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フランス環境問題(地下鉄編)

パリの地下鉄メトロを初めて利用したときの感想は薄暗いなあという感じでした。ごみが線路上にたくさん落ちているし、壁に貼られたポスターはずたずたに破られ、ホームレスの人の何とも言えない臭いがしてきたのを覚えています。

このぺージでは、そんなメトロで起こっている問題、そして対策などをご紹介していきます。

【メトロ内の大気汚染】
最近読んだ新聞記事に興味深い記事が載っていたのでご紹介します。

metro

あるドキュメンタリー番組で、メトロ内の微小粒子による高い大気汚染率が非難されていたのですが、RATP(メトロ)は初めてそれを説 明し、問題はないと安心させる姿を見せました。

RATPの地下交通機関の空気の質について集めたデータの調査結果では、直径が2.5から10ミクロメートルの微小粒子が空気中に浮遊 するとのことでした。

しかし実際、Canal+(カナルプリュス/テレビ会社)のジャーナリストチームが入手した機密文書には、RATPによって調査された 微小粒子の数値はかなり高い汚染度を表していたそうです。

メトロ内の微小粒子のほとんどが、レールがすれる際に排出、あるいはまた車両のブレーキシステムに問題があるとされており、それらの微 粒子を列車が空気中に舞い上げているのです。そして乗客や従業員の身体にその微粒子を浴びせることに。

CSHPF(le Conseil superieur d’higiene publique de France/フランス公共衛高等議会)は、2001年に、メトロ内1立方メートル当たりの微粒子量を最大347ミリミクロメートルとし、平均的にこの値 が守られることを奨励。RATPによると、RER(パリ市内近郊を走る線)の一区間においてのみその数値を超えていたということだ。しかし、ジャーナリストらによると、時間によっていくつかの地下鉄駅内で数値を超えることを指摘。たとえば、Chatelet-Les Halles(シャトレ レザル駅)では午後5時から7時の間において1200ミクロメートル以上の数値を示し、また RERのGare de Lyon(リヨン駅)では2400ミクロメートルまで数値が上がった。

≪あくまで規格数値は存在しない。我々の目標はCSHPFの奨励を達成することだ≫と、RATPの責任者は強調する。レールの近代化、 電気ブレーキの普及、ならびに清掃電車や3台の電車掃除機が汚染物質排出を縮小のために導入されたが、その結果は大きなものではなかった。

≪医療追跡調査においても何も臨床的証拠は見つけられない≫と、RATPの専属医師は述べる。RATPによって実行された健康死亡調査によっても同じ結果である。

肺に深く浸透し、微小粒子は毎年348,00の早期死亡をヨーロッパで引き起こしている。EUではすでに戸外における微小粒子率を1立 方当たり50ミクロメートルと上限を設けている。将来的には閉ざされた空間においても規定が定められることだろう。≪新鮮な空気を吸うことは健康であるた めに欠かせない条件である≫と世界保健機構もはっきり述べている。

会見の終わりに、RATPは公衆とうまくコミュニケーションがとれなかったと認めた。2008年には、全ての交通機関において利用者がどのような有害物質にさらされているのかという報告をまとめる予定だ。

以上 フィガロ紙 2007年6月
訳/aki

【メトロとエコロジー】

2007年5月25日より、メトロ14番線において乗客らにゴミの区別を勧める対策が始まった。実際この14番線の全スペースに今後リサイクル用の黄色い集積所が設けられる。リサイクル用には新聞、プラスティック、油脂などで汚れていない紙、あるいは電車の切符などが回収される。

毎年7、000トンのゴミがRATPの全ラインから集められ、そのうちの半分はリサイクルのできるゴミが占めている。

乗客を対象にしたアンケートでは、このようなRATPによるイニシアティヴは95パーセントの人々によって支持され、97パーセントの人々が環境によい行いだと評価している。

RATPは今後Ile-de-France RERの駅にこのシステムを取り込む予定。そしてメトロの駅にも補足的に追加していく。

以上 フリーマガジン A NOUS PARIS
訳/ aki

いつも利用しているメトロ。本当にゴミやたばこの吸殻が多い。リサイクルについても、うちではプラスチック などの容器は洗って選別していますが、アパートの集積所に集められるゴミはごった混ぜ(がっかりさせられることが多い)。このメトロのリサイクル袋が活躍 してくれることを願います。メトロ内がきれいになるといいですね。

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どっちのパ

「ことば」というのはいろんな法則やルールがあり、時にそれは不規則であることがっても、やっぱりおもしろい。文字を目で見て、耳で聞き、いろんな 感覚を使って吸収することは大事なことだと思います。もちろん自分の母国語も含め、普段使っていることばを違った角度から見てみるととても興味深い発見が あります。

まず視覚と聴覚を使った「ことば」のおもしろさを少し紹介しましょう。

[同音異義語]・・・音は同じで、意味の異なる語。

例えば、日本語にはたくさんの同音異義語が存在します。「カワ」という音を聞いて何を想像するでしょうか。川?皮?革?同じ音でも、そ れぞれの漢字を目で確認すれば意味が即座に現れてきますよね。では、「オショクジケン」は、汚職事件?それともお食事券?

