暖房用に石炭、ボイラー石油、木などが多く利用されたためと考えられる。プラスの報告としては一酸化炭素、ベンゼン、硫黄酸化物質のような重汚染物質が減少したこと。

このような調査結果を受け、フランスでは2015年までに汚染物資の排出を30%減らすという対策が発表された。とりわけ大きな排出に関わっている分野に焦点が当てられ、その一番の矛先が木の燃焼である。政府はできるだけ早急に木を燃料とする暖房設備総台数を税金予算で取替え、ボイラーの環境上の性能を掲示、もしくは屋外への燃焼による汚染物質の排出規制を守ってもらいたいと考えている。

交通機関に関しては、汚染の原因となる乗り物の都市へのアクセス規制を実行しなければならない。具体的には、ボランティア都市に実験的に«zones d’action prioritaires pour l’air» “空気優先ゾーン” を実践してもらおうという考え。すでにヨーロッパの10各国で実施されており、これらのゾーンでは汚染物質の30%軽減するのに成功している。今のところフランスではまだこの政策が実行可能かどうかという調査の段階。

このような対策の背景には健康問題が挙げられる。フランスでは10人に1人の若者が喘息、30~40%の人口がアレルギーに苦しみ、42,000件にも及ぶ未熟児の死はそれに加えた空気の質の問題によるとl’OMS (Organisation mondiale de la santé)は考えている。

以上20MINUTESより参考/イメージ

関連ページ

フランス人の通勤
世界環境ランキング
フランスの環境問題(大気汚染対策)
フランス環境問題 (農薬編)
フランス環境問題(地下鉄編)

フランス人の通勤

フランス語の表現に《Metro, boulot, dodo =地下鉄、仕事、おねんね》と言うものがあります(詳しくはフランス語ページ仏サラリーマンへ)。どこの国でも忙しい毎日を嘆く人が多いようです。日本からやってきた私にとって、フランスの生活なんて東京にいた時とは比べ物にならないくらいゆったりとしたものに感じるのですが、それでもやはりフランス人はもっと自由になる時間がほしいと感じているようです。

さて、そんなフランス人が毎朝通勤にかける時間が、27分。地下鉄、車、バス、自転車、それが何であれ、フランス人の通勤平均時間は27分だそうです(Regusによる調査より)。比較的満足のいく平均時間ですが、逆に一日に1時間半以上も公共交通機関にかける人口は全体の20%。中国人はもっと深刻で、3人に1人が同様の状況にあり、一番負担が少ない国がアメリカの10人に1人だそうです。

フランスでは自動車が一番利用されている通勤手段で全体の52%(世界平均64%)。調査によると、公共の交通機関はストレスや疲労の大きな原因とされ、また、フランス人の家計の大きなポストを占めるとされています。その上、かなりの額が。8%のフランス人が給料の10%を通勤交通費に充てているそうです。

窒素酸化物排出の80%がこういった交通機関から出されていることにも注目。


(以上参考/イメージ 20 MINUTES)

パリでは自動車の数を減らすために、地下鉄やトラムなどが網羅され、さらにはレンタルサイクルも充実してきていますが、それでも都会は人口が多すぎます。メトロ自体のサービスが向上するわけでもなく、チケット代だけが年々値上がりしているので、不満がたまるのも分かるような気がしますし・・・。そうすると自転車なんかで通える範囲が一番理想的だなあ。お金も時間もかからないし、環境的にもよい。たまに、そんな人を見かけます。自転車でさっそうと車を追い越して走って行くサイクリスト(いやサラリーマン)。カジュアルで楽そう。

ちなみに、日本の平均通勤時間は調べてみたところ69分(2006年総務省)。日本は人が多すぎる! 東京の通勤ラッシュもフランスのストレスとは比べ物にならないくらいひどいと思う。私は経験がありませんが、押し込まれている映像とか見ると・・・。

ヴァカンスのために働くと言われるフランス人と、仕事のために休みがとれない日本人。でもどちらも同じサラリーマンです。皆さん健康に気をつけましょう。

フランスのてんとう虫

なんだか分からないのですが、てんとう虫がたくさんやってきます。環境がいいということでしょうか。うちのバルコニーで見つけたてんとう虫のコレクション写真です。フランスではてんとう虫は幸せを呼ぶと言われているのでうれしいことです。

フランスには黄色のてんとう虫もいるのですが、まだ我が家のバルコニーでは見つけていません。いつか飛んでくるだろうか・・・。ちょっとした楽しみになっています。虫の嫌いな方すみません。

(更新1)確実にてんとう虫の数が増えています! 今日数えたら8匹+ベイビーてんとう虫(と思う)を1匹発見。5mmほどの大きさで、斑点模様がかすかについていました。ものすごい勢いで走り回っていたのを数回目撃。我が家の4つ葉クローバーがてんとう虫の住処に・・・。

(更新2)その後、数日後、クローバーにくっついていたアブラムシが全部消えていました。きれいです。8匹のてんとう虫もえさがなくなったようでみんな飛んで行ってしまいました。なんだかさみしい。てんとう虫はかなりの食いしん坊らしいです。数日間の観察結果、斑点の多いてんとう虫はかなり活発でものすごく動き回る傾向に、斑点のすくない種類は食べては寝、食べては寝という感じでしょうか。黒色に赤斑点の種類はほとんど見ることはありませんでした。黄色い種類もいまだ確認できず。フランスにはこれら4種類がいるようです。今年はてんとう虫イヤーで気づくとかばんやシャツにてんとう虫がとまっていたりしました。面白かったのは死んだふりをするてんとう虫。かしこい!