英語にも存在します。「ペア」と聞いて、pair(一対)? pear(梨)?pare(皮を剥く)?のどれを頭に浮かべましたか? では、「ゴリラ」は、gorilla(ゴリラ)? それともguerrilla (ゲリラ)?同じ音なんですよ。

gorilla

[同綴異音異義語]・・・綴りは同じで、音と意味が異なる語。

日本語では、「大家」という文字を目にした時、「おおや」、「たいか」、「たいけ」とも読めます。そして意味も異なりますね。
「おおや」=貸し家の持ち主。家主。
「たいか」=学問・芸術・技芸などの面で特にすぐれ、名声の高い人。巨匠。または大きな家。
「たいけ」=金持ちの家。家柄のいい家。

英語では、minuteという単語を目にした時、「ミニットゥ」(分)と「マイニュートゥ」(綿密な)という違いがあることに注目。お もしろいのはhousewifeで、これを「ハウスワイフ」と読むと(主婦)、「ハウジーフ」と読むと(針箱)となるんです。

そして本題のフランス語。最近は頑張って長めのフランス語の文章を読もうと頑張っているのですが、この同音異義語に引っかかってしまい ました。その文章とは、

≪Il s’agit d’un nouveau pas vers la reduction de la consommation d’energie.

Il s’agit de~の部分で「~することが重要だ」という意味。
la reduction de la consommation d’energieで「エネルギー消費の削減」

なんとなく言いたい事は分かったのですが、なんでここに「打消しの」pas(パ)があるのだろうと 考えてしまいました。それに前の部分に新しいという意味のnouveau、不定冠詞unもついているし。

ちなみにpas(パ)の使い方は、
Je suis fatigue. (私は疲れている)にne~pasの セットが付け加えられて、Je ne suis pas fatigue.(私は疲れていません)と否定文に変えられます。またときに、neが省略されることもあります。 C’est pas vrais.で(まさか!)

全く知らない単語なら辞書を引くのですが、pasは「打ち消し」と頭の中にインプットされていたの で、別の単語が存在するなんて考えませんでした。そこで訳せずに困っていると、主人がそれは「ステップ(step)」だよと。エー、そんな意味が…。

辞書にもありました。pas 1, pas 2と。この文章の中に使われている pas 1は「ス テップ/歩み/足音/足跡/歩幅」という意味で、上の文章は「エネルギー消費の削減に向けて新しいステップをとることが重要だ」と訳せます。関連表現にも なるほどーと思うものがたくさんありました。

steps

a pas de loup オオカミ(loup)の歩みで「忍び足で」
a pas de tortue カメ(tortue)の歩みで「ゆっくりと」
faire les cent pas 百(cent)の歩みをつくるで「行ったり来たりする/ そわそわして落ち着きがない」

そしてfaux pas(フォ パ)
fauxは「間違った、偽の」という意味があり、faux pasで「(足)のつまづき:失敗、失策」 となります。これは英語にもなっていて英語も「誤り、(エチケットに対する)失敗」という意味で使われます。あのpasっ てこのpasだったんだーと一人でちょっと感動に浸ってしまいました。前はフランス語なんて興味なかったからな あ…。

というわけで、「パ」は「パ」でも意味が違うことを学べた文章でした。まだまだ勉強が足りません。頑張ります。

*アクサンは省略してあります。

ペペ・ル・ピュ

うちではカートゥーンネットワーク(cartoon netowork)というアニメ専門チャンネルで、英語/フランス語のアニメを見ています。

で、このぺージで紹介したいのはバッグス・バニー ショーに出てくるスカンクのキャラクター ペペ・ル・ ピュ(PEPE LE PEW)

体がとても臭くて、みんなに逃げられてしまう。でも、本人はなぜみんなが逃げるのか理由が分かっていない。お目当ての相手が現れると、 しつこくしつこく、どこまでも追いかけていく。自分が嫌われるなんてこれっぽっちも思っていない。そして相手を捕まえるとキス攻撃!

そう、ペペ・ル・ピュはフランスに住むスカンク。フレンチアクセントの英語で「照れてないで出てお いで」と逃げ回る雌のスカンク(本当はしっぽに白いペンキがついた猫)を追いかける。

pepe

フランス人のイメージとこのスカンクのキャラクターがなんとも言えない。うちの主人(フランス人)に、「フランス人から見て、フランス 人て、こんな感じだと思う?」と聞いたら、「ちょっと思う」と言っていました(笑)。

またこのアニメに出てくるフランス語もおもしろい。まずペペ・ル・ピュ(PEPE LE PEW)という名前。

PEPE(ぺぺ)は本来「おじいちゃん」という意味があるのですが、決してこのキャラクターはおじいちゃんではありません。 PEW(ピュ)はおそらく「臭い」という意味のpuer(ピュエ)から来ているの でしょう。「それは臭い」というとCa pue.(サ ピュ)となります。 そして、それにフランス語っぽく Le(ル)がついていいます。

アニメのストーリーの中にも、パリが出てきたりするのですが、あらゆるものにLe(ル)がついていて笑ってしまいます。

そしていつも追いかけられている雌猫のペネロッピー (PENELOPE)は、「坂」を上る時にいつも≪la pente, la pente ラパントゥ ラパントゥ≫と言って上ります。これが主人に大うけで、いつもケラケラ笑っています。なんで「坂、坂」と言って上るんだと。la pente=坂。日本語版ではどうなってるんでしょうね。やっぱり≪la pente, la pente ラパントゥ ラパントゥ≫とそのままなんでしょうか。

たまにはこんなふうにアニメで語学勉強もいいですよ。なんでもないようで結構単語が覚えられたりします。

ちなみにスカンクをフランス語で putois(ピュトワ)といいます。 puは 先と同じく「臭い」を表して、toisは「お前/きみ」のtoi(トワ)と同じ音なのでここから来ているのかな。なのでスカンクはフランス語では「臭いヤ ツ」って感じでしょうか。

*アクサンは省略してあります。

tabac タバ

La video de Sarko fait un tabac
仏大統領サルコジのビデオがタバ(たばこ?)を作った」と、こんな見出しをパリのフリーぺーパーで見か けました。きっとこれはtabac(たばこ/たばこ屋)という単語を使った何か表現なんだろうと、主人にその意味を聞 いてみました。

すると主人、「そうそう、このニュース、そのビデオ見せてあげようと思ってたんだよ。サルコジがサミットの会談で、ロシアのプーチンにお酒を勧められて、飲めないのに飲んだら、その後の記者会見でほろ酔いになっていて、そのビデオが流されてるんだよ。」と、うれしそうにそのビデオを見せ てくれました。全く乱れてはいませんが、一生懸命なのが伝わってくる記者会見の様子でした。

サルコジはジョギングしたり、このようにお酒でほろ酔いになったり、今までの大統領が使っていた堅苦しいフランス語を使うのをやめたりと、親近感のある大統領として見る人と、そうでない人も…。

で、本題のtabacですが、まず見出しの≪La video de Sarko fait un tabac≫は、やはり(たばこ/たばこ屋)という意味ではなく、faire un tabac で 「人気を得る」とか「当たる」という意味ができるそうです。ですから、正しくは「仏大統領サルコジのビデオが大当たり」 とでもなるのでしょうか。

その続きの記事を見ると、

【百万人以上のインターネット利用者がサミットでの記者会見ビデオをダウンロードした。それはベルギーで流されたニュースで、その中でプレゼンテーターがフランス大統領がお酒を飲んでいたとほのめかした。そのジャーナリストはしかるべき筋に謝罪するためにブリュッセルにあるフランス大使館に連絡を取ったと、ベルギー放送局が明かしている。】(フリーぺーパー Metro)

そう、そのちょっと酔っ払った大統領を見ようと多くの人がそのビデオにアクセスし、大当たりfaire un tabacとなったというわけです。

drinking
フランス人だからといって
みんながお酒を飲めるというわけではないんですよ。
うちの主人もアルコールは飲めません。
ちなみにコーヒーも。
うちではもっぱらお茶です。

で、なぜtabacなのか。私の疑問への追及は続きます。主人もよく分からないというので、辞書で 調べてみました。すると、なんということでしょう。そこには2種類のtabacがあったのです。

tabac(1):たばこ/たばこ屋  Je vais au tabac. 「たばこ屋へ行く」
tabac(2):<話し言葉>(無抵抗な人に対する)殴打

そしてこの(2)の意味でいくつか熟語が作られています。

coup de tabac   (激しく短い)嵐 / <話し言葉>困難、危険
passer ~ a tabac <話し言葉> ~をひどく殴る
faire un tabac   <話し言葉> 「スターや劇などが」人気を得る、当たる

またtabasser<話し言葉>「(人)を殴りつける」という動詞もありました。

うそつきは泥棒の始まり

うそつきは泥棒の始まり」、うそばかりつくと、やがていいことと悪いことの区別がつかなくなって、泥棒までするようになってしまうということ。

フランス語では、

Qui vole un oeuf vole un boeuf. (キ ヴォル アン ウフ  ヴォル アン ブフ)

と、言うそうです。直訳すると「卵を盗むものは牛をも盗む」。卵くらいならいいかと思っていると、やがて牛まで盗むようになってしまう ということです。

* voler/~を盗む oeuf/卵 boeuf/牛

chickencow

フランス語ってなんとなく語呂がいいですよね。似たようなものに、

Songes, mensonges. (ソンジュ マンソンジュ)

こちらは「夢は幻」という言い回し。 *songe/夢、夢想、空想(文語)、mensonge/うそ、虚偽、妄想、幻

ちなみに英語ではダイレクトに、

He that will lie will steal.

と言います。「うそをつくものは盗みを働く」。