(更新3)ついに黄色いてんとう虫をマルセイユにて発見!それも黄色いてんとう虫ばかり4匹、5匹とそこら中に。比較的サイズは赤いてんとう虫より小さいようです。

緑のなかをよーく目を凝らしてみると、いろんな所に隠れています。

芝生のなかで昼寝中のてんとう虫。

主人に聞いてもなかなか見かけないという黄色いてんとう虫。とてもラッキーなことだそうです。さて次のターゲットはオレンジ色のてんとう虫!

パリの中の文化衝突2

少し前になりますが、以前住んでいたパリ19区へ数年ぶりに訪れたときのことです。なんとなく以前と違う雰囲気が感じられ、なぜだろうと主人と話していました。19区のBellevilleと呼ばれる界隈には中国人がたくさん住んでおり、通りも中国語の看板でいっぱい。ところが、中国人に混ざってマグレブ系の人たち(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)が前よりかなり増えているように感じたのです。

そして最近このBellevilleで起こったある騒動を知りました。

2010年6月20日、パリの中でもあまり目立たない外国人コミュニティーで中国人たちによる大きな街頭集会が行われた。彼らの掲げる旗には、「全ての人間に安全を」「静かで穏やかなBellevilleを」「暴力反対」などと書かれている。行進が終わりに近づこうとしたときには警察と対立し合う場面も。

では、なぜこのような騒動に?

実際、ここ数年この界隈では多くの中国人が暴力的襲撃の被害者となっている。2010年6月1日から2日にかけての夜に行われた結婚式では、深夜、招待客が帰ろうとした際に出口で待っていた若者グループが5人の客に次々と襲撃。狙っていたものは、中国人の結婚式で客人に渡される現金の入った赤い封筒。

結婚式が行われていた会場の中国人ボディガードがこの騒動で、強奪犯の足に発砲し追跡することができたのだが、警察に捕まり投獄。怪我をした犯人は病院へ運ばれ、うわさによるとそのまま解放されたということ。このことが、Bellevilleに住む中国人たちの怒りをさらに刺激してしまったのである。

Bellevilleのある警察官は、「コミュニティー間にどんどん悪い雰囲気が漂う中での余分な騒動である。ここ数ヶ月複数のアジア系組合団体からの問い合わせが続いている。でもどうしようもない。この状況背景には、中国人の若者がネットでマグレブ人やアフリカ系アンティル諸島の人々に対して敵対発言をした問題もある。中国人はこれらの人々を襲撃犯として見ており、またマグレブ人は中国人に対して同じような感情を抱いている。解決法が見つからないままでBellevilleは過熱してしまっている。

6年間Bellevilleに住むある中国人女性はすでに2回強奪にあっている。「もう我々はうんざりしている。警察はきちんと仕事をしてほしい」と。「もう何年も中国人のみならず他の住民も暴力を増す襲撃の被害にあってきている。我々は恐れながら日々暮らしている。この状況を止めなければ。6月20日のデモ行進がいい例である。しかし、行進の最後に、ある若者がハンドバックを盗もうとしたところ、仲間たちが自分たちを弁護し彼を機動隊に引き渡した。その後、機動隊は何も状況をよく考えずに、中国人にガスを使ってその犯人を逃がしたのだ。これは普通ではない。フランスには正義がない。」

「犯人は楽に手に入る金品を狙っているのであって、中国人を狙ったものではない」と言う人もいるが、それでもやはり襲撃犯たちは被害者の実状をよく研究している。とりわけ中国人を。 例えば、ある中国人たちが行政上違反した状況にあり銀行に口座を持たず現金で給料が渡されているという事実。身分証明書のない状態では、警察に届出を出すようなリスクもかけられないし、言葉の壁もあり、フランスの法に対しても知識がなく、お祭りには祝儀袋を渡し合う。こうして、理想的なターゲットとなるのである。

(以上Le Figaro 訳/要約AKI)

最近までこんな問題が起こっていたなどと全く知らなかったのですが、確かにあのBelleville界隈は以前もちょっと危険を感じる地域でした。中国人のお店が並び活気があるのですが、たまに怪しいおじさんがいたりして・・・。そしてそんなコミュニティーに更なる異文化が混ざりつつあるんでしょうね。フランス人はこの異なる文化の狭間でうまくコントロールを取ることができるのでしょうか。ここBellevilleもパリの中の飛び地のようですね。フランスにいながら、どこか違う国のニュースを聞いているかのようです。でも他人事ではありません。気をつけましょう